消火設備等に用いられるポンプについて

ポンプとは
ポンプとは、水を重力に逆らって上方向、横方向や下方向に送る機械です。

ポンプで消火水槽の水を火災発生場所まで送り消火します。
つまり火災を消すのは高架水槽や呼水槽ではなく消火水槽の水です。

少し語弊のある言い方ですが、
ポンプに下のような記述がある例では、
このポンプでは、毎分220リットルの水を運ぶ場合は74.6メートルの高さまで持ち上げられますが、毎分300リットルの水を運ぶ場合は67メートルの高さまで持ち上げられます。・・・ということをメーカーが保障します、という意味です。


   



冷却用配管
ポンプは起動すると高速で回転するため、回転軸やポンプ本体が摩擦による高熱を帯び破損してしまう危険性があるため、消火用に吸い上げた水の一部をポンプ内を循環させ冷却用に用います。



呼水槽
ポンプを起動した時に即座に水を吐出出来るように、また摩擦による破損を防ぐため、「呼水槽」を用いてポンプの中を水で満たしておきます。
また、ポンプ冷却用に用いた水は「逃し配管」を設置し呼水槽に流すのが一般的です。
図のように呼水槽をポンプより高い位置に設置することにより、呼水槽の中の水は重力により「給水管」を通りポンプ内を水で満たすことが出来るわけです。
※ポンプを起動すると呼水槽の満水警報が出ることがありますが、これは逃し配管から入った水が原因です。
※ポンプを長時間回し続けてしまった時に、呼水槽の中の水が熱湯になっていることがあります。これはポンプの冷却がポンプの温度上昇に間に合わず徐々に水温が上がってしまったためです。

写真のように、ポンプ上部のバルブを開け、水が出てくればポンプの中が水で満たされている確認ができます。





逆止弁 (その1)
ここでまた問題が2つ生じてしまいます。
1つめは、ポンプを起動させた時に吸い上げた水が呼水槽へ逆流して呼水槽があふれてしまうことです。
2つめは、呼水槽からポンプ内を満たすために流れてきた水が、ポンプを通り消火水槽まで流れて消火水槽があふれてしまうことです。

このため「逆止弁」を用います。
逆止弁とは配管内の水の流れを一方向に制御するためのものです。
矢印の方向のみに水が流れるように逆止弁をとりつけます。消火水槽内の図の部分に取り付ける逆止弁をフート弁と呼びます。

これにより、呼水槽の水をフート弁で止めることができます。点検票の呼水槽の欄にフート弁が記載されているのはこのためです。



また、水源の水面がポンプより高くなるように消火水槽が設置されていれば、ポンプの中が水で満たされるため、呼水槽の設置は必要なくなります。



制御弁 (その1)
制御弁とは配管内の水の流れを制御し完全に止めてしまうことのできる、家庭にある蛇口と同様のものと考えていいでしょう。仕切弁、制水弁、ゲート弁、ゲートバルブなどとも呼ばれます。
呼水槽の水が減水状態では消火活動に支障をきたすので、減水した時にはボールタップで自動給水出来るようにします。
フート弁の不良等で一時的に呼水槽からの水の流れを止めなくてはならない場合があるので、給水管の下図の位置に制御弁を取り付けておきます。
もちろん「常時開」です。