低出生体重児とは在胎期間に関係なく、出生時の体重が2500g未満の新生児をいいます。また、早産とは妊娠期間22週以上、37週未満で出産に至ったものをいいます(以前は24週以上でしたが、未熟児医療の発達により、1993年に改正されました)。未熟児とは早産の低出生体重児を指しますが、過去には低出生体重児を定義する用語でした。ここでは低出生体重児と区別するため、早産・未熟児という用語で解説していきます。
妊娠期間 |
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〜21週 | 22〜36週 | 37〜41週 | 42週〜 |
流産 | 早産 | 正期産 | 過期産 |
新生児の平均体重3000g(男子3000〜3100g、女子2900〜3000g)
早産の原因 : 母体側の因子としては、子宮因子(奇形、炎症、腫瘍、頚管無力症など)、感染症、内科的疾患、妊娠中毒症*、喫煙などが挙げられます。胎児側の因子としては感染症、羊水過多症、前置胎盤**(=ぜんちたいばん)、胎盤早期剥離、多胎(双子や三つ子など)、胎児奇形などが挙げられます。
低出生体重児の特徴 : 低体温、呼吸困難、感染に対する抵抗力が弱いなどの特徴がみられます。また、未熟児網膜症***などの合併症を併発することがあります。
*妊娠中毒症 : 妊娠時に高血圧、タンパク尿、浮腫のうち、一つあるいは二つ以上の症状がみられ、偶発的に発症したのではないものを妊娠中毒症といいます。
**前置胎盤 : 胎盤の付着部が子宮下部に及び、妊娠あるいは分娩時に内子宮口の全部または一部を胎盤が覆う状態をいいます。胎盤の早期剥離が起こり、大出血をきたすことがあります。
***未熟児網膜症 : 網膜への血管が未完成の状態で出生すると、後から作られた血管が網膜から眼球の内部に伸び出ていくことがあります。この新しくできた血管はもろいため出血を起こしたり、収縮して網膜を引っ張ると網膜剥離をきたすこともあります。
正常な分娩時においてもプロスタグランジンが分泌され、子宮筋を収縮させます(ちなみに、陣痛促進剤としてもプロスタグランジンが使用されていますが、過剰投与による子宮や胎児への悪影響が大きく、適正使用が必要とされています)。
歯周病の原因菌と考えられているグラム陰性菌が産生する内毒素(リポ多糖=LPS)などに対し、炎症性細胞が増加します。これらの炎症性細胞が産生するサイトカインのうち、プロスタグランジンE2(PGE2)、腫瘍壊死因子-α
(TNF-α)などのレベルが血液中で上昇することにより、胎盤を通過して胎児の成長に影響を与えたり、子宮筋を収縮させて早産を引き起こすと考えられています。
Offenbacherら(1996)は歯周病の状態と早産・未熟児(PLBW)の関係を調査し、3mm以上の付着の喪失が60%以上の部位に認められる人はそうでない人と比較し、PLBWとなる機会は7.5倍高いことを報告しました。またPLBWのうち18.2%が歯周病に罹患していることも報告しました。
Offenbacherら(1998)はPLBWと正常体重児(NBW)の母親の歯肉溝滲出液(=しにくこうしんしゅつえき)に含まれるPGE2とIL-1βのレベルを比較し、PGE2はPLBWで統計学的に有意に高いことを示しました(IL-1βに有意差は認められませんでした)。
PGE2(ng/ML) | IL-1β(ng/ML) | |
NBW | 62.6 | 720.2 |
PLBW | 131.4 | 1217.8 |
KhaderとTa’ani(2005)は歯周病が早産・未熟児に及ぼす影響に関する論文をメタ分析し、分析方法がしっかりとしている論文から得られたオッズ比は4.28倍であったと報告しています。
最終更新2013.1.2