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宇宙からのメッセージ

1978年、東映+東北新社+東映太秦映画村、石森章太郎+野田昌宏原作、松田寛夫脚本、深作欣二原作+監督作品。

私は、長年大きな勘違いをしていました。
この作品を「スター・ウォーズ」のパクリだとばかり思い込んでいましたが、これはパクリではありませんね。
はっきりいって、似ても似つかぬ作品です。(便乗映画であり、まねようとしたらしき箇所は確かにありますが)

象や駱駝などを見た事がない江戸時代の日本画家が、それらを伝聞情報と想像だけで描いた絵みたいな…といったら良いでしょうか…。

むしろ、どちらかといえば、パクられ映画ではないのか?…と感じました。
「ジェダイの復讐」に引用されたのでは?…と思しき箇所をいくつか発見。
回転する動力炉をトンネルを潜って破壊しに行くラストシーンや、ガバナスの巨大母艦が、シローたちの小型宇宙船が激突しただけで、炎上してあっさり沈んでしまう所など、かなりそれクサイ。
ジルーシア人とイウォークの雰囲気なども似ている。(「ジェダイ〜」の、どこかヘナヘナ感の原因はここにあったのか?)

この映画を一言でいえば、「忍者ものとチンピラものをベースにしたショーパブの前衛劇」…でしょうか?

ジルーシア星は、ガバナスの侵略によって、絶滅の危機に瀕していました。(浪々たる芥川隆行のナレーション…出だしからして、完璧に時代劇…)
ジルーシア民族のお頭(SF?で「お頭」ってのも凄いですが…織本順吉)は、最後の願いを込めて、リアベの八つの実(くるみ)を宇宙に放ちます。

そのリアベの実が選んだ八人の勇者とは…。
シロー(真田広之)、アロン、ジャックのチンピラ3人と、金持ちのバカ娘メイヤ。

退役軍人ゼネラル・ガルダ(ビッグ・モロー、声-若山弦蔵)と、その召し使いロボット、ベバ2号(声-曾我町子)。

さらに、茶眉が今風でチャーミング!ハンス王子(千葉真一)と、エメラリーダ姫(志穂美悦子)のお供ウロッコ(佐藤允)。

はっきりいって、シロー、アロン、メイヤ、ハンス王子以外の連中は、まったく役立たず…にしか見えません。(後半、何の活躍もしない)
ド派手なジャケット姿に大坂弁のチンピラ、ジャック(岡部正純)など、その存在に何の意味があったのか、どう考えてもさっぱり分かりませんし…。(彼の存在そのものが、本作のファンタジー感を完璧に台なしにしている)

成田三樹夫演ずる銀メイク、ロクセイア12世は、ダ−ス・ベイダ−のイメージではなく、どちらかといえばデスラー総統でしょうね。
独特のかん高いセリフ回しは、「柳生一族の陰謀」での白塗りの公家、烏丸少将文麿と重なります。(キャラクターとしては、意外にも剣の達人である文麿の方が魅力的のように思えますが)

それにしても、改めて、この作品の美術のイージーさには頭を抱えてしまいます。
シローたちが宇宙船を組み立てている場所は、普通の高圧鉄塔が遠方に見える造成地。

丹波哲郎扮する地球連邦議長ア−ネスト・ノグチが、普通のロールスロイスに乗ってガルダを訪ねてくるスナックのカウンターには、ごく一般的な赤い家庭用計量秤がまんま置いてあるし…。(当時は未来風…と思われていたのか?)

全体的に、当時のごく普通に手にはいるような電子機器や電化製品を、ただ並べただけみたいなセット…、未来感もファンタジー感もゼロ!(普通の電話や電気スタンド、赤色灯など…)

ヒキロク(蜥蜴人間?)の母親、カメササ(三谷昇)の記憶から、地球のイメージを知るガバナス人達…。
カメササ、子供時代は東北の雪ん子だったみたい…。(一体、何時の時代の話?)

「放射性廃棄物」と説明されている「宇宙螢」を、メイヤたちは、口に酸素マスクのようなものを付けただけで宇宙に飛び出し(顔や手はむき出しのまま)、素手で握り締めたりしていますし…。(汗)

真田君や志穂美悦っちゃんは、「柳生一族〜」の方が、断然格好良いです。(白いドレス姿で、片手に刀、片手にレイガンのエメラリーダ、ちょっと、観ていて引いてしまう部分が…)

本作が本家「SW」に比べて安っぽい…というのは十分頷けるのですが、同じ年、同じ監督、ほぼ同じキャストで作られている「柳生一族〜」と比較しても、圧倒的にダサく感じられる所が、逆に一部マニアにはたまらない魅力なのか?

 

「SW エピソード1」が公開された時、ダース・モールの隈取りメイクが評判になったが、その原点がここにある!
あの成田三樹夫が!あの天本英夫も!全員、隈取りメイクで、悪い宇宙人を演じている!
アメリカでも、日本製である事を隠し公開され、かなりのヒットを飛ばしたという珍品SF。
アカデミ−賞の「特殊効果賞」にも、ノミネートされた、との噂も…。
主役は、若き日の真田広之、志穂美悦子、千葉真一のJAC軍団。
さらに、懐かしTV番組「コンバット」で、日本でも人気のあった、ビッグ・モロー!
原作は、野田昌宏氏と石森章太郎。
「里見八犬伝」をベースにしたお話で、8人の勇士が集まって、敵と戦う!
シュノーケルキャメラを用いたり、実物大の宇宙帆船などを作って、「SW」を意識した、それなりに金をあかけた作りになっているが、同時期の東宝作品「惑星大戦争」よりは、まし…というくらいの出来。
当然、コンピューターによる、モーション・コントロールなどは、使用されていない。(当時、ほとんどの関係者は、その意味さえ理解していなかった)
伝統的な「吊り」がメイン。
監督は、何とあの深作欣二!!
この作品は、後年、TVシリーズにもなった。