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『隣の事情』 ライブの打ち上げも早々に切り上げて、Tomoiはホテルに戻ってきていた。 酒豪揃いのメンバーにいちいち付き合っていたら長いツアーを乗り切れない。 同室のJunjiはまだ遊び歩いているらしく、一人のびのびと横になっていたのだが。 ゴン! 隣の部屋から壁を叩く音で起こされた。 壁際のベッドでちょうどくっついていたところを叩かれたみたいだ。 (帰ってきたのか。隣?) 気にせず寝ようと寝返りを打った瞬間飛び込んできた悲鳴。 『やああああああっ!やめて〜〜〜〜!』 (・・・aki、か?) 『やだやだやだ!』 ただ事じゃないakiの悲鳴が聞こえる? (え?ええ!?) (・・・これは、助けに行ったほうがいいのか?) トモイが起き上がろうとした時 『止めてよ!コウイチくん!!』 (・・・・・。) (なんだ。コウイチだったのか。) またいつもの喧嘩かと、ベッドに沈みなおした。 ゴン!! しかし、さっきより激しくぶつかる音が響く。 (なあにやってるんだよ。アイツら。) まあでも相手がKouichiなら、命にかかわる事ではないだろうし。 下手に割り入らないほうがいいだろう。 また安らかな眠りに落ちていく・・・・・が。 『痛ーーーーい!離してぇぇ!・・・あっ!!!・・痛い!痛いってばあああ!』 (命にかかわる事では・・・ない・・よな?) 『・・ひっ!・・うぇ・・・』 (・・・泣いてる!!?) 激しく動揺するトモイ。 (これは、止めに行った方がいいのか?) 『やめてって・・ば!やめないと・・』 『どうするよ?』 (あ、Kouichiの声も聞こえる。) (すごい不機嫌そうだけど。) 『・・・と、Tomoiくんに言いつけるからぁ!』 トモイはベッドの中でコケた。 (はあ?なんでそこで俺?俺か?俺なのか?) 『言えばぁ〜。Tomoiはこんなことしてくれないぜ?』 『・・・くっ!』 (・・・どんなことだよ。) (つーか、お前ら何やってるの?) 『と、Tomoiくんはもっと優しいもん!』 『こんな風に?』 『やあぁあんっ!バカバカバカ!』 (・・・なんだか。だんだん聞くに堪えられなくなってきた。) 壁に背を向けて布団に埋まってみる。 『もう無理!・・・お願い離して・・・・』 Kouichiが何か言ってるみたいだけれど、そこまでは聞き取れない。 『・・・・・・』 『・・・・・・』 小声になったらしい。 今のうちに寝てしまおう・・・と、したのに。 『あああああっ!助けて!!トモイくん!!』 (えええええ!?だからなんで俺?) 『いやあああっ。死んじゃう!やめてやめてやめてぇ』 『黙れ!』 『酷い・・。Kouichiくん・・・』 (えーっと・・・・。) これは、壁でも叩いて聞こえてますよのサインでもした方がいいのか? それとも、マジで助けに行った方がいいのか? 『ああっ!・・いやあぁあああ!!!』 一際高い悲鳴が上がった。 ただ事じゃないその様子に、トモイはベッドの上に起き上がった。 (どうした、aki!!) 『抜いちゃだめぇ!』 (・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。) (・・・・・・・・・・・・・・・・・・aki?) 『あんっ!そこ、そんなにしたら・・・死んじゃうから!』 『お前、声デカイっつーの!』 『・・んんっ!・・・う』 口を塞がれたようだ。 トモイはその場を動けなくなった。 『・・こ、・・こういちぃ。もう・・も、・・もっとぉ』 『全部入れてやるから。待ってろよ』 (お前らぁ!いい加減に!) 壁を叩こうと振り上げた手を寸前で止めた。 他に誰が聞いてるわけでもないし。 同室のJunjiは飲み歩いてて帰ってきそうもないし。 (・・・・寝よう。) 眠れるか自信はないけど。 ライブの後のコミュニケーションだと思えば。 明日は移動日だし、少々声が枯れていてもいいだろうし。 『・・・こういちくんv』 耳に入る甘い声。 トモイはもう一方のベッドに移動して、布団を頭からかぶった。 みんなが幸せならば、それでいいじゃないか。 誰に迷惑かけてるわけでもないし。 『あんっ!もう、いっぱい・・・出ちゃ・・・』 (前言撤回!) (ここに迷惑してる俺がいる!) Tomoiは壁に枕を投げつけた。 FIN |