1988年、松竹=ニュー・センチュリー・プロデュサーズ、岸田理生脚本、金子修介監督作品。
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とある山中にある学院の男子寮。
一人の少年が深夜11時57分、手紙を書き、それをある部屋の扉の下に滑り込ませた後、ランプを持って、湖を臨む崖にたどり着くと、月を見上げて、身を投げる…。
それから三ヶ月後の夏休み、寮生たちが一斉に帰省した後に残ったのは、帰る所を持たない三人の少年、3年生の和彦(大寶智子)、直人(中野みゆき)と、2年生の則夫(水原理絵)だけだった。
和彦は、自殺した悠から愛を告白される手紙をもらっていた事を今でも気にしていた。
和彦は、そんな悠の気持ちに無関心であったからである。
和彦に思いを寄せているもう一人の少年、直人も又、悠亡き今、複雑な立場にいた。
そんな微妙な二人の関係に気付きながら、まだ幼い則夫は、無邪気さから、二人にかまってもらいたいという甘える気持ちしか表現できないでいた。
ある日、一人で湖で佇んでいた和彦は、鞄を持ってやってきた少年から声をかけられ驚愕する。
その少年は、死んだはずの悠(宮島依里)にそっくりだったからである。
その少年は、転校生の薫(宮島依里-二役)と名乗った。
寮に到着した彼の姿は、和彦や則夫をも驚かせる。
さらに、少年たちを驚かせたのは、どこでも自由に部屋を選んで良いといった後、新参の薫が選んだのは、かつて悠が住んでいた部屋だったからである。
三人の少年たちは、薫が悠その人なのではないかと疑いながらも、奇妙な共同生活を始める…。
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萩尾望都のコミック「ト−マの心臓」をベースにした作品という。
登場人物は4人の少年達だけ。
それを演じているのは若い女優達。
美しくどこか幻想的な映像、ちょっと未来風の小道具、しかし、そこで描かれているのはなんとも奇妙な少年達の幼い人間関係。
女性が、同性愛への憧れを、架空の美少年達(時に有名コミックのキャラクターなど)に託して作り上げた独特の世界観 、いわゆる「やおい」の世界を描いた特殊なファンタジーというべきか。
当然、そういう雰囲気自体を感覚的に受け付けない人は最初から全くダメな世界だろう。
本作では、あえて、女性に少年を演じさせる事によって、現実味というか、生々しさを消す事には成功している。
基本的に心理ドラマであるから、全体的に静かな展開、何か大きな盛り上がりがあるという訳でもないが、最後まで何となく見せられてしまうのは、どこかけだるく甘酸っぱい少年期特有の雰囲気が出ているからだろうか。
薫の母親が、発電所の事故の後遺症で亡くなる…などといった描写が、彼らを取り巻く世界を暗示しているようで興味深い。
一応1999年とタイトルで謳っているが、実際は、近未来の国の物語という事なのだろう。
ちなみに、刈り上げ頭の則夫を演じている水原理絵というのは、今の深津絵里の事である。
横山宏デザインのモンスターフィギュアで一人遊びしている、ちょっとマニアックな少年として描かれている。