TOKYO POETRY READING Vol.1

−言葉にならないようなことを言葉にしてゆく−

たぐち ふとし


1
寝むれない

97/10/2

寝むれない日々が続く
夜 寝むれないのは嫌だ
昼間 眠くなるのも嫌だ

寝むれない日々が続く
力んで
眠よう眠ろうと思うと眠れない
逆に
起きてよう起きていようと思っても眠れない
時計の針ばかりが気にかかる
ちょっと ちょっと
自分を無くしてるよ

何時まで起き続けているのか
ズウッと起き続けていたらどうなるのか
どんな意識になるのか
だんだんと何を考えるのか
いいことよりも悪いことを考える
そして 目に見えない不安
そう 目に見えない不安
ちょっとちょっと
自分を無くしてるよ
何も悪いことしてないよ
どう思ったって意識には関係なく
太陽は昇り
太陽は沈むよ

2

97/9/23

ときどきわけが分からなくなる
今 夢を見ているんじゃないかって
夢がものすごくリアルなんだ カラーだし
現実も夢じゃないのに夢かって思うよ
夢の中で夢をみているんじゃないかって
怖くってギュッと手を抓るんだ
確かに痛いんだけどね
この痛さ自身も夢なんじゃないかって
怖くってギュッと手を抓るんだ
もっと強く 強くに

3
無心

97/9/26

考え事し過ぎちゃってさ
無心になればいいのにって思うことない
無心になれて言うけど
そんなのなれないじゃない
余計にさ 無心になれとか 無心になるにはとか
考えちゃったりしてさ

月を見ているときってどんな気持ちだろうね
苛立ってる時とか恨みを募らせてるときって
見ないんじゃないかな
悲しい時 嬉しい時に見るかな
そういった時もあるけど
そんなんばっかでもないんじゃない

月を見ているときってどうだろうな
ボンヤリと月を見ているって言うじゃない
そうそう それが無心なんだよ
無心になるにはね
目を閉じるんだ
そして静かに月を
思ってごらん
どうだい


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