歯の発生

 歯の発生、特にセメント質と歯根膜の発生を理解することは、歯周組織再生療法を理解するのみならず、歯の再植や移植でなぜ根面に歯根膜が残ってい ることが重要であるかを理解する助けになるといえます。また、歯に関連した口腔外科的疾患を理解する上でも重要であるといえます。
 一般の方には少し難しいかもしれませんが、歯がどのように作られていくのか図を追ってみてください。

歯胚の形成

 胎生6週から上皮と間葉組織の相互誘導により、歯ができる部分の口腔上皮が結合組織の方へ肥厚し始めます。
 胎生8〜9週になると口腔上皮が肥厚した部分の間葉組織も増殖し始めます。
 この時期を蕾状期(=らいじょうき)といいます。

 胎生9〜10週になると、増殖した口腔上皮は帽子状の形態となり、エナメル器(=えなめるき)と呼ばれます。間葉組織は歯乳頭(=しにゅうとう)と歯小嚢(=ししょうのう)に分化します。
 エナメル器、歯乳頭、歯小嚢を合わせて歯胚(=しはい)と呼びます。
 この時期を帽状期(=ぼうじょうき)といいます。

 胎生14週になるとエナメル器は外側を覆う外エナメル上皮(=がいえなめるじょうひ)と歯乳頭に接する内エナメル上皮(=ないえなめるじょうひ)に分かれます。外エナメル上皮と内エナメル上皮の間の部分はエナメル髄(=えなめるずい)と呼ばれ、突起状の細胞が網状に認められます。
 この時期を鐘状期(=しょうじょうき)といいます。

 永久歯胚は乳歯胚の下側に移動し、同様の過程で歯を作ります。

 外エナメル上皮と内エナメル上皮が接する部分は歯乳頭の方へわずかに入り込んだ形となっており、二層の細胞が並んでいます。この部分を上皮隔膜(=じょうひかくまく)といいます。

 

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最終更新2013.1.2