★文芸5 思想 哲学 人文一般
いわゆる固い本、頭を使う本です。ニューアカディズムの本もここ。
ID番号―書名―著者―出版社―発行年―初か再か―帯の有無―状態―元の価格

T−a036−0001
身体の文学史 養老孟司 新潮社 1997年 帯 B 1300円
日本人は、江戸時代から四百年にわたって、身体を抑圧し、隠蔽し、無
意識化してきた。文学の問題が、常に「心」の問題として表現されるよう
になったのは、そのためである……。芥川、漱石、鴎外、志賀直哉、小林
秀雄、大岡昇平、深沢七郎、三島由紀夫、石原慎太郎、等の作品を「身
体」の切り口で大胆に読み替える画期的論考―――帯裏惹句。★今話
題の気鋭の解剖学者が専門の「身体」から読み直した日本の文学。目
から鱗ぽろり本。
価格
\700
T−a036−002
〈電通〉文学にまみれて チャート式小説技術時評
 渡部直巳 太田出版 1992年 初・帯 1700円
文学史上初めて小説を◯×式で採点し、平成文壇を震撼させ、〈電通的〉
感性に浸蝕された文学の現状を批判して話題騒然の、“愛と罵声”の文芸
時評――帯惹句より。★『すばる』誌上において1991年から一年間連載さ
れた当時の文壇事情が手に取るようにわかる文芸評論。面白くなくはない
が、これって安原顕とどう違うのか。むろんチャートだけでなく、どこがどう
して悪いのかって解説もされているが。巻末に金井美恵子との対談付き。
※鉛筆での書き込み少々アリ。
価格
\600
T−a036−003
ヒューモアとしての唯物論 柄谷行人
 筑摩書房 1993年 初・帯 B 1900円
目次T=個体の地異 交通空間についてのノート 一つの精神、二つの十九世紀 エク
リチュールとナショナリズム 非デカルト的コギト フーコーと日本 U= ヒューモアとして
の唯物論 ライプニッツ症候群 中野重治と転向 V=伊藤仁斎論 テクストとしての聖
書 柳田國男論 『意味の変容』論 日本植民地主義の起源  
価格
\1,000
T−a036−004
マルクスその可能性の中心 柄谷行人 講談社 1978年 B 1000円
【目次】 Tマルクスその可能性の中心 U歴史について――武田泰淳 V階級につい
て――漱石試論T W文学について――漱石試論U ★柄谷の中期の代表作。亀井
勝一郎賞受賞作。※鉛筆での書き込みややアリ。
価格
\600
T−a036−005
隠喩としての建築 1981.1〜1982.8 柄谷行人 講談社 B 1400円
★1980年代初頭の「すべてのエッセイを集めた本書は、柄谷行人の“移動”の軌跡をより
具体的に物語っている」―――裏表紙コピー抜粋。「この本には、私自身は出版するつも
りのなかったものが、ほぼ残らず年代順に収録されている」著者の後書きより。※鉛筆書
き込みやや有り。
価格
\600
T−a036−006
虹の理論 中沢新一 新潮社 昭和62年 帯 B 1300円
ここには八つの科学的寓話がおさめられている。寓話という言い方がお気にめさなけ
れば、シュプレッヒ・シュティンメの書法(語るように歌い。歌うように語るというあの中
間的な書法だ)で書かれた、八つの科学的モデルがおさめられている。話題は多岐に
わたっているようにみえるが、じっさいにはどれも同じひとつのテーマしか語っていな
い。それは両義性の記号からの脱出、あるいはその破壊というテーマだ――。本書
あとがきより。
価格
\800
T−a036−007
チベットのモーツァルト 中沢新一 せりか書房 1984年 B 2500円
密教行者となるために、チベットのラマ僧のもとにとびこんで修行をつづけてきた若き
宗教学者である著者は、ことばの論理がはてしなく解体されてゆく意識の変容状態へ
と踏みこんだ。アジア的思考の奥深くにひそむめくるめくような内在的言語論は、西欧
の知的論理の網の目をたくみにすりぬけてゆく技術をぼくたちに生き生きと示してくれ
ている。この体験をとおしてカスタネダ、クリステヴァを論じ、タントラ仏教、丸石神、江
戸の民衆芸をへてランボーにいたりつく著者の旅は、ついにはたえまなく身体を打ち
ふるわす極楽浄土の音楽に行きついた。じっさい本書には、かつてないほど刺激的な
冒険がみちあふれている―――折り込み書店チラシ文。中沢新一の代表作のひとつ。
※文中一部鉛筆での書き込みアリ。
価格
\1,300
T−a036−008
雪片曲線論 中沢新一 青土社 1985年 帯・カバー B 2200円
生きた自然を抽象化し均質化するスタンダードな構造思考の破綻と共に、パラドキシカル
な無限小の繰り込みを可能にするフラクタル理論が誕生した。渦を巻くゆらぎの中からみ
ずからを生成する裸形の現実に踏み込んで行く博物学的セリー思考の可能性を押し開く
――帯惹句。※本体にビニールカバー。美本。
価格
\1,600
T−a036−009
野ウサギの走り 中沢新一 思潮社 1986年 初・帯 B 2200円
「振動」がこの本のテーマである。このなかで私は、三月の野を走るマウンテン・ヘ
ア(ヤマノウサギ)のように、気違いじみた方向転換、歩幅の乱れ、中心の移動、突
然の跳躍などをくりかえしている。もう放心したり、心酔したりするのはやめた。なに
かを説得するのさえやめようとしている。そうやって私は(自分のうえにふりかかっ
てきたものもふくめて)、すべてのイメージの凝固に挑みかかろうとした―――著者
あとがきより。
★中沢が80年代半ば頃、様々な硬軟マスコミに発表した雑文の集大成。他の中沢
本よりその分読みやすくわかりやすいものが多い。中沢ワールドの入門書としても
最適。一言で言えば中沢新一版“男はつらいよ、奮闘篇”。
価格
\1,100
T−a036−010
悪党的思考 中沢新一 平凡社 1988年 初 B 1600円
―――こうして、子供のためのやさしい日本史の書物を手渡されてから、二十数年た
ったいま、私はその叔父の書いた本『異形の王権』を出発点にしながら、日本の歴史
について一冊の本を書きあげるというこころみにとりくむことになったのである。この本
は、だから私にとっては、日本史研究のレッスン帳のようなものなのだ―――著者あと
がき抜粋。※一部鉛筆書き込みアリ。★中沢版日本史特講。宮武外骨論収録。
価格
\900
T−a036−011
森のバロック 中沢新一 せりか書房 1992年 帯 B 3300円
日本思想の可能性の宇宙樹 南方熊楠論―――帯惹句。この本は、南方熊楠
の伝記ではない。また、彼が考えたこと、書いたこと、おこなったことの跡を追っ
て、その生涯と学問の輪郭を描きだすことにも、この本は興味をいだいていな
い。私はこの本で、南方熊楠の背後に忍び寄り、処女懐胎の方法によって、彼
の思想に新しい子供、日本人の未来に属する思想の子供を、つくりだそうとした
のである。《略》『森のバロック』は、ひとつの思想の試みである。私はこれを、天
使の方法、唯物論の技法、ゲイの様式によって、実現しようとした―――著者。
「はじめにより」抜粋。
★河出文庫版『南方熊楠コレクション』全五巻での解題作業を受けて、中沢が
10年の歳月をかけて著した究極の熊楠論中沢版。図版入り全500ページを超す
大部の労作。オススメ本。
価格
\1,800
T−a036−012
ゲーテの耳 中沢新一 河出書房新社 1992年 初・帯 B上 1600円
本書は1987年から1992年までに、新聞、雑誌、パンフレット等のメディアに発表された文
章をもとに作られた――本書巻末注より。★とあるように、雑多な題材をもとに自由闊達
に繰り広げられる中沢ワールドの豊穣さ! 初心者でも読みやすいまずはここからの一
冊。イスタンブールの地下宮殿から、メニューイン、ディック・リー、パスカルまで。
価格
\900
T−a036−013
ケルビムのぶどう酒 中沢新一 河出書房新社
1992年 初・帯 B上 1600円
本書は1987年から1992年までに、新聞、雑誌、パンフレット等のメディアに発表された文
章をもとに作られた――本書巻末注より。★とあるように、雑多な題材をもとに自由闊達
に繰り広げられる中沢ワールドの豊穣さ! 『ゲーテの耳』に続いて本書では、トロッキー
から、山口昌男、ミスター・マリックまでこんなに書いちゃっていいのかしら…。
価格
\1,000
T−a036−014
三万年の死の教え チベット『死者の書』の世界
中沢新一 角川書店 平成5年 初・帯 B 2400円
人はどこから来て、どこへ去るのか。死に臨むとき、人はなにを体験するのか。宗
教学者・中沢新一が、人類三万年の叡智から掘り起こす死の教え―――帯惹句。
★名著です。カラー図版・写真多数で、文章も読みやすく、この一冊あれば、人は
死を前にしても迷い苦しむことはないかもしれません。同名のNHKスペシャルの
リンク本でもあります。
価格
\1,700
T−a036−015
イコノソフィア 聖画十講 中沢新一 
河出書房新社 1986年 初 B 980円
★中沢が読み解いた十の聖画(イコン)についてカラー図版と解説。脳内の知的好奇心を
刺激する活性の書。彼の代表作のひとつで今や古典となった。
※一部鉛筆で線引きあり。
価格
\700
T−a036−016
戦後政治の争点 藤本一美 専修大学出版部 
2000年 初 B下 3300円
★かつては近年まで、日本の戦後政治の歴史は、保守対革新の図式で理解がしやすか
った。55年体制という言葉もあった。昔は、自民=保守反動=“悪”であり、革新=それを
うち破る“正義”であった。なんだかんだいっても社会主義は人類史の理想の実現として
ピカピカ輝いていた。それが瓦解したのは、1993年の非自民細川連立内閣の誕生と続く
村山自社連立内閣など、従来の図式とは異なる連立政権が誕生したからで、以後、保守
陣営は盛り返し、中道政党を巻き込んで今日でも小泉人気も相俟って政権をしっかり維
持し続けている。一方、革新は――というと、社会党(現・社民党)の凋落を見るまでもな
く、社会全般の高まる保守回帰の風潮と共に時代にとり残された存在と化し、現今まがり
なりにも“革新”を標榜できるのは、衆参合わせて40名ばかりの議員を要する日本共産党
だけとなってしまった。何故にそうした状況に時代は移り変わったのか。そもそも「革新」
は本当に時代遅れで錯誤し、間違っているのか、ここに至るには様々な要因があるのだ
ろうが実に興味深く疑問は尽きない。その答えを得るにはまずはもう一度歴史を検証し
直さなくてはなるまい。
 本書は、敗戦の年、1945年から万博の年1970年までを各一年ごとに章を設け、その
時々の政治的「時代状況」を事細かに解析している。その年は何があったのか、どの
ような世相であったのか大変参考、勉強になった。また戦後という昭和史の記録としても
面白く役に立つし、時々の政治状況の積み重ねの上に我々の生活があり今日があるの
だから備忘録としても必携であろう。歴史というのは人々の日々の営みの集大成である。
その意味で、自分はまだ生まれていないから関係ないとか、子供だったからどうでもいい
ことと無関心でいることは出来ない。こんな時代があってこんな政治が行われたからこそ
今日があるのだとまず知るべきではないだろうか。※一部青鉛筆で線引きアリ。
価格
\800
T−a036−017
表層批評宣言 蓮實重彦 筑摩書房 1979年 初 B 1200円
その、表層と呼ばれるどこでもない場所で、言葉は、はじめて「物語」の文節「装置」
から「自由」になるだろう。その「自由」は、「不自由」ととり違えられることのない荒
唐無稽な「自由」であり、距離の意識と方向の感覚とを欠落させた何ものかの生々
しい到来と呼ぶべきものだ。……そして、その表層体験の記憶を、より生なましい
現在として世界に向けておし拡げようではないか。「批評」とは、存在が過剰なる何
ものかと荒唐無稽な遭遇を演じる徹底して表層的な体験にほかならない―――
カバー裏序文。★今日、蓮實重彦は東大学長となって「終わってしまった」感がある
が、本書の頃は実にラディカルであった。多くの若者たちに多大な影響を与え、信
奉者も多かった。その蓮實の、あまりに有名な代表作のひとつがこの『表層批評宣
言』。ある意味でもはや「古典」と呼べなくもない。※一部鉛筆による書き込み、線引
き有り。カバー微少破れ。
価格
\600
T−a036−018
事件の現場 蓮實重彦 朝日出版社 1980年 初 B下 2500円
★1970年から80年にかけて蓮實が“文学と批評の問題”に関し大岡昇平、中上健
次ら作家、評論家と行った対談集。巻末に安原顯による、彼自身のインタビューを
収録。とかく難解な蓮實も対談となると話し言葉で彼の思想を語らざるえないわけ
で、実に豪華な相手を前に謙虚に応答している。ゆえに読みやすく面白い。そして
多く故人となられた作家たちの肉声が今ではとても貴重だ。内容は……
▼『地獄の黙示録』から――大岡昇平と対談。▼『小説の理論と実作』――中村光
夫と。▼批評にとって作品とは何か――吉本隆明と。▼文学・言語・制度――柄谷
行人と。▼マルクスと漱石――柄谷行人と。▼制度としての物語――中上健次と。
▼彼自身による弁明※一部鉛筆による線引き有り。
価格
\1,600
T−a036−019
凡庸さについてお話させていただきます 蓮實重彦 中央公論社
昭和61年 初・帯 B 1100円
マクシム・デュ・カン、食事、性、知識人、良い「結論」と悪い「結論」、女子大生と
卵、国際映画祭、哲学者、モード、出題予想…この世界の記号と、その凡庸さに
耐えることをいかに形式化してゆくか、と語る斬新なエッセイ集――帯惹句。
★明治学院大学における講演をまとめた、表題作を始め、多くは中央公論など
“一般誌”に発表された、蓮實にしては柔らかい題材をわかりやすい言葉で語っ
た比較的読みやすいエッセイ集。女子大生ブームなど今日読むと“時代”を感じ
させる部分もなくもないが、とかく難解難文な蓮實を理解するのには役に立つ。
価格
\700
T−a036−020
唯脳論 養老孟司 青土社 1989年 再 B 1600円
★本書は、話題の本『バカの壁』などで難しい内容のことを面白く読ませることでは定評
ある超人気解剖学者が早くも著したベストセラー。元々は現代思想に連載されたものだ
から、決して平易な内容ではない。だのに結構売れたと言うことは、日本人の知的好奇
心の高さを示すものなのか、はたまた単なるミーハー的、横並び流行現象か。ともかくも
今日読み返しても刺激的で示唆に富んでオモシロイこと間違いなし。でもあまり気持ち
よくない図版(頭蓋骨内の解剖とか)が多数載ってますので気の弱い人は読まない方が
いいかも…と店主は心配もします。
価格
\600


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