今回の回航のナビゲーションには特徴が2つあった。

一つは、BGの設定が不調で、船速や風速は出るのにコンパストランジューサーを交換しても針路を表示せず、他にはこのフネにコンパスが無かったことである。
そこで私の漁船のコンパスをはずしてきて、コンパスライト用のコードをつけたまま左右両舷にマジックテープで固定できるようにした。タックをするたびにコンパスを移動して、ベアリングコンパスでその取付けを確認するという、ローテクだった。

もう一つは紙海図も充分持ってはいたけれど、結局一度も使わずに、全てパソコンでナビゲーションを済ませてしまったことである。パソコンはデルのノート、OSWin2000、ソフトはPEC01から03日本水路協会が出しているPC用航海参考図)、GPSアンテナはUSB接続で舶用にも適したGenius1(オーストラリア製でUS$199、インバーターはオートバックスで4千円台だった。
ヨットにきちんと取り付ける余裕など無かったから、パソコンもアンテナも配線もすべてガムテープで仮止めして、インバーターが意外に電流を喰うので配電盤のブレーカー選びもインチキをした。果たしてうまく動いてくれるのか不安だったけれど、ちゃんと動いた。
ただ
GPSアンテナの接続をONにした状態でパソコンの節電機能が働くとなんかヘンになるので、パソコンの節電をOFFにするか、アンテナ接続をソフト側からOFFにする必要があった。

PECに関しては免責と断ってはいるが、暗礁や防波堤などの位置が詳細に出ているし、等深線もあるし、主だった灯台の光質も表記されている。表示ソフト付きで125千円だが、関東から大阪湾までカバーしようとすると3本買わなければならない。032月に購入した瀬戸内海東部のシリアル番号は31番だったから、ひょっとしたらまだ31本しか売れていないのかもしれない。そのせいか開発者の黒崎さんにメールを出すと丁寧に回答してくれる。10インチのGPSプロッターを安く買っても30万円はして、それなりに使い勝手の良いところもあるが、PECの方がチャートはずっと詳細である。最近は14インチのノートパソコンが10万円以下で買えるし、パソコンは家に持ち帰り反省できるしで、悪い買い物ではないと思う。
GPS
で測位した航跡はテキストファイルに保存されるから、メールで簡単に送れたりもする。