良心  

良心は、善いことを行い、悪いことを避けます。 良心に従うとは、「正しい自分」に従うということでしょう。ここでの「良心」とは、「正しい自分」ということですから、「良心」とは、アートマンということでしょう。「アングッタラニカーヤ」に、ブッダの以下の言葉があります。

「自己のうちに悪があるのに自分のために隠そうとする汝を、貴いアートマンは軽視している」

ブッダのこの言葉では、 アートマンである「我」が、自分の悪を隠そうとする「非我」を、軽視しています。

「我」とは「良心」であり、「正しい自分」です。悪を隠そうとする自分とは、「間違った自分」であり、「非我」です。「良心」とは、自分に対しても、誰に対しても、何に対しても、正直なのです。

どこまでも善の実現をめざしたブッダは、倫理の実践者だったようです。そのための行動が、アートマンの実現であり、アートマンではない「非我」を「我」と見ないことです。ブッダは、アートマンとしての「我」の存在を、積極的に肯定しているのです。

エルネスト・ルナンは、イエスのいう「神の国」とは善のことであり、魂の自由であって、仏教のいう煩悩を取り去った「解脱」に近いと言っています。イエスもブッダと同じように、どこまでも善の実現をめざした倫理の実践者であり、理想が現実化することを固く信じていたようです。イエスの「神の国」とは、アートマンのことのようです。



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