ランス

 パリから北に約200kmの距離に位置するフランス・ノール・パ・ド・カレー地方の小都市。シャンパンとノートルダム大聖堂で有名なシャンパーニュ地方のランス市と混同されがちであるが、こちらはLensとつづり、Reimsとつづるシャンパーニュ地方・ランス市とは全く別の都市である。
 元来は炭鉱町として栄えたが、第1次世界大戦において市街の殆どが焼失し、現在の街並みはそれ以降に建てられたものである。伝統的な街並みを失ったために観光資源に乏しく、アール・デコ様式に統一された内装を有するアルトワ大学のジャン・ベラン校舎が殆ど唯一の見所となっている。ここは炭鉱町らしく、本来は炭鉱会社の事務所として1930年に建てられたが、1992年にアルトワ大学の理学部校舎に改装された。
 またサッカーの分野ではフランスでも歴史が古く、フランス最初のサッカーチーム「レーシング・クラブ・ド・ランス」がここで結成されている。そうした歴史も踏まえ1998年にフランス主催で行われたFIFAワールドカップの試合開催地のひとつに選ばれ、フェリックス・ボレール競技場にて幾多の熱戦が繰り広げられた。
 ルネ・カーディフの生地であり、14歳までの年月を母・フレール・カーディフと過ごし、そして突如彼女を奪われた、ルネにとって思い深く、そして忘れ得ぬ町である。