真・女神転生if

 メガテンシリーズ初の学園物(元祖女神転生は学生モノ(笑))。真・女神転生の外伝で、時代設定は本編と同じ。宇宙に同時に存在するいくつもの時間軸の一つなのだろう。

 内向的な子供ほど、腹の中ではえげつないこと考えてるもんですが、実際にそんな子供が悪魔を自由にする力を手に入れたら、どう使うだろう。
 自分だけの秘密にするか?
 悪い人をやっつけるか?
 友達になるか?

 たぶんどれも違う。子どもは復讐を始めるだろう。弱かった自分を笑った者たち、置き去りにした者たち、拒否した者たちすべてを断罪し、やがてはそんな自分を生み出した肉親も、また望まぬ形の自分自身をも許せなくなる。

 どこまでが仕返しでどこからがやりすぎなのか、そんな単純な問題でもはっきりとラインを引くことは難しい。人には主観があるからだ。だから主人公は、自分の生きる権利を主張するしかない。悪魔を倒すことで、生き延びようとする意志を示すしかない。

 傲慢、飽食、怠惰、憤怒、嫉妬、貪欲、主人公がさまようことになるこれらの地獄は、魔人皇となった子どものコンプレックスの裏返しだ。負の感情を抱かないようにするよりも、抱いたまま人の中で人と交わって生きることのほうが、本当はすごいことなのだが、結局主人公はそれを伝えられないまま、物語は終わる。

 人間が心の中に持つ理想郷の名をイデアという。それによく似た名前の子どもは、強烈な胎内帰還願望によって世界から逃げた。主人公があるパートナーを選んだときのみ、子どものイデアに乗り込むことができるが・・・。

 まずはパートナーを選ぼう。モップやヘルメットで武装して体育館に向かうと、そこには初の強敵、魔獣メリジェーヌが待ちかまえている。初めて自分の手を汚して他者の命を奪うところから、生還への道が開ける。

 それは、当然のように守られて生きてきた自分への決別の道でもあるのだが。