#435 マイナポイントサービスの選び方

2020/09/15

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 というわけで9月に入り、いよいよ始まったマイナポイント事業である。事業の目的や内容は前回説明しているので繰り返さないが、要するに、マイナンバーカードを使って、必要な手続きを行えば、2万円の前払もしくは購入に対して5千円分のポイントによる還元が得られるというものである。

 開始直前となる8月25日に総務大臣が、マイナポイントの予約数が400万人を突破したと会見で明らかにしたそうであるが、別の見方をすれば、まだたったの400万人ということである。同時点でのマイナンバーカード交付数は2420万人ということで、全人口の約2割と言ったところ。その内の約6分の1、人口比で言えば4%未満しか、このサービスを利用する準備ができていないということになる。この先少しずつ増えていくかも知れないが、マイナンバーカードそのものの交付にも1〜2か月かかることを考えれば、とてもこの事業で想定している4000万人の利用には到底届かないのではないかと想像される。

 予約数が伸び悩んでいる原因の一つは、手続きが簡単ではないことであると思われる。マイナポイントの予約はスマホが便利と宣伝しているようだが、私に言わせれば、おそらくスマホが一番トラップが多いのではないかと思われる。そもそも対応機種が限られるということもある上に、対応機種であってもうまく読み取れない場合が多い。マイナポイント事業のトップページには「スマートフォンでマイナンバーカードをうまく読み取れない場合はこちらをチェック」として、以下の注意書きが並んでる。

 その上「機種ごとにカード読み取り位置が異なります」とあり、正しい位置に置かないと読み取りがうまくいかないらしい。ここまで微妙だと、うまくいかない場合の原因の特定が難しく、諦めてしまう向きも多いだろう。

 私の場合は、対応するスマホがなかったので、PCに接続するICカードリーダを購入して手続きした。この場合もカードの表裏を間違えるというトラップはあるが、きちんと正しく奥まで差し込めば間違いなくカードを認識してくれるので、無用のエラーで先に進めないということはなかった。話によると、セブン銀行のATMでも手続きができるようになり、それで行うのが最も簡単だという話もある。

 ところで、ポイント還元を受けられるキャッシュレスサービスは100以上もあり、一度選択すると変更はできないということなので、どれを選ぶか迷う向きもあるだろう。選択にあたってもいろいろ注意すべき点があるので列挙してみる。

★よく利用するサービスか

 最大の5000円分のポイントを付与してもらうためには、期間内に2万円の前払もしくは購入が必要になる。半年の間に2万円無理なく利用できるサービスを選ぶのが一番重要な点であろう。

★前払か購入か

 ポイント付与にあたり、プリペイドカードのように、前払(チャージ)した金額に応じて付与するタイプと、購入した金額に応じて付与するタイプがある。購入型の場合は、期間内に2万円の購入をすれば問題ないが、ポイント付与のために無理に購入するのは本末転倒である。

★申し込み方法の制限

 サービスによっては、申し込み方法(PC、スマホ、マルチコピー機、ATMなど)が限られる場合がある。

★ポイント付与のタイミング

 即時にポイント付与してくれるサービスもあれば、翌月だったり数か月先だったりする場合もある。上限の2万円に満たない場合は、ポイント付与が事業終了まで待たされる場合もある。

★ポイントの取得方法

 ついたポイントがそのまま使える場合もあるが、PCや端末で手続きをして別のポイントに変換してからでないと使えないサービスもある。

★ポイントの有効期限

 付与されたポイントに有効期限がつけられている場合もある。あまり利用しないサービスだと、折角付与されたポイントを使わないまま失効させてしまう危険性もある。

★サービス独自ポイントの条件

 サービスによっては、マイナポイント以外に独自のポイント付与を提供してくれる場合もあるが、抽選だったり先着だったり期間限定だったり、そのポイントに有効期限があったり、取得にひと手間必要だったりすることもある。

 いろいろ考えなくてはいけないことが多くて、こんな苦労をして得られるのが高々5000円くらいだったら別に申し込まなくてもいいや、という人も多いのかも知れないが、もとはと言えば我々の血税で行われている事業である。手間を惜しむために得られるものをみすみす逃すのは勿体ないと思う私は少数派なのだろうか。


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