#112 専用線からダイヤルアップへ

2000/04/07

<前目次次>


 私の以前の住まいは、ケーブルテレビを使ったインターネット高速回線使い放題の環境にあった。地元のケーブルテレビにおける実験運用の一環で、対象となる地区内で抽選で選ばれた家庭には廉価にて専用線の環境を提供され、実験と称して思う存分インターネットが利用できたのである。しかし結婚を機にその地区から転居することになり、その便利なサービスも利用できなくなってしまった。

 専用線の繋ぎ放題の環境がなくなってしまったとなれば、インターネットへの接続は、電話線を基本としたダイヤルアップに頼るしかない。というわけで、今更ながらではあるが、ダイヤルアップによるインターネット接続を試みることになった。

 ダイヤルアップの場合は、通常の電話回線よりSMAPの中居君が今盛んに宣伝しているISDNの方が速くて便利だということは、いかに今までダイヤルアップ接続をやったことのない私でも知っている。転居するついでに電話回線をISDNに切り換えることも考え、転居先の宿舎でISDN回線への工事が可能かどうかNTTに問い合せて調べてみたりもしたのだが、結局ISDNにはしなかった

 ISDNは64kbpsの専用線が2つ使えるわけだが、専用線に比べればそれでもスピードは10分の1以下である。専用線のスピードに馴れてしまった今となっては、ダイヤルアップでは今までのように繋ぎっぱなしに近い感覚でネットサーフィンをする気にはならない。接続するのはメールチェックとサイトの更新と、あとは必要な時に必要な情報を探す時ぐらいになるであろう。だから利用頻度は極めて少なくなると予想されるので、ISDNのためにターミナルアダプタなどの初期投資と月1000円以上は高い基本料金を払うのが割に合わないと感じたからである。同じ理由から、プロバイダとの契約も、定額部分の小さい少利用型のコースを選択した。

 モデムについては、14400bpsのものしか持っていなかったので、56kのモデムを新たに購入した。モデムは今や8000円程度と極めて安価である。ちなみに私は今まで2400bps、9600bps、14400bpsのモデムを買ってきたのだが、性能が上がっているにもかかわらず購入価格はどんどん安くなっているのだから、いやになってしまう。

 ということでだいたい準備はできたのだが、問題なのが配線である。電話線のモジュラジャックは玄関に近いところにあり、電話を設置するには確かに便利なところなのだが、パソコンを置いてある場所は、それとは反対側にある私の部屋の、しかも入口とは反対側の隅である。直線距離でも7〜8mはあり、接続の度に長いモジュラケーブルを延ばすのも面倒である。

 そこで、モジュラジャックの接続口のところで2つに分岐し、一方は直接電話に、そしてもう一方は平型の長いモジュラケーブルを、壁と天井をつたって私の部屋まで這わせることにした。這わせて固定するのであるから、通行などの邪魔にならないようなるべく壁と天井をつたって這わせることになり、そうすると直線距離よりも更に長い距離が必要になる。そこでまず壁と天井をつたって私の部屋の入口まで約5mのケーブルを這わせ、そこから更に2つに分岐し、一方は壁の下部をつたって私の部屋まで更に7m程這わせて、ようやくパソコンの場所まで到達させた。ちなみにもう一方は壁をつたってやはり7m程先の妻の部屋のパソコンデスクの所まで延ばした。総延長約20mにおよぶ大工事である。

 あとはこうして延ばしたモジュラケーブルをモデムにつなぎ、モデムとパソコンを繋いで、プロバイダの案内通りに設定をして接続するだけである。この辺はまあWindowsのダイアログに従ってやればそれほど苦労しないで完了した。ダイヤルして無事にインターネットに接続できることを確認。以前に比べれば速度は格段に遅いながらも、これで一応新しい家でもインターネットに接続できるようになったわけだ。ただケーブルをあまりにも長く引き回したせいか、接続スピードは56kbpsのモデムにもかかわらず46kbpsしか出ない。ちなみに直線距離でモジュラケーブルを引いて接続すると50kbpsにはなる。まあこの程度のロスはこの家の構造上仕方のないことだ。

 というわけで、ダイヤルアップ接続環境になって約3ヵ月、当初の目論見通り、家での通信はせいぜい月2〜3時間。通信代は電話代とプロバイダ合わせて1500円程度に縮小した。それで不満があるかと言うと、特にそんなこともない。常時接続時代に半ば猿のようにハマっていたネットサーフィンもようやく人並み程度になり、ネットワーク依存症もからも徐々に更生されつつあるようである。私にとってはかえってその方が幸いなのかも知れない。


<前目次次>