YZF−R1

峠専用号のYZF−R1。まだノーマルです。

箱根ターンパイク 大観山PAにて


自己採点表(5段階)
高速
ポジション 2 3 5
エンジン性能 4 5 5
ハンドリング 3 5 5
ブレーキ性能 5 4 5
メカ&装備 2 3 5
総合評価 2 4 5

掲載日現在までの走行距離
約2600km

購入動機
 ThunderAceを購入して気を良くしていたら、半年後にR1が発表されてショックを受ける。
 そのまま衝動買い。当時、バイク屋に注文したら98年型はもうタマが無いという事で、99年型を予約。
 注文してから納車まで10ヶ月待たされた。

よいところ
奇抜なデザイン。
 雑誌で初めて見た時は「なんじゃこりゃー」と思ったが、見慣れると段々格好良く見えてくる。
 今では、自分のR1を眺めてウットリする事しばしば……。
 あのライトがミラーに映った時の威嚇効果は抜群。

エンジン
 とにかくコントローラブル。トルクフルで吹け上がりの鋭さは2ストのよう。空吹かしの時の吹け上がりは、もの凄い。クランクマスでトルクを稼ぐタイプではなく、いかにもフリクションロスを小さくして爆発圧力を効率よく動力に変換している感じがして、アクセルレスポンスも2ストのようにダイレクト。それでいて、アクセルを大きく開けてもガツンとくるような唐突さが全く無い。
 レスポンスが良いのは吹け上がりだけでなく、アクセルを閉めた時も閉めた分だけぴったり回転が落ちる。エンジンブレーキを微妙にコントロールする事が出来るので、本当にアクセルだけでコーナーリングラインが自由自在に変えられる。
雑誌の記事でもよく書かれていたが、これがVツイン的なのだろうか(大排気量のVツインは乗った事がない)。
マルチの吹け上がり、パワー、スムーズさ、低回転の粘りと、ツインのレスポンス、トルクを合わせたような良いとこ取りのエンジン。スポーツ走行するのにこれ以上のエンジンは無い。

軽い
 車重200キロ前後のリッターバイクに慣れた身にとっては、R1の軽さは驚異的。取り回しが楽で良い。
 ThunderAceに比べて、マイナス20キロの差は大きい。
 スピードの乗りも良く、高速でアクセルをちょっと捻っただけで前に吸い込まれるような加速をする。
 倒し込みも軽い。ThunderAceではコーナーで重量を感じて、不安になる時もあるが、R1では怖さを全く感じない。コーナーが楽しい。

ブレーキ
 ThunderAceと同じブレーキだが、車重が軽い分よく効く。ThunderAceでは高速でちょっと制動力不足と思う時もあるが、R1では丁度いい。また、初期の効きが弱いが握り込むと効いてくるタイプで、慣れると非常に扱いやすい。下手に6ポット等に変えて、フロントのバネ下重量を増やすとかえって良くないかも。

ハンドリング
 普通に走っている分には安定していて、とても楽。倒し込んだ瞬間、すぐにフロントが反応して曲がっていくところは、ビギナーには恐いかもしれない(この手のバイクはみんなそうだけど)。それでも安定感はあるので、慣れれば思い切ってコーナーを攻められる。ヤマハハンドリングですよ、ヤマハ。

サスペンション
 最近のリッタースポーツはみんなそうだけど、前後サスがフルアジャスタブルで、伸圧ダンピングとプリロードが幅広く変えられる。
これが出来ると、峠でサスセッティングを行うという楽しみある。特にR1みたいなコーナーリング専用バイクの場合は、ハマると面白い。

アフターパーツが豊富
 RZ以来の大ヒットという事で、アフターパーツも沢山出ているから手軽に改造できる。
でも、しばらくはノーマルで楽しみたい。

悪いところ
シフトリンク
 シフトアップの時、3、4速でうまくギアが入らない時がある(単に慣れの問題かも知れないけど……)。
また、ストロークが短いので、確実な操作がしたい時にちょっと不安が残る。99年型になって改善されたというが、それでもシフトフィーリングが良くない(重い、硬い)。98年型はもっと悪かったのか?

タンクが高い
 ポジション、ハンドル位置に対して、タンクが高くライダーに迫ってくる。
 普通に乗ってる分には問題ないが、高速で伏せようとすると結構邪魔。
 タンクバッグも付けられない。
 この辺りは、完全にツーリングユースを切り捨てている感じがする。

シート座面が前傾している
 最近のリッタースポーツはみんなそうだけど、尻上がりのデザイン優先でシートが前下がりになっている。
 その為、いつの間にかポジションが前よりになっていて、コーナーでリア荷重が掛けにくくなる。
 慣れないとブレーキングで前にズリ落ちそうになるので、ついニーグリップで支えようとしてバンクし辛くなってしまう。
 コーナリング専用バイクなんだから、この辺はもう少し考えてデザインしてもらいたいものだ。

切り返しが重い
 S字の切り返しが重くなる時がたまにある。
 タイヤが太すぎる(190サイズ)せい?

タイヤ
 OEMで履いてるタイヤがメッツラーのMZ03(イギリス仕様なんだけど)。これがイヤ。
 個人の好みなんだろうけど、今ひとつグリップ感が掴みにくいように思う。リヤ荷重の掛け方が足りない時は、特にそう感じる。
 切り返しが重く感じるのもメッツラーのせい?
 とっととピレリドラゴンのコルサかGTに履き替えたい。

人気車である
 人気がありすぎて、峠行くと猫も杓子もR1。つまらないッス!
 みんな、9Rやファイヤーブレードだって良いバイクだぞぉ(^^;

燃費
 18〜23キロ/リッターくらい。
 ツーリングに行った時は、25キロ/リッターも記録した。
 リッターバイクにしてはかなり燃費が良い方。

主なトラブル
 走行500キロ越えたあたりで、急に低速トルクが無くなった。
 バイク屋で見てもらったら、4番のキャブだけスロージェットがつまっていた。
 タンク内の防腐蝕剤らしいという話だが、ガソリンで溶けるのか?
 あと、リコールで冷却水ホースのバンドを交換した。

総合評価
 天井知らずの性能は、とてもじゃないけど使いこなすなんて出来ない。でも、それだけ乗りこなし甲斐があって面白い。
 レーサーレプリカのように思われがちだが、あまりサーキット走行には向かないように思う。特に、初期旋回を主にして向き変えを行い、コーナー脱出で出来るだけパワーを掛けるような乗り方をすると、リア周り(スイングアームピボットの辺り?)の剛性が足りなくて、頼りなく感じる時がある。あくまで、公道で速く走る為のバイクのようだ。日本で走っちゃいけないバイクかもしれない(^^;
 しかし、基本に忠実に乗りさえすれば、恐ろしく速く走れる。コーナーリングが上手く決まった時はこの上なく気持ちいい。それ故に、上手くいかなかった時もこれ以上にないくらい屈辱を感じる。積極的にバイクを乗りこなそうというモチベーションを維持できないと、所持していても苦になるバイクでしょう(そういうとこはドカと似ているのかも)。実際、雑誌のインプレ読んで欲しくなったとか、人気があるから買ったという人がすぐに手放してしまうというケースが多いらしい(走行2,000kmぐらいで売りに出されている中古をよく見かけるし)。コーナーを攻めるのが楽しくて仕方がない、バイクと一体になるのが大好きという人以外には、あまり奨められないバイクです。所有する事の満足感や、見た目の迫力が欲しいのであれば絶対にハヤブサかZX−12の方を奨めます。実用性とスポーツ性の両方が欲しければ、ZX−9Rの方がコストパフォーマンスは上。どんなコーナーでも忠 実に曲がって欲しいと思うなら、ファイヤーブレードの方がコーナーリングツールとして圧倒的に優れているでしょう。
 雑誌のインプレッション等でベタ褒めしている為、かなり人気が出ているが意外に窓口は狭いバイクだと思う。
 実用性をすっぱり切り捨てて、コーナーを攻めるという趣味専用というところも、916なみに贅沢なバイクだし。
 自分の場合ThunderAceと両方所持しているが、ThunderAceはロングツーリング用、R1は週末の峠用と使い分けている。
 手前味噌だが、これが一番正しい使い方のように思う。