2025年5月のミステリ 戻る

キル・ショー KILL SHOW
2023年 ダニエル・スェウレン=ベッカー著 矢口誠訳 扶桑社ミステリー 460頁
あらすじ
アメリカ東部の小さな町で16歳のサラが行方不明になる。
サラを見つけるためと称して大手TVのスタッフが乗り込みリアリティ番組をつくり始める。それを触媒として連鎖的に起こる出来事。
その大騒動から10年がたち、関係者二十六人がインタビューを受けることを承諾した。その証言本が本書。
感想
たくさんの人が登場する割に読みやすい。話は二転三転しAがBにつながりCにつながりDとなるとよくできている。
虚構の話をあたかもドキュメンタリーの様に描いた作品を「モキュメンタリー形式」言うそうです。
 
ひとつひとつは小さなことなのに、バイアスをかけられSNSやリアリティ番組で拡散され、誰も制御できないまま結末を迎える。
悪いことが積み重なって大事故が起こる、みたいに。
映像を生かすも殺すも編集しだいやねんな。というのがひとつめの感想。
 
リアリティ番組を見ている人も本書を読んでいる人も当事者であり、
過大に責任を感じている人もいるし、自分がしでかした事を理解できていない人もいる。さらに自分が犯罪を犯した訳やなしの人もいる。
ふたつめの感想はノンフィクションであれドキュメンタリーであれリアリティ番組であれ誰かが作った物であり
「真実というものはない。あるのは解釈だけ。」ってことかな。
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ミッキー7 MICKEY7
2023年 エドワード・アシュトン著 大谷真弓訳 早川書房 457頁
あらすじ
ミッキー7は使い捨て人間エクスペンダブルミッキーの7番目。
使い捨て人間は、最後にアップデートした記憶をダウンロードされる。
つまり今までの自分の死に様は正確にはわからず、見ていた人から伝え聞くだけ。今のミッキー7はこれがなんだか落ち着かない。
氷の惑星ニヴルヘイムでのテラフォーミングという過酷なミッションによりコロニーでは食料事情が切迫し制限されていた。
その上ミッキー7は乏しい配給をアイツと分け合わないといけない、だからいつもとってもヒモジイ。
感想
映画「ミッキー17」の原作本を読む。話はブラックコメディっぽい。