悠久のインド〜デリー
 
Delhi
 
 
デリー
 

  七つの王朝が栄えた由緒あるインドの首都は、神話時代にまでその紀元を溯ります。今ではアメリカナイズされた街の広い範囲に、各時代の歴史の面影が見え隠れしています。現在の首都ニューデリーは、あくまでそのうちのひとつに過ぎません。  

 
ラージ・ガート
 


 
建国の父、マハトマ・ガンディー
非暴力・不服従を唱え、イギリス植民地支配からの独立を勝ち取った、インド建国の父マハトマ・ガンディー。右翼のテロに倒れた彼はここで荼毘に付され、すぐ裏のヤムナー河(ガンジス河の支流)に遺灰が流されました。ヒンドゥー最大の聖地であるバラナシではなくデリーから流したのは、インド全域(実際には無理ですが)に遺灰を行き渡らせたいという願いを込めてのことだったそうです。その甲斐あってか、現在のインドは非常に多くの人口と多様な宗教と信じられないほどの貧富の格差を抱えながらも国として安定しているという、ほとんど奇跡的な状態を実現しています。紛れもなく「世界最大の民主主義国家」なのです。
   

 
ラール・キラー
 


   
ここもシャー・ジャハーン
アーグラ城とともにムガール皇帝の居城となったラール・キラー。この建築を命じたのも、何を隠そう、あのシャー・ジャハーンです。チャトリや優美なラインの外壁もさることながら、当然内部は宝石や貴石がちりばめられ、「地上に天国があるとするならば、それはここだ」と詩に謳われるほどだったそうな。
   

 
ニューデリー
 


   
インド門
ニューデリーのランドマークとなっているインド門は、第一次世界大戦の戦死者に捧げられるために建てられました。イギリス軍の末端としてヨーロッパの戦場に連れて行かれたインド人兵士は、なんと9万人もが戦死したのだそうです。そういえば日本兵として戦死した中国人や朝鮮人もいたな。
   

   
計画都市
ニューデリーとは、植民地時代にイギリスがコルカタからの首都機能移転のために、デリーの一角に建設した街。1911年に設計が開始され1931年に建設が完了しました。東端のインド門と西端の大統領官邸を結ぶ「王の道」と、それに直交する「民の道」を基本軸として、六角形に区画が切られています。
     
交通整理
大統領官邸に面するメインストリートの交差点のど真ん中には、交通整理のおまわりさん用の詰め所が置かれていました。なかなか小粋な建物です。でも、突っ込んでいいですか。このあたりは道幅はとても広いのに交通量はとても少ないんです。手持ち無沙汰に立ち尽くす彼はいったい何を整理すればいいんでしょう。
   

       
 
国会議事堂
現代的といえは現代的。どことなく未来感を漂わせています。が、円形のこのデザインをどう評価していいものやら。インドにはマッチしていないような気がするんですけどね。
 
インド政府合同庁舎
道路を挟んで似たような二棟、北館と南館が向かい合っています。写真は南館。奥には大統領官邸もあります。インドの霞ヶ関ですね。それにしても道が広いな。
 
非インド的
ニューデリーには立法や行政などインドの政府機能が集中するほか、オフィスや高級ブティックも軒を並べているそうです。やっぱりインドらしくないですね。
 

 
フマユーン廟
 


   
プロトタイプ
白大理石と赤砂岩の組み合わせが美しい、ムガール帝国第二代皇帝フマユーンの廟。異なる建材を組み合わせるというこの方法は、以後のムガール帝国において廟建築の基本となりました。アーチ型の門の向こうに本殿を望む空間構成も、ドラマチックな効果を生んでいます。
   

   
折衷様式
建築学的な観点からも貴重な建物です。フマユーンはイスラム教徒でしたが、壁面の装飾はユダヤ教やキリスト教などの様々な様式が取り入れられており、さらにはペルシャやモンゴルの要素も見られるとか。さらには建物を取り囲む四分庭園も、水路を含めて綺麗に区画されています。
   

 
クトゥブ・ミナール
 


  高さ72.5m、インドで最も高い石造建築物は、地上からでは頂上の様子がよくわかりません。デリーに最初のイスラム王朝を開いたアイバクが建てた勝利記念塔は、五層に分かれたそれぞれに異なった装飾が施されています。  

   
錆びない鉄柱
背中に腕を回して掴めると幸せになると言われているアショーカ王の鉄柱。建てられてから1500年以上経つのに不思議と錆びません。世界七不思議のひとつとして雑誌「ムー」で取り上げられたのをご存知の方もいることでしょう。これってデリーにあったんですね。
   
本当は何層?
実際にアイバクが築いたのは一層だけ。二層目からは娘婿が増築しました。ではなぜアイバク作とされているのか。過去幾多の地震でびくともしなかったことから、地中の基礎部分がかなり深いのです。地下部分を考えればやはり主たる造営者はアイバクなのです。
   

 
街角の風景から
 


   
シーク教徒
このツアーのインド側の主催者である旅行会社の社長さんと。インド人というとみんな頭にターバンを巻いているイメージがありますが、これはシーク教徒だけのこと。主に旅行業で活躍しているシーク教徒は日本人と出会う機会が多く、それで「インド人=ターバン」となったのでしょう。
     

     
レッドスネーク、カモーン!
インドといえばヘビつかい。お話の中の世界でしょと思っていたら、本当にいるわいるわ。10ルピーで写真もOKです。もちろん観光客が持つのは毒のない安全な蛇ですが、手前のかごでとぐろを巻いているのは正真正銘キングコブラ。他に熊つかいや猿まわしもいて、インド大道芸の厚みが伺い知れます。
   


   

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