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赤頭巾ちゃん気をつけて

1970年、東宝、庄司薫原作、森谷司郎+井手俊郎脚本、森谷司郎監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

東京の空撮シーンがカラーからモノクロに変化し、1969年1月19日の東大安田講堂の最後の攻防戦が映し出される。

そして、1月21日東大入試中止の決定。

東大を目指していた日比谷高校の3年生、庄司薫(岡田祐介)は、愛犬ドンが死んでいるというお手伝いさんの声を聞き、慌てて犬小屋へ駆け付けようとした所、廊下に置いてあったスキーのストックに足を引っ掛け、親指の爪を剥がしてしまう。

この物語は、朝、足を怪我してしまった薫が過ごす、長い一日の出来事を綴ったものである。
幼馴染みの由美(森和代)に電話をかけると、史上始めて、形而上の理由から自殺したエンペドクレスの話に感激した事をいきなり聞かされしらけてしまう。

薫が話に感心を示さない事で、由美の方もへそを曲げてしまい、彼女は一人で勝手にテニスコートへ。

薫も、痛む足をゴム長でかばい、テニスコートへチャリで出かけてみるが、何だか気まずい。

自宅に戻り、東大法学部に行っている兄(中尾彬)の事を思い出したりする薫。

再び痛みだした足を見てもらう為に、かかりつけの病院に出かけると、担当の女医(森秋子)は、元、兄の恋人であった女性であった。

彼女が、下着に直接、白衣を着ている事に気付いた薫は、治療の最中、みだらな妄想に耽ったりする。

再び自宅に戻ってきた薫は、過去に経験した乱交パーティの事など思い出しながら、何となく、女性にも、時代の風潮にものめり込めない、保守的なボンボンである自分を反省してみたりする。

初潮を迎えた事を告白されたり、膨らみ始めた胸を見せてもらった、幼い日の由美の事、そして、どこか醒めた関係になりながらも付き合い続けている最近の由美の事などを思い出す。
小説家志望の級友、小林が遊びに来て、一人で延々世間や自分自身に対する愚痴をこぼすのを黙って聞かされたりもする。

夕方、銀座の町に出た薫は、雑踏の中でぼんやり立ち尽くす。
その時、一人の少女から足を踏まれた事がきっかけとなり、その少女のために「赤頭巾ちゃん」の絵本を書店で選んでやる。

そして、雪が降り出した夜、由美を誘い出して歩きながら、今日一日の出来事と、東大受験をやめる決心をした事を話して聞かせるのだった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

加納典明撮影のヌード写真、学生運動、町の雑踏、テレビCFの音、流行歌などをコラージュのように組み合わせながら、当時の時代の空気を描いている。

現実と回想が入り交じって独特の語り口になっている。

この作品でデビューした岡田祐介は、現、東映社長であるあの岡田氏である。

ヒロインとして選ばれた森和代は、現在の森本レオ夫人である。

「恋の季節」を歌うピンキー(今陽子)や、近所のおしゃべり婦人として山岡久乃なども登場する。

劇中、テレビの画像の中で「ブルーナイトヨコハマ」を歌っているいしだあゆみと、70年代初頭の都会の風景や雑踏イメージは、この後「日本沈没」(1973)の中で、森谷監督は再び使っている。

今となっては、ひたすら退屈な映画と感じる人も多いだろうが、これは、まさしく70年当時の映画というしかない。

最後に流れる相良直美の歌う主題歌は、甘く切なく、心に焼き付く。 


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