豊穣のレバノン〜ビブロス
 
Byblos
 
 
ビブロス
 

  世界最古の都市国家が成立したここビブロスには、新石器時代から人々が定住してきました。ビブロスのギリシャ名はパピルス、すなわち「書物」を意味し、これが転じて世界最古の書物である聖書の語源「バイブル」となったのです。  

 
ビブロス遺跡
 


   
十字軍の城
ビブロスの遺跡はいくつもの時代の複合体です。古くは新石器時代から、何千年にもわたって築き重ねられてきました。入口に立つひときわ大きな城砦は十字軍時代のもの。ヨーロッパから海を越えてやってきた戦士たちは、ここを拠点としてエルサレムへ攻め込んでいったのでしょうか。
   

       
 
青銅器時代
こちらは青銅器時代の都市の跡。四角く削り出した石を積み重ねて建物を造りました。今では土台しか残っていませんが、そもそも残っていること自体が驚きですよね。
 
遠景
十字軍の城からは遺跡の全景が一望です。手前は比較的遺物が残っていますが、遠くに行くとほとんど野原。掘ればいろいろ出てくるんだろうけど。
 
オベリスクの神殿
エジプト支配時代の痕跡を残すオベリスクは、本場のものと比べると小さく造りも素朴ですが本数では勝っています。でもこれじゃオベリスクというよりストーンサークル?
 

   
列柱
それでは連想ゲームです。列柱と言えば? そう、ローマですね。これでローマ時代にも人が住んでいたことがわかります。しかし、オベリスク同様こちらも本場(ってどこよ?)のものと比べるとやや小さめ。あまりローマ遺跡っぽくありません。背の低い人が住んでいたのかな。
   

       
 
井戸
なぜ先史時代から人々が住み続けてきたのか? 決め手となったのが泉の存在です。ビブロスは湧き水が豊富で、井戸さえ掘れば水は簡単に手に入ったのです。
 
円形劇場
この劇場は客席が五段しかなくミニチュアのようですが、地中海を背にする絶好のロケーションに位置しています。舞台と客席の目線が同レベルなので不思議な感じです。
 
国連平和維持軍
国連平和維持軍の兵士たちも観光に来ていました。ポーランド出身の彼らはこの日は非番だったそうですが、普段は南レバノンのイスラエルとの国境地帯に展開しているそうです。
 

   
温泉リゾート?
驚くことに、海岸線の沖合い数メートルの海底からは今も泉が湧き出しているそうです。しかも、それが温泉なのだとか。この土地を最初に発見したのが日本人だったら、きっと旅館ばっかりの遺跡になってたんだろうな。それはさておき、周囲には南欧風の住宅も多く、リゾートそのものです。
   

 
ビブロス市街
 


   
木陰の道
この日レバノン全土は記録的な暑さでした。といってもせいぜい35℃なのですが、地中海からの風が湿気を運んできて体感的にはとても蒸し暑い。外を小一時間も観光するとシャツは汗でびっしょりです。そんな時に木陰に入るとひんやりして天国のような快適さ。ああ、木陰が恋しい。
   

   
化石
街の背後の石灰質の丘からは魚の化石が多く出ます。土産物屋で売っていましたが、物珍しさも手伝って観光客には大人気。店側も強気で、その辺の物産よりもずっと高値を付けていました。タコの化石(!)もありました。あんなに水分の多い生物でも化石になるんですね。
   

   
スーク
100mほどしかないこの一本道がビブロスのスークです。向こう端まで行って戻ってきてもわずか5分かそこら。田舎町らしいほのぼのとした雰囲気が漂っています。品揃えは観光地の土産物屋にありがちなタイプですが、ちょっと洒落たシルクのティッシュケースが気に入ったので買ってきました。
   


   

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