生機融合体

 ゾンダーの存在が確認され、新たに定められた概念である。生物に機械が有機的に融合した状態を指し、多くの場合、機械移植にともなうような拒否反応が起こらず、基となった生物種を遥かに上回る身体機能を持つほか、新たな能力を得る。機界新種殲滅まではゾンダーを指す学術的な用語だったが、Gストーンの奇跡により生身の肉体を取り戻したエヴォリュダー・ガイが確認されて以降はより広い概念となった。
 獅子王凱の身体を例に取るとは、サイボーグ体を構成していた機械群と僅かに残されていた生体部分とが天海護GGG特別隊員による浄解を経て細胞レベルで融合し、ヒトとも機械とも異なる、新たな生命体へと変化した。これは従来の生体機能を機械で代替するサイボーグとは根本的に異なる、新たな生物の規定であり、概念である。なお、同様にゾヌーダとして浄解を受けた卯都木命GGG機動部隊専属オペレーターも、機界新種の不屈の生命力と再生能力を得たセミ・エヴォリュダーとして新人類ともいえる存在となっており、彼女もまた「生機融合体」と呼ぶことができるであろう。
 しかし、生物と機械の融合体として2005年当時最もポピュラーな存在だったのは、他でもない、ゾンダーメタルに細胞レヴェルでの寄生をされた知的生命体、即ちゾンダーである。ガイは機界文明との生命をかけた長い戦いの末に生身の肉体を取り戻したものと思われた。しかし実際に彼が手に入れたのは、生命をかけて打倒し、滅ぼしたはずのゾンダーと本質的には同じ肉体であったのだ。ゾンダーとエヴォリュダーとの違いは、エネルギィ源となる結晶体の相違と、身体全体に対する生体と機械の比率であり、それはどこまでも程度問題でしかない。これほどに皮肉な結末があるだろうか。事実、悪の国際犯罪組織・バイオネットの構成員など、彼に敵意を向ける者たちが、皮肉を込めて彼を「生機融合体」と呼ぶことがある。だが、彼の「勇者」たる所以は、その悲劇の肉体を得てなお「勇者」たらんとする、その心にあるのである。我々は彼と言う犠牲の上に成り立つ世界に生きる者として、それを決して忘れてはならない。