こんな話はどこかの本や何かに書いてないわけがない。
話自体も単純なものである。
しかしあるところで話したら意外と受けたので、
ちょっと紹介しようという気になった。
最近の列車はモーター付きの車両とそうでないのが入り交じって編成を組んでいるが、
昔は機関車(蒸気、電気、ディーゼル機関車)が客車全体を引っぱっていた。
今でも貨物列車はそうである。
さて機関車が進む理由は、
車輪とレールに働く摩擦力があるため車輪を回すとレールから前方に力を受けるからだ。
歩くのと同じで、
地面を後ろに蹴る反作用で地面から前方に押されて進むのだ。
その力(の上限)は自重×摩擦係数なので、摩擦係数が小さい氷の上では歩きにくいし、
昔はヤスデの大群が線路を横断して、
通りかかった列車が油脂でスリップして動けなくなる事件もあったようだ。
自重×摩擦係数ということは、
自分より重たい荷物が床の上に置いてあるとすると、
それを押したり引いたりしようとしても、
自分の足の方がスリップして動かせない。
荷物の底と靴の底が同じ材質なら(接地面積にかかわらず)摩擦係数が等しいので、
これは事実である。
では機関車が客車や貨物列車を引っぱれるのは何故か?
機関車がいくら重いといっても、
客車の総重量や貨物車の総重量に比べれば、
もちろん軽い。
車輪は同じく鉄でできている。
読み終える前にわかったどころか問題まで予想した人もいるだろうが、
解答は書かないので考えてもらいたい。
[最終稿:2006年8月9日]
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