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小判鮫 お役者仁義

美空ひばり主演の娯楽時代劇で、1966年度東映作品。
長崎の商人だった父親を、複数の商人仲間や役人に無実の罪を着せられ殺された娘が、役者になって成長し、かつての仇を討つ…という「雪之丞変化」が、ベースとなっている。
江戸で「闇太郎」と名乗る若者(林与一)が、土井某という金持ち老人(新藤英太郎)を付け狙っている。
実は闇太郎は、かつて、長崎の島役人だったのだが、冤罪の事実を知り、事件の黒幕を個人的に倒そうと、身分を隠し江戸に潜入していたのだった。
彼は、ひょんな事で知り合った、おきゃんな町娘「軽業のお七」(ひばり2役)に惚れられ、思わぬ成りゆきから計画の邪魔をされる事になる。
一途な役者、雪之丞(ひばり)と、お七の2役をひばりが演じ分け、全編出ずっぱりの構成は、ファンにはたまらないだろうが、一般的な視点から観れば、やや冗漫に感じる。
それでも、若き日の林与一の美貌振りや、サザンの桑田そっくりの長門裕之、小娘時代の野川由美子など、意外な姿に楽しみを見い出す事ができる。
何より、芸達者なひばりの魅力を知る上では、貴重な作品と言えるだろう。