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タイムライン

ミステリ、SF両ジャンルで、たえず、問題作を発表して注目されていたかつて俊英マイケル・クライトンも、最近はすっかりハリウッドの御用作家になっていまった感があり、肝心の小説の方は大味になっていくばかり。

実際、「エアフレーム−機体−」など、あまりの薄味に、いつも通り映画化の噂はあったものの、いまだに実現していない。

「タイムライン」も、原作の方は、相変わらずの要領良さでそつなくまとめられてはいるものの、まずまずの出来という感じで、ハリウッドとの縁が薄い他の作家の作品だったなら、映画化されていたかすら怪しいのではないかと思える。

タイムトラベルものとはいっても、実質的に「歴史物」、しかも、日本人にとってもアメリカ人にとっても、縁遠い中世ヨーロッパが舞台。

…という風に、あまり期待せずに観始めたのだが、だんだん、途中から引き込まれていってしまった。

ストーリー展開は、大体、原作に沿っており、最初の方は、仕方ない事だとはいえ、文章で読んでイメージしていた世界との微妙な違和感に若干の戸惑いもあったのだが、城攻めのクライマックスシーンになると、さすがにビジュアルの迫力に度胆を抜かれた。

ILMの仕事だとエンドクレジットで知ったのだが、さすがというべきだろう。

正直にいうと、この城攻めのシーンが全てといっても良い。
あまりの迫力に、薄々特撮だろうとは感じても、全て実写だったといわれても信じてしまうくらいの自然さ。

ストーリー展開のわざとらしさや人間ドラマの凡庸さは、原作のせいだから仕方ない。

「ジュラシック・パーク」同様、本作も又、優れた特撮が、その凡庸なドラマを引き締めた例といえるだろう。

その分、現代のエピソードの薄っぺらさが目立ってしまったように思われ、痛し痒しといった所か。