1964年、日活、大島みち子+河野実原作、八木保太郎脚本、斎藤武市監督作品。
▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼
東京で寮生活をしている大学生、高野誠(浜田光夫)は、阪大病院に入院中の小島道子(吉永小百合)からの手紙を読んでいた。
道子とは、誠が浪人時代、同じ病院で知り合って以来、互いをミコとマコと呼び合う仲になり、今では、互いに手紙のやり取りをしていた。
大の阪神ファンで、将来ジャーナリスト志望だった大学生のミコこと道子は、マコと知り合った当初から、左目に眼帯をしていた。
彼女の病名は顔面肉腫。
通常、発病してから5年で死亡するといわれていた難病であった。
ミコはすでに発病してから5年が経っていたのである。
自分の運命を知っているミコは、手紙でマコに別れようといってきたのであった。
そんな彼女を励ますために、マコはバイトで貯めたなけなしの小遣いを使って、たびたび、彼女の元を訪れる内、より強い絆で結ばれる仲になって行く。
そんな中、放射線治療を担当していた主治医(内藤武敏)は、ミコに左顔面削除の手術を勧めるが、若い女性であるミコには、その決心が付かなかった。
励ましに駆け付けたマコは、西脇に住むミコの父親(笠智衆)に連絡し、二人で彼女に手術をするよう説得する。
やがて、手術を終えたミコは、個室から4人部屋へ移され、健気に、回りの病人たちの手伝いをする生活を始めるが、やがて、今度は右目の根元に、肉腫が再発してしまう…。
大島みち子さんと河野実(まこと)さんの往復書簡をまとめた大べストセラー本の映画化作品で、劇中で語られるミコとマコというのはこの原作者自身の事で、内容も実話である。
▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼
この原作は、まず、1964年4月に、TBS「東芝日曜劇場」で、大空真弓と山本学主演でドラマ化。
日曜劇場では初の前後編に分けての放映となる。
その反響は凄まじく、その年8月と12月に再放送。
青山和子が歌ったこのドラマの主題歌は、その年のレコード大賞を受賞するほどヒット振り。
本作は、そうした大ブームの最中に作られたもので、この映画も又、その年の邦画中、「東京オリンピック」に次ぐ、空前のヒットを記録する事になる。
この前後の時代は、こうした難病と純愛を描いた作品が一つのブームだったように思う。
ちなみに、本作の主題歌は、吉永小百合自身が歌うテレビドラマ版とは別の曲。(劇中ではさらに、浜田光夫と「寒い朝」をデュエットするサービスもある)
ただこの作品、今観ると、意外と、そうした当時の反響振りをうかがわせるほどには、胸に迫って来ない。
真面目に撮られた作品で、吉永小百合さんも美しさの頂点の頃だし、浜田光夫も好演している。
しかし、映画ならではの…というほどの、独自の魅力を持っているとはいい難いような気がする。
基本的に、テレビドラマ向きの内容だったのではないだろうか。
4人部屋のメンバー、ミヤコ蝶々、笠置シヅ子、北林谷栄らも、ゲスト出演的な意味合い以上の印象は残らない。
笠智衆演ずる父親役も、普通…といった感じ。
ただ、物語後半で登場するミコが時々世話するようになる入院患者、中山(宇野重吉)の存在は大きい。
ラストは、彼の一言で終わるのだが、これは胸に迫る。
まさに迫真の名演技である。
個人的に一番印象に残ったのは、気丈に働く術後のミコに立ちふさがり、あろう事か、彼女を「化物」呼ばわりして、顔のガーゼを引きちぎろうとするスゴイオールドミスが登場するくだり。
これが、実際にあったエピソードの再現なのかどうか分からないが、まさに人間の醜さと狂気を映し出した衝撃の場面である。
そのオールドミスを演ずる初井言栄も又、迫真の演技という以外にない。