#439 変わりゆく読書スタイル

2021/01/11

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 私の妻は割と読書家である。最近、目当ての書籍がAmazonのKindle版のみで販売されるということで、Kindleも利用するようになった。専用端末がないので、Amazonで買った電子書籍はパソコンのKindleソフトを使って読んでいたのだが、やはりパソコンだと目が疲れるし読みづらいとのこと。そんな折、自宅近くの中古屋を物色していたら、Amazon Kindle Readerの中古が出ていたので、買ってみて妻にプレゼントした。

 手に入れたのは初代のPaperwhite(第5世代)のWifi型であるが、特に目立った傷や汚れもなく、画面の状態も良好。早速自宅のWifiに接続し、アカウント情報を入れたら、これまでに購入した書籍がちゃんと登録される。マニュアルなどは添付されていなかったが、あちこちいじってみて、メニューも日本語に設定できた。ライブラリの書籍や漫画を全部ダウンロードしても全部で1Gbyte程度で、まだ2Gbyte近く余裕があるから、十分使いでがある。動作もきびきびしているし、画面も見やすい。立派なカバー(電源連動型)もおまけについていたので、ちょっとした拾い物だったと思う。

 私自身は、流行りに乗ってあれこれと電子書籍端末やサービスを使ってはいるものの、いまいちこれが、というのがなくて、結果としてあちこちのサービスに「蔵書」が散らばっている始末である。

 最初に買ったのはSonyのReaderで、これは書籍を読むためというよりも、国際会議の時に提供される山ほどのドキュメントを入れて読めるようにしたら、荷物も減って便利かも知れないという動機で買ったものである。当時はそれなりに重宝していたものの、今となって見ると、画面も暗く、またSDカードにドキュメントをいっぱい入れると動作がもっさりして仕方がない。そもそもWifi接続機能すらないので、書籍を端末に入れるにもパソコンと専用ソフトが必要であった。

 最近になって、中古品でKobo touchを見かけたので廉価で買ってみたものの、セットアップにパソコンが必要だったりするのは変わらず、画面もなんだかあまり綺麗ではなく、動作もなんとなく遅い。これらに比べれば、Kindle Readerの方ははるかに見やすく、動作も軽く、インターフェイスもわかりやすい。

 SonyのReaderやAmazonのKindle向けに、たまに書籍購入のために使えるクーポンがもらえたり、大幅な割引価格で買えるキャンペーンをやってたりしているので、その機会に散発的に電子書籍を買ったりするのだが、おかげであちこちのサービスに購入した電子書籍が散乱している状況である。

 更には、NHKラジオの語学講座のテキストを電子版で購入している「パピレス」や、漫画系の「シーモア」、雑誌のサブスクリプションとして利用している「dマガジン」など、何だかんだでこれまで契約している電子書籍サービスは多い。どれか一つのサービスに統一していれば、いろいろ便利なんだろうと思いつつ、いろんな経緯があって果たせずにいる。

 そもそも電子書籍は、実体が手許にあるわけではなく、サービスが終了されてしまえば、別のサービスに引き継がれることでもない限り、購入した書籍はもう二度と読めなくなる。そのせいか、最近では「パピレス」と統合した「Renta!」のように、書籍の購入ではなくレンタルという言い方に変えているところもあるようだ。

 とは言え、リアルな書籍は購入していけば本棚を占拠する一方で、広くない家に住む身としてはなかなかままならない面も多い。そのため最近では比較的割り切ってしまい、どうしても自分で所蔵しておきたい本以外は、図書館で借りて読んだら返してしまうことが多い。

 最近になって日々の新聞もWebで読むようになったり、テレワーク化が進んで仕事の文書もオンラインでのやりとりが中心になったり、気が付けば、活字を読むスタイルは、多様化しつつも紙からデジタルへと移りつつある。少なくとも私の中では、本や雑誌は所蔵するものから消費するものへと変化しつつある感じがする。世の中全体がそのような趨勢になりつつある中、今後の出版や新聞などのあり方は、否応なしに変革されていくのだろうとも思う。


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