2025/05/13
Windows10のサポート終了まで1年を切ったことから、これまで使っていたWindows10のパソコンを急ピッチでWindows11機に買い替えしているところである。残念ながら、これまで使用していたWindows10機はWindows11へのアップグレードに対応していないということなので、Windows11のインストールされた中古機を中心に物色し、スペック的に問題がなければ買い替えてきた。だいたい1台2〜3万円くらい。新品にくらべればはるかに安いし、特に問題なく使えているが、それでも何台も買い替えるとなると結構な出費ではある。
そしてそれ以上に悩ましいのが、不要になったWindows10機の処分である。パソコンはリサイクル家電の対象であることから、単に燃えないゴミに出せばいいというものではなく、処分するのにもきちんと手続きを踏まないといけない。
何より面倒なのが、パソコンに入っているデータの消去である。パソコンはPersonal Computerというくらいのものだから、長く使っていればかなりの個人情報がその中に含まれていることになる。そういうデータを適切に消去しないと、悪意のある第三者がその情報を盗み取り、よからぬことをしないとも限らない。
データの消去というのは、データをゴミ箱に入れたり、そのゴミ箱を空にすればそれでいいというものではない。この辺の仕組みはおそらくMS-DOSの頃からあまり変わっていないと思われるが、パソコンのOSが行う「データの消去」というのは、効率と速度の関係から、単にデータの管理情報(記憶媒体のどの部分にどんなデータが保存されているか)を書き換えるだけのことを指す。そのため、データそのものはそのまま記憶媒体に残っていることが多く、特殊なツールを使えばデータを復元することも可能だったりする。
そのため、本当にデータを消去しようと思ったら、もともとあるデータを無意味なデータですべて上書きする必要がある。方法としては、データ領域すべてに0を書き込んだり、ランダムなデータを書き込んだり、あるいはそれを何回も繰り返したりといろいろなレベルがある。当然ながら、これらのステップを何度も繰り返す方が消去がより確実になる一方、その作業はかなりの時間を要することになる。もともとの記憶媒体の容量が大きければ、それに比例して時間もかかる。
Windows10の場合は「設定>更新とセキュリティ>回復>このPCを初期状態に戻す」という手順で初期化ができる。この中に、記憶媒体を完全にクリーンにするオプションもあって、これを選べば、データの回復が困難なように記憶媒体の内容をクリーンにしてくれる。もしも不要になったWindows10機を、その機能を保ったまま処分したり別の目的に使用する場合は、この方法が一番簡便であろう。
一方で、それ以前のバージョンのWindowsなどの場合は、そのような機能はOS標準ではついていない。そのため、データ消去専用のソフトを使ってデータを完全消去する必要がある。その場合は、単一の記憶媒体の場合はOSごと消去することになるため、USBメモリやCDなどの外部メディアに消去ソフトを保存し、その外部メディアからパソコンを起動し動作させる必要がある。ただ、起動可能な外部メディアを作ったり、それによりパソコンを起動させたりするのは少しばかり工夫が必要なので、万人向けのお手軽な方法とは言い難い。
パソコンを使わないデータ消去専用デバイスを使うという方法もある。たとえばこちらの商品は、SATA接続のHDD・SSDに接続するアダプタ型の製品で、PCがなくとも単体でドライブの消去やクローンが可能である。パソコン内部から内蔵HDDを取り出して、このデバイスに接続して、適切に設定をしたあとボタンを押せば、2TバイトあるHDDであっても数時間で0データやランダムデータで初期化してくれる。
パソコンも起動しないし専用デバイスにも対応していない場合は、最後の手段として、記憶媒体を物理的に破壊するという方法もある。私も古くて起動不能なノートパソコンから2.5インチHDDを取り出して破壊してみた。星形の特殊なネジ6か所でとまっている蓋をはずしてみると、小さい円盤が現れる。力を入れるとパリンと音がして粉々に砕けた。なお、かなり細かい破片が飛散するので、ゴーグルなどした上で、あらかじめ袋に入れてその中で破壊するのをお勧めする。
そうやって廃棄するパソコン内のデータをまずは確実に消去してから、いよいよ具体的な処分へと移ることになる。