横浜横断カヌーフェスティバル

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2001/10/14  横浜新港埠頭

ちょうど一年前の今日、僕のシーカヤック(シーショア500)の進水式でした。

一年が経ち、いまだにへたっぴで、まともにブレイスも出来ないし、

ましてやロールなんて、もってのほかです。

でも、何故だか距離だけは漕げるようになってきています。

パドリングが上達したのか? ただ単に体力がついただけのか?

シーカヤック歴1年目の今日、1年間の成果を試すため、また、

自分を試すために、レースに参加することにしたのです。

(参加の手続きは、サウスウィンドの石田さんにお願いしました。)

§

レース当日。

場所は、横浜新港埠頭。

横浜の都心部を流れる、大岡川、堀割川が舞台となります。

これらの川は、かつて横浜水運の重要航路であり、また、

そこに暮らす人々に安らぎを与えてくれる水空間でもあったと言います。

都市化により失われた、やすらぎを持っていた川。

カヌーで横浜の川を漕ぐことを通じて、水辺の再生と復権を掲げ、

共に、川に触れ、川について語り合う。

このようなことが、カヌーフェスティバルの真の目的です。

ただのレースではないのです。

レース後、大会関係者のぼやきが聞くともなしに聞こえてきました。

「これじゃあ、ただのレースだよな。本来の趣旨とは外れてきている・・・」

とはいっても、順位がついて、賞品が出るとなれば、

むきになるのも仕方ないですよね。僕もその一人なのでした・・・

§

当日は、受けねらい、渋滞対策および、道に迷うことに備えて、バイクで出かけました。

例の過積載状態です。(バイクで、シーカヤックを運ぶ方法を参照)

前日の仕事疲れのせいで、早起きに失敗したので、大慌てで会場に向かいました。

会場には、既に大勢のカヌーイスト達が集まってきており、大混雑状態。

普通のシーカヤックはもちろんのこと、レーシング艇、ファルト艇、スラローム艇や、

立ち漕ぎスタイルの見たこともない船もいて、多種多様です。

参加者の年齢層もまた多様で、小学生くらいの子供から、

還暦を迎えているのではと思われる年配の方までいて、

カヌーが、老若男女問わず楽しめるスポーツであることを実感。

そんなことに感心している余裕がないので、急いでバイクから船を降ろし、組立開始。

今回は、船の修理(船体布に明いていた穴をふさいだ)完了試験も

かねてのレースということで、少し無謀なチャレンジとなるけれど、

距離も短い(7km)ので、いざとなればなんとかなるでしょう?

修理の成功を祈りなが、船を組み立てる。

所要時間は、慣れてきた今でも、30分はかかります。

でも、これは出航前の儀式みたいなもので、決していやなものじゃありません。

§

しばらくすると、サウスウィンドのメンバーも集まり、程なく開会式が始まる。

この横浜横断カヌーフェスティバル、何と今年で20回目!の開催となるらしい。

そんなに昔から漕いでいる人がいるのには、驚きを隠せません。

20回目ということもあって、協賛も多く(もちろん我らがサウスウィンドも!)、

豪華賞品も多数用意されているという。

これは、がんばらねば!

§

開会式後、順番を待って、運河(川)に船を降ろし、スタート地点である

日本丸メモリアルパーク前に移動。

距離は、大した事ないのに、なんだか既に疲労気味。

やはり、4時間しか寝てないせいか?

Bコース(7km)とは言え、先が思いやられます。

§

スタート会場で、久しぶりの海の感触を確かめながらのパドリング。

やっぱり海はいいよなーと、晴天の横浜を満喫。

海からの見る横浜の風景は、とても新鮮です。

カヤックと高層ビルと観覧車、なんだか絵になりますね、青木さん。

1時間ほど、行ったり来たりしながら、最終調整をした後、

いよいよスタート時間が迫ってきました。

「始めは勢い良く、途中は流して!」

サウスウィンドチームのベテランである田中さんのアドバイス。

頭では分かっても、いざスタートしてしまうと、自分を見失いそうです。

§

カヤックでのスタート待ちは、風と波に押されて、少しずつ移動

してしまうので、スタートラインに留まることが少し難しいのです。

そんな状態なので、主催者側から注意されてしまいます。

「はやる気持ちは分かりますけど、もう少し下がって下さい!」

そして、いよいよスタートの時が来た。

前置きもなく、スタートの号令がかかる。

「レディ・・・、ゴー!」

「え?、今のがスタートの合図なの?」

戸惑っているうちに出遅れてしまいました。

原動機をもたないカヌーならではの、とても静かなスタート。

スタート直後の様子(八景のバランスタッチ青木さん提供)

 

でも、そう思っていたのも一瞬のこと。

多数のカヌーが巻き起こす波にもまれながら、必死のパドリング。

べた凪だったはずの海が、少し荒れた海へと変貌しているのです。

1艇1艇の起こす波は小さいけれど、それが150艇分も集まると、

すごいことになるんです。ちょっと感動してしまいました。

§

スタートしてすぐに、一つ目の橋をくぐり抜けます。

出遅れたせいで、そこは、カヌーの大渋滞。

後ろから追突されるは、前にいる人の船に引っかかるはで、もう大変な状態。

横を向いた船を立て直すのに、体力を消耗してしまいます。

やはり、スタートは肝心ですね。遅ればせながら、実感しました。

しばらくは、大混雑の中を抜けるために、ひたすらハイペースで漕ぎ続けました。

少し空いてきたところで、田中さんの言う通り、「流し」に入ります。

疲労のせいで、流さざるを得ないというのが本当のところですが・・・

いくつもの橋をくぐり抜けながらのパドリング。

ギャラリーのいる所では、無理して、少しがんばって漕いで、

誰も見ていないところでは流しながら距離を稼いで行きます。

前を行く、僕と同じファルト艇を追いかけるものの、一向に距離は縮まらない。

そして、いつまでたっても、回航(折り返し)ポイントは現れない。

疲労もピークに達し、ひょっとして、回航ポイントを通り過ぎてしまい

Aコース(14km!)に入ってしまったのではないの?

と思い始めた頃、すれ違うカヌーが、ちらほらと現れてきました。

「回航ポイントは、近いぞ!」

すれ違うカヌーを見ていて気づいた事。ファルトが1艇しかいない!

という事は、現時点で、前を行くファルトが2位、僕は3位?

その後、すれ違うファルト艇はなく、回航ポイントへ。

2人乗りのカナディアンカヌー2艇に挟まれながらの、窮屈な折り返し。

少しピッチを上げて、カナディアンを引き離し、

前を行く、2位のファルト艇の追跡にかかります。

僕も相当に疲れていたけれど、前を行くファルトさんも同じだったようで、

徐々に距離は縮まってゆきます。

あと10メートル程の距離に近づいたところで、相手がこちらに気づきました。

「お!来たな。音もなく、ひたひたと!」

そして、並走。少し話をする。

「その船は、フジタ?」

「そうです!そちらは?」

「これは、ファルホーク。フジタカヌーは速いんだよねー」

そうなんだろうか?と思いつつも笑顔で応え、

それと同時にピッチを上げ、2位に上がる。

「あーあ、3位か・・・」

がっかりしたような、声が聞こえたので、とても気後れしたけれど、

ここは、勝負の世界?

さらに、相手の戦意を喪失させるくらいの距離を開けるため、

必死でパドリングする。

あーあ、このレースの目的は何だっけ?

水辺の再生と復権?、共に川に触れ、川について語り合う?

そんなことはすっかり忘れ、ただただ必死に勝負してます。

主催者の嘆きも、うなずけますよね?

§

折り返し後は、2位キープの疲労で、「もうだめだ・・・」とも思ったりしたけれど、

「ガンバレー!」

と応援してくれるギャラリーもいたりして、それに応えるためにも、

疲れた体に鞭打っての、必死のパドリングは続くのです。

川には、数え切れないくらい、たくさんの橋が架かっていて、

「あと幾つ、この橋をくぐれば、ゴールが見えるのだろう?」

ずっと、こんなことを考えながら漕いでました。

「よーし、残る橋が、3つまでなら許そう(誰を?)」

と思って漕いでいても、あっさりと淡い期待は裏切られ、

橋を3つくぐったところで、ゴールなど見えやしないのでした。

そのたびに、目標を設定し直します、あと3つ、あと3つと・・・

そんなことを繰りかえしていたときに見えてきたのが観覧車!

やっと、ゴールだ。

あと1つ橋をくぐれば、ゴールはすぐそこのはず。

橋をくぐったところで、オフィシャルの誘導で、船を左に寄せる。

ところが・・・

「こっちじゃないです!右に曲って!」

そうなんです。僕の勘違いでした。

まっすぐ進みながら左に寄せるのかと思いきや、そうではなくて、

右に曲りながら左に寄せるのが正解でした。

ふと後ろを振り返ると、そこには、さっき抜いて来た元2位のファルトさんの姿が!

思ったより、距離は離れていなかったのです。

僕が大回りしているうちに、距離は、さらに縮まった模様。

「まずいぞ、これは・・・」

ここから先は、残る体力を振り絞ってのラストスパート。

なんとか2位を死守したままゴール!

3位のファルトさんとのタイム差は、最終的には30秒ほどでした。

あー、疲れた。でも、とても達成感があります。

因みに、1位のフェザークラフト氏は、僕より5分も前にゴールしていました。

フェザー氏曰く。

「この船で勝っても、あまり嬉しくないです。逆に恥ずかしい・・・」

確かに、フェザークラフトは、ファルトの域を越えているかも知れませんね。

僕のシーショアもそれに近いものがあるかも?と思ったりしました。

きっと、船の力に助けられた2位獲得でしょうね。

§

そして、表彰式。

生まれて始めて、表彰台(ファルト部門2位)に立ちました。

少し、恥ずかしい気持ちもありますね。

賞状なんて貰うの、いつ以来だろう?

とにかく、すごく嬉しい!

賞品は、3分割のウッドパドル、防水バックでした。

1年間がんばった甲斐があったなー(?)と、感慨もひとしおです。

シーカヤック1周年の記念すべき今日(そんなに大げさなもの?)、

とてもいい記念日になりました。

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