★文芸 日本文学 黒っぽい本中心
全集の端本などもここにあります。いわゆる本当の古本です。
商品ID−書名−著者名−出版社−発行年−初・再−帯の有無−状態−元価格
★目録一覧に戻る
B−a036−001
川端康成集 川端康成 講談社 昭和36年 初 B 280円
現代の代表的作家、中堅作家の名作を収容! 講談社版長編小説全集第一巻
女の哀感を円熟した筆であやしいまでに描いた巨匠の「女であること」を収録
――全集折り込み栞より。
★ご存知ノーベル文学賞作家として高名だが、この頃は中堅作家? それでも
この全集ではトップバッター。※蔵書印あり。箱入り。 背やや黄ばみ。
価格
\300
B−a036−002
井上 靖集 井上靖 講談社 昭和36年 初 Bやや汚れ 280円
講談社版長編小説全集第2巻 遊牧民の主催者となった成吉思汗の生涯を描く
「蒼き狼」他に「波濤」を収録。箱入り。背黄ばみ。蔵書印有。 ★「蒼き狼」は近
日、日蒙合作で映画化されるとか、されたとか。
価格
\300
B−a036−003
源氏鶏太集 源氏鶏太 講談社 昭和36年 初 B 280円
講談社版長編小説全集第3巻 BGの青春生活を描く「見事な娘」と新入社員の
一喜一憂「天下を取る」を収録――全集折り込み栞より。★BGってのはビジネス
ガールの略で今で言うOLのこと。スラングでコールガールの意味があると報じら
れ「死語」となった。源氏は山口瞳以前にサラリーマンの哀感を描いた好短編を
数多く残し爆発的人気があった直木賞出身のベストセラー作家。それが今日で
は死後忘れ去られ今では誰も読む人がいなくなった。戦後の小市民の風俗再見
に源氏鶏太に今一度スポットを当てるべきではないだろうか。※箱入り。蔵書印
あり。背やや黄ばみ。
価格
\300
B−a036−004
吉川英治集 吉川英治 講談社 昭和36年 初 B 280円
長編小説全集第4巻 源平抗争の世に生まれ、敢然仏法を求める親鸞を脅かす
無法の迫害。「親鸞」の上巻――折り込み栞より。 ★国民的作家吉川英治の代
表作のひとつ「親鸞」。偉大な宗教家の苦難の生涯を雄大なスケールで描く。こ
れは上巻のみですのでこの全集の7巻目に下巻があります。上下二冊同時購
入をお願いします。箱入り。背やや黄ばみ。蔵書印有り。
価格
\300
B−a036−005
石坂洋次郎集 石坂洋次郎 講談社 昭和36年 初 B 280円
長編小説全集第5巻 「山と川のある町」に展開する青春とロマネスク。「若き川
の流れ」の二名作他――全集折り込み栞より。他に「夏の陰画」「K町の思い出」
収録。★洋次郎といえば、あまりに有名なのが映画で知られる「青い山脈」。戦
後、民主的教育の名の下に若く明るく健全な青春群像を描き続けたこの作家。
今日読まれることがないだけに今一度再読され永遠の青春作家の復権を願う。
箱・蔵書印・背黄ばみ。
価格
\300
B−a036−006
三島由紀夫集 三島由紀夫 講談社 昭和36年 初 B 280円
長編小説全集第6巻 牧歌的恋「潮騒」、王妃のような女を描く「愛の乾き」、他に
「お嬢さん」を収む――全集折り込み栞より。★死後30数年たってますます評価
高い天才三島由紀夫。その代表作「潮騒」「愛の乾き」。小品だが「お嬢さん」でも
細やかな女性心理の描き方に感服させられる。箱入り。背黄ばみ。蔵書印有り。
価格
\400
B−a036−007
吉川英治集 吉川英治 講談社 昭和36年 初 B 280円
長編小説全集第7巻「親鸞」の下巻。※第4巻の上巻と合わせてお求め下さい。
上下セットで500円の割引価格です。
価格
\200
B−a036−008
船橋聖一集 船橋聖一 講談社 昭和36年 初 B 280円
講談社版長編文学全集第8巻 「鴛鴦の間」「愛の濃淡」「霧子夫人行状」の三編収録。
箱入り。背やや黄ばみ。蔵書印有り。
価格
\300
B−a036−009
丹羽文雄集 丹羽文雄 講談社 昭和36年 初 B 280円
長編小説全集第9巻 「鎭花祭」収録。★今日でも高齢ながら“恍惚の人”として
存命中の最後の巨匠丹羽文雄。訃報は聞かないから、間もなく百歳になるはず
だ。ずっと介護なさっていた娘さんの方が先に亡くなられてしまった。戦後の文壇
を常にリードし続けた大家として名は知られているものの案外愛読者は少ないか
も。この作品は戦後風俗の記録として読んでもなかなか面白い。※箱入り。背や
や黄ばみ。蔵書印有り。
価格
\400
B−a036−011
平林たい子集 平林たい子 講談社 昭和36年 初 B 280円
長編小説全集第11巻 「砂漠の花」収録。夫小堀甚二との長い結婚生活に終止
符を打つまでを集大成して「自分としては、最大の勇気をもとに、自己の経験も
他人の経験も客観的」に描いた自伝小説――本書解説より。★大正から昭和
〜戦後へ、アナーキストやボルシェビイキ(共産主義者)たちとの駆けめぐる青
春。箱入り・蔵書印・背やや黄ばみ。
価格
\400
B−a036−012
柴田錬三郎集 柴田錬三郎 講談社 昭和36年 初 B 280円
長編小説全集第13巻 「異常の門」収録。この「異常の門」は隠密あがりの夢殿
轉を主人公にして、天皇帖、大奥帖をめぐる趣向で、「眠狂四郎」に見られる独
自のエロティシズムと虚無的な人生観に生きる主人公の嗜虐趣味を横溢させて
好評を得た作品である―――本書解説文より。★ご存知柴錬先生の時代物。
愛好家にはたまらない世界。箱入り・本文汚れ少しあり・背焼け・蔵書印あり。
価格
\300
B−a036−013
山手樹一郎集 山手樹一郎 講談社 昭和36年 初 B 280円
長編小説全集第13巻 この「朝晴れ鷹」は、長崎の大村屋騒動に発する波乱万
丈の長編で、全国読者の熱狂を受けた―――本書解説文より。この全集、柴錬
先生に次いで時代劇が続く。箱入り・背黄ばみ・蔵書印有り。
価格
\400
B−a036−014
有馬頼義集 有馬頼義 講談社 昭和36年 初 B 280円
長編小説全集第14巻 「黒いペナント」は推理的手法をもちいてプロ野球日本選
手権を舞台に計画された八百長賭博をめぐって展開されるが、「化石の森」は戦
時中満州の奥地での不祥事に端を発して、戦後の東京で混乱の中に模索する
人間の深層心理を抉った異色作である―――本書解説より。★松本清張と共に
戦後の社会派推理小説ブームの一翼を担った有馬頼義。それにしても何故この
全集に「黒いペナント」が収録? これこそミステリーかも。他に「名前はない」
「幽霊の唄が聞こえてくる」収録。箱入り・背黄ばみ・蔵書印あり。
価格
\400
B−a036−019
五味康祐集 五味康祐 講談社 昭和36年 初 B 320円
長編小説全集第19巻 「うるさい“妹”たち」「女無用」収録。「女無用」は、「反町
大膳秘伝書」のタブ・タイトルがあるように武家の色好みさまざまを描いたもの
で、「“妹”たち」は、ハイ・ティーンのおそるべき生態を現代的風俗の中に描い
て――本書解説文抜粋。★五味康祐も最近ではとんと死後聞かなくなった名だ
が、戦後の一時期、剣豪ブームでベストセラー作家だった。今で言う“コギャル”
との“交際”は今も昔も変わらぬものか。戦後の若者風俗の記録としてもなかな
か興味深く読ませる。こんな小説も書いていたのか。箱入り・やや背焼け・印有り
価格
\400
B−a036−021
大岡昇平集 大岡昇平 講談社 昭和37年 初 B 320円
長編小説全集第21巻 戦場を離脱した一兵士の孤独と、生への異常な執着を描
いた「野火」女性心理の見事な筆致で描いた「化粧」――折り込み新刊図書案内
より。★今日、戦争文学の最高峰として文学史に残る「野火」は、小説を学ぶ者
のテキストとしても非常に優れた教材であり、日本人必読の書。「化粧」は、この
「案内」文とはまったく違う、施設の少年を主人公にした、肩の凝らない言わば、
“戦後日本版・ハックルベリー・フォンの冒険”だ。お堅い大岡のイメージを覆す
少年冒険活劇。箱入り・蔵書印あり。
価格
\400
B−a036−022
佐多稲子集 佐多稲子 講談社 昭和37年 初 B 320円
長編小説全集第22巻 生活と愛情との間に微妙にゆらぐ女の心理を描いた「体
の中を風が吹く」非合法時代の党員生活を描いた自伝的「歯車」の二大力作長
編を収録――折り込み「図書案内」より。
価格
\400
B−a036−023
日本文学全集17巻 高浜虚子・長塚節
・伊藤左千夫集 集英社 B 昭和45年 290円
集英社版日本文学全集全88巻の端本。高浜虚子「風流懺法」「斑鳩物語」「虹」
「愛居」「音楽は尚お続きおり」「小説は尚お続きおり」「寿福寺」収録。長塚 節
「土」収録。伊藤左千夫「野菊の墓」「隣の嫁」収録。解説山本健吉。ともに正岡
子規門下として、俳句、短歌に活躍した三作家のすぐれた写生文集――同梱
付録小冊子より。 ★漱石に「我が輩は猫である」を書かせた商売人・プロデュ
ーサーでもあった雑誌「ホトトギス」主宰の俳人・虚子の珍しい小説。それに長塚
節(ふし、でなく、たかし)といえば、何てたって「土」。さらに伊藤左千夫といえば、
映画化されあまりに有名な「野菊の墓」。両一発屋の代表作を収録したお徳用の
一冊。箱入り・ビニールカバー・箱やや痛み・本文キレイ。
価格
\300
B−a036−024
日本文学全集第26巻 里見 ク・
久保田万太郎集 集英社 昭和44年 B 290円
全集の第26巻 里見ク「善心悪心」「銀二郎の片腕」「夜桜」「美事な醜聞」「二人
の作家」「肉体の履歴」「極楽とんぼ」収録。久保田万太郎「朝顔」「ふゆぞら」「末
枯」「花冷え」「樹陰」収録。解説 野口富士男。有島武郎という長兄をもった芸術
家一家に生まれた白樺派出身の里見と劇作家としても高名な三田文学派の万太
郎のニ大家を収録する。箱入り・本体ビニールクロスカバー・本文美麗。
価格
\400
B−a036−025
日本文学全集第33巻 室生犀星集 集英社
昭和45年 B 290円
日本文学全集第33巻 室生犀星「抒情小曲集」「幼年時代」「性に目覚める頃」
「或る少女の死まで」「あにいもうと」「聖処女」「舌を噛み切った女」「密のあわれ」
収録。★犀星の名は知らずとも、〜ふるさとは遠きにありて思ふもの、そして悲し
くうたふもの、という一節は、誰もが耳にしたことがあるだろう。佐藤春夫の「秋刀
魚のうた」と並ぶ、日本人の心にしみ入る叙情性。犀星は、貧乏詩人として出発し
なかなか芽がでなかったが戦後も遅くなって「杏っ子」がベストセラーとなり突然の
ブームが起きて幸福の絶頂のうちに生涯を終えた。犀星のこの一冊、まだ知らぬ
人はこの機会に是非お手元に。箱入り・本体ビニールカバー付き・本体未読・新品
同様。
価格
\400
B−b036−001
日本文学全集第30巻 宇野浩二集 集英社 昭和45年 B 290円
自己に対する徹底した仮借ない観察から、生活苦の中に流転する人間の悲惨と滑
稽を敏感にとらえ、これを軽妙でユーモラスな話術に乗せた名作の数々を集め――
本書折り込み付録栞より。★「文学の鬼」と評される宇野浩二の作品「思い川」「屋
根裏の法学士」「蔵の中」「一と踊」「子を貸し屋」「千万老人」「軍港行進曲」「続軍
港行進曲」「枯木のある風景」「器用貧乏」収録。 ※箱入り・ビニールクロスカバー・
本文未読。
価格
\400
B−b036−002
日本文学全集第34巻 野上弥生子集 集英社
昭和45年 B 290円
夏目漱石をめぐる明治の知識人たちの影響を受け、日本の物語文学の伝統に、
英文学から吸収した知的態度を注入し、的確な写生文体で構成した野上弥生子
の文学世界は、日本の女流文学のうちに一つの巨峰を形成した――本書折り込
み付録栞より。「海神丸」「茶料理」「大石良雄」「哀しき少年」「狐」「真知子」収録。
解説 篠田一士。
★漱石の紹介で虚子の主宰する「ホトトギス」に処女作が掲載されたのが明治40
年。以後、弥生子は、戦後も「秀吉と利休」「迷路」などを傑作を輩出し1985年まで
生きて百歳で死去するまで創作意欲はいささかも衰えなかった。漱石山房最後の
人であり、小説家の鏡と言えよう。※箱入り・ビニールクロスカバー・本体美麗・未
読の状態。
価格
\300
B−b036−003
日本文学全集第42巻 中野重治集 集英社 昭和44年 B 290円
「詩集」「村の家」「歌のわかれ」「むらぎも」「萩のもんかきや」収録。解説 小田切秀
雄。★中野は、抒情詩人として出発、やがてプロレタリア詩へ向かい、後にプロレタ
リア文学運動の代表的作家として確固たる地位を築き当局からの弾圧と転向、戦
後共産党の国会議員・党中央委員としての活動、そして党からの除名へと曲折の
人生を生きることを余儀なくされたが、何よりも彼はまぎれもない文学者であった。
彼が中心となって設立した「新日本文学」の今日の衰退を思うとき、“運動”としての
文学を離れて常に不変の高さにあった真の文学者・中野重治という巨人の偉大さ
があらためて偲ばれよう。 ※箱入り・本体ビニールクロスカバー・美本・未読・付録
栞なし。
価格
\400
B−b036−006
日本文学全集第66巻 林 房雄・檀 一雄集
集英社 昭和44年 B 290円
●林 房雄「繭」「獄中記」「白夫人の妖術」
●檀 一雄「リツ子・その愛」収録。
解説・磯田光一。
★マルキストから「大東亜戦争肯定論」の国家主義者へ百八十度の「転向者」と
して知られる林房雄とご存知、最後の無頼派・檀一雄のカップリング版。お買い
得か。※箱入り・本体ビニールクロスカバー・未読か。
価格
\300
B−b036−005
日本文学全集第52巻 上林暁・木山捷平集
集英社 昭和44年 B 290円
●上林暁「薔薇盗人」「ちちははの記」「野」「不思議の国」「明月記」「風船競
争」「小便小僧」「現世図絵」「聖ヨハネ病院にて」「死者の声」「青春自画像」
「姫鏡台」「春の坂」「白い屋形船」
●木山捷平「うけとり」「耳学問」「大陸の細道」「軽石」収録。
★今日、川崎長太郎らと共に一群のマイナー・ポエットの作家として人気の高
い上林暁と木山捷平。この二人のベストマッチなカップリングがこの全集では
早くもおこなわれていた。私小説作家と言っても島尾敏雄的な暗い深刻小説で
はなく、あくまでも明るいユーモアを時に交えた、尾崎一雄に連なる系譜の作家
たち。特に上林の「青春自画像」は、昭和の初期、突如わき上がった円本販売
競争の実相を、改造社の駆け出し編集者として「現代日本文学全集」に携わり、
その渦中にいた上林の目で記した文学史に残る貴重な記録だ。※箱入り・本体
ビニールカバー。
価格
\500
B−b036−007
日本文学全集第56巻 尾崎士郎・坪田譲治集
集英社 昭和44年 B 290円
尾崎士郎「鶺鴒の巣」「河鹿」「人生劇場」(青春篇)「蜜柑の皮」
坪田譲治「善太の四季」「お化けの世界」「正太の馬」「風の中の子供」収録。
★「人生劇場」シリーズ一本で今日なお有名な尾崎と児童文学・童話作家として知
られる坪田というわけの分からない組み合わせの巻。「人生劇場」の挿絵は中川
一政が描いたものを再収してある。解説・高橋義孝。 ※箱入り・クロスカバー・本
体未読美本。
価格
\300
B−b036−008
日本文学全集第57巻 中山義秀集
昭和45年 B 290円
「厚物咲」「碑」「秋風」「華燭」「信夫の鷹」「テニヤンの末日」「少年死刑囚」「散りゆ
く花の末に」「霧にゆらぐ藤娘」「春日」「咲庵」収録。
★歴史物作家として知られる中山だが、元々は「厚物咲」での芥川賞作家。この巻
では初期の現代小説も収録されている。解説・中野好夫※箱入り・クロスカバー・
本体未読。
価格
\300
B−b036−009
日本文学全集第72巻 織田作之助・井上友一郎集
集英社 昭和44年 B 290円
織田作之助「雨」「夫婦善哉」「放浪」「木の都」「蛍」「六白金星」「アド・バルーン」
「世相」「競馬」 井上友一郎「残夢」「竹夫人」「千鳥の話」「うたよみ」「受胎」「日
本ロォレライ」「銀座川」「湘南電車」「負け犬」「菜の花ざかり」収録。
★織田作は、今日でも森繁主演で映画化された「夫婦善哉」で名が残っている
が原作は短編で本来、太宰治、坂口安吾と並ぶ戦後三無頼派の一人。戦後すぐ
34歳で喀血、急死した。短編の名手・井上とのお買得な一巻。箱入り・ビニール
カバー・美本・未読。
価格
\400
B−b036−010
日本文学全集第23巻 武者小路実篤集
集英社 昭和41年 B 290円※付録小冊子付き
●お目出たき人 わしも知らない 幸福者 友情 土地 人間万歳愛と死 彼の
羨望 馬鹿一 今にやるぞ 泰山の個展 新しき村に 就ての対話 マチス・
ルオー・ドラン・ピカソ 訪問記 《解説》本多秋五
★白樺派を具現する天性のオプチミストであり、「新しき村」運動の宗祖として、
さらにあまり上手とは思えない野菜の絵に添えて「仲良きことは美しきかな」
――実篤などと記した色紙で記憶に残る実篤の初期から晩年までの代表作を
収録。※箱入り・ビニールカバー
価格
\400
B−b037−011
日本文学全集第39巻 川端康成集(一)
集英社 昭和41年 B上 290円※付録小冊子付き
●雪国 伊豆の踊子 十六歳の日記 死体紹介人 温泉宿 禽獣 虹 母の初恋
燕の童女 ゆくひと 掌の小説(抄) 浅草紅団 《解説》伊藤整
★日本文学を代表し世界に知られる川端康成の初期の代表作をほぼ網羅。孤児
として孤独な少年時代を過ごした彼の、瑞々しい感性と冷徹な目が光る珠玉のよう
な美品の数々を未読の人は是非。※箱入り・ビニールカバー本体未読か。
価格
\400
B−b037−012
現代日本文学館24 川端康成 文藝春秋 昭和41年 帯 B
480円 ※写真満載の付録冊子付き
●山の音 雪国 眠れる美女 掌の小説抄 伊豆の踊子 禽獣 母の初恋 ほくろ
の手紙 ゆくひと 再婚者 水月 弓浦市 並木 《川端康成伝》吉行淳之介。
★数ある日本文学全集の中でも文藝春秋から出たこの全集は小林秀雄単独編集
と極めて出色だ。解説も吉行淳之介と凝っているし、付録冊子も川端の写真アル
バム、彼をスケッチした文、さらに江藤淳による編集者の横顔=小林秀雄評など
など読み物も盛りだくさん。これ一冊でほぼ川端コンプリートブックスの感有り。
※本体にビニカバー、箱入り、箱にもビニールカバー(一部破れ有り)箱はヘタレで
すが、本体美品です。
「冷徹な目と流麗な文体で描く哀しいまでに美しい世界」――帯惹句。
価格
\1,000
B−b037−013
日本童謡撰 あやとりかけとり 竹久夢二編
(原本)大正11年 春陽堂
※名著復刻 日本児童文学館 昭和49年
ほるぷ出版 B ?円
★竹久夢二が―――古い本の中から、諸方へ旅行した折々、口傳て
に拾ひ集めた童謡幾編かを書き添へ出版を思立つた――(序)もの。
集めた童謡に彼手ずからの挿画を多数添えたいわば詩画集。復刻も
のだが、大変丁寧に当時のままにそっくり再現している。ファンの方の
愛蔵版にオススメします。※箱ややつぶれ。
価格
\1,000
B−b037−014
室生犀星 ※昭和文学全集ルビーセット18.角川書店
昭和39年 箱 C 420円
杏っ子 かげろうの日記遺文 性に目覚める頃 幻影の都市 あにいもうと
他4編収録 解説 奥野健男
室生犀星文学の最大の特徴は、それが未来に向かってひらかれている点
にある。重い辛い過去の体験をひきずりながら、無限に未来に向かってひら
いている――解説より。
★角川が昭和30年代に出していた、日本文学の全集「ルビー・セット」全20巻
の端本。代表作でありベストセラー「杏っ子」他、主だった代表作を網羅して
いる。犀星文学の入門書として<もっともっとこの作家を知ってほしいと願い
をこめて是非とも売りたい本。
価格
\300
B−b036−011
獅子文六集 獅子文六 新潮日本文学24 新潮社
昭和48年 帯・箱 B 900円
洒落た戯曲的センス、明快で歯切れのよいリズム 風刺のきいたエスプリと真の
ユーモアの都会的で知的な文章を駆使した獅子文六――微笑を誘う明るさの中
に、人生の機微にふれさせる軽妙な筆致の自伝的小説「娘と私」「父の乳」を収録
――――帯惹句。★
価格
\600
B−b036−012
現代日本の文学―3.国木田独歩 徳富蘆花集 学研
昭和46年 初 B 680円
★独歩と蘆花。共に自然を愛し、強烈な自我と内面の矛盾に生涯格闘した文豪の
代表作を収録。理想的な合本です。両作家の作品の舞台となった地を訪ねる文学
紀行、作家の文学アルバムなど写真満載の、学研から出た本全集はとても読み
応えがあるシリーズ。
●国木田独歩―― 武蔵野 空知川の岸辺 富岡先生 画の悲しみ 少年の悲
哀 馬上の友 源おじ 春の鳥 欺かざるの記(抄) 我は如何にして小説家となり
しか ※文学紀行=小島信夫。 評伝的解説=福田清人。
●黒い眼と茶色の目 思出の記(抄) 自然と人生(抄) 謀反論 文学紀行=小
島信夫。評伝的解説=福田清人。 店主の愛する二大作家が独歩と蘆花。特に
本書収録の独歩作品は必読。※本体ビニールカバー。月報付き。
価格
\400
B−b036−013
日本の文学65 太宰治集 中央公論社 昭和39年
再版・帯 B下 450円
老舗中央公論社が創業80周年を記念して出版した、挿画入豪華版日本の文学
全80巻」の端本。太宰治の短編を中心に主だった代表作品が収録されている。
作品は――
魚服記 思い出 逆行 雌について 満願 姥捨 富岳百景 駆込み訴え 女の
決闘 東京八景 お伽草紙 親友交歓 ヴィヨンの妻 斜陽 桜桃 家庭の幸福
人間失格 グッド・バイ ※解説ドナルド・キーン 付録冊子で津島美智子(太宰
治夫人)との対談有り。箱入り・箱、
本体共にビニールカバー付き。箱ややヨゴレとヘタレ。
★永遠の青春の文学、太宰治。アウトローとして社会から逸脱した異端者が、家
庭と我が子を得たときに有名な、「子供より親が大事、と思いたい」との名言が生
まれる。とかく“青春の、”としてのイメージが先行し、今更気恥ずかしく読むのに
躊躇いを持つ人も、生活者としての苦渋と韜晦の作家としてぜひもう一度太宰を
読み直して貰いたい。“無頼派”などという勇ましい評価と違ったごくごく弱く、すべ
てに甘えて生きた“ダメ人間”の真実の姿が結果としてそこに息づいている。太宰
は天才だ。この豊穣な文学世界は、今日こそ深く読み返されなければならない。
価格
\500
B−b036−014
日本の文学9 徳田秋声(一) 中央公論社
昭和41年 初 B下 450円
老舗中央公論社が創業80周年を記念して出版した、「挿画入豪華版日本の文学
全80巻」の端本。文豪秋声の主だった前期の代表作品が収録されている。作品は
――新世帯 足迹 黴 爛 あらくれ
価格
\500
B−b036−015
日本の文学10 徳田秋声(二) 中央公論社
昭和41年 初 B上 450円
老舗中央公論社が創業80周年を記念して出版した、「挿画入豪華版日本の
文学全80巻」の端本。文豪秋声の主だった後期代表作品が収録されている。
作品は――仮装人物 縮図 或売笑婦の話 蒼白い月 花が咲く 風呂桶
折鞄 元の枝へ 町の踊り場 死に親しむ チビの魂 勲章 のらもの
※解説/江藤淳 付録付き 付録で、江藤淳と広津和郎の対談「徳田秋声
を語る」収録。箱入り・本体ビニールカバー、未読程度極上
価格
\500
B−b036−016
日本の文学30 山本有三集 中央公論社
昭和40年 初・箱 B上 450円
老舗中央公論社が創業80周年を記念して出版した、「挿画入豪華版日本の
文学全80巻」の端本。ヒューマニスト山本有三の代表作を中心に収録。作品
は――波 路傍の石 無事の人 嬰児ごろし 同士の人々
★近年、小泉首相により再評価された「米百俵」などの劇作でも知られる山本
有三。「路傍の石」などテレビ化され最近でもまた話題となっているがこれを機
にもっと読まれて欲しい作家だ。彼が戦中住んでいた三鷹の家に以前訪れた
ことがある。瀟洒な洋館で、南に向いたテラスは庭から見ると舞台のようにな
っていて、実際そこで子供達のために演劇活動もおこなったのだそうだ。自宅
の本を「ミタカ小国民文庫」という図書館として公開もしている。戦後は緑風会
の参議院議員として活躍、国語国字審議委員として今日の日本語の礎を確
定させた真の意味でのエライ人。※箱ややヘタレ。本体美上ビニールカバー、
付録冊子付。付録中で山本有三自身が阿部知二と「文学と演劇」について対
談をしているのも今日ではもはや貴重だと思う。
価格
\400
B−b036−017
日本の文学50 円地文子/幸田文集 中央公論社
昭和41年 初・箱 B上 450円
老舗中央公論社が創業80周年を記念して出版した、「挿画入豪華版日本の
文学全80巻」の端本。高名な文学者の家庭に生まれ女流作家として宿命づ
けられた二人の代表作を収録。●円地文子 女坂 なまみこ物語 妖
●幸田文 流れる 黒い裾 笛 父―その死― 菅野の記 葬送の記
価格
\500
B−b036−019
現代日本の文学――33 檀一雄 織田作之助 田中英光集
学研 昭和45年 再 箱 B上 680円 付録冊子付き
●檀一雄集 此家の性格 退屈な危惧 美しき魂の告白 衰運 花筐序 花筐
夕張胡亭塾 景観 母 ●織田作之助集 二十歳 夫婦善哉 ジュリアン・ソレル
●田中英光集 オリンポスの果実 少女 野狐 桑名古庵 ※各作家文学紀行
=奥野健男 評伝的解説=森川達也
★著者や作品にまつわる地の写真紀行など、収録小説以外にも読ませる企画が
いっぱいの学研版「現代日本の文学」叢書はお買い得だ。特にこの回は、太宰治
と縁の深い所謂“無頼派”の仲間たちを収録している。太宰の墓の前で自殺した
英光など、あまりにその死の形ばかりが語られているが、付録冊子内の対談で檀
が「あの『野狐』という小説は、ほんとうに怖ろしい小説で、作品の質の緻密さから
言って、率直さから言って、周囲の状態の観察から言っても、ケタ違いの傑作です
よ。《略》あれは、鬼神をもゆるがすほどの作品です」 と語るように、酒と女とヒロ
ポンとアドルムで戦中戦後を駆け抜けた青春の鬼才の仕事をきちんと読み直す
必要がある。その“対談”の相手は、壇一雄と青山光二、別所直樹で、本書発行
時、唯一生き残っていた壇が盟友・織田や英光、安吾らの知られざる当時の姿、
思い出を青山らと語っているのも今では特に貴重なものだ。本体、箱ともビニール
カバー付き。程度上。
価格
\500
B−b036−020
現代日本の文学――44 小島信夫 庄野潤三集 学研
昭和46年 再 箱 B上 付録冊子付き
●小島信夫集 小銃 吃音学院 微笑 アメリカン・スクール 女流 十字街頭
疎林への道 階段のあがりはな
●庄野潤三集 流木 プールサイド小景 黒い牧師 相客 イタリア風 静物
佐渡 まわり道 丘の明り ※各作家文学紀行=足立巻一 評伝的解説=進藤
純孝
★なかなかうまいカップリングだと思う。戦後派に続く所謂“第三の新人”たちの
中から近しいテイストの二人が組まされている。事実、両人は昭和30年、まったく
同時に芥川賞をそれぞれ「アメリカン・スクール」「プールサイド小景」で受賞、付録
の小冊子でも二人で対談し、公私共に親しい様子である。二人の小説世界は、一
言で言うと、遅い登場であったがモダンで新しい感覚を文壇に持ち込んだというこ
とに尽きるだろう。どこか初期の大江健三郎に似ていると感じるのは店主だけだ
ろうか。むろん大江のように大仰な大作を描くタイプではない。私的なことをごくさら
っと過不足なくさらっと切り取って小説に仕上げる。軽やかにして深い。小島は庄
野との対談で語っている。「ほかの同じ時期に文壇へ出てきた人は、それぞれりっ
ぱな作品を書いているけど、どっちかというと、作風は違っていても、庄野君とぼく
は似ているんじゃないかと思いますね。一種のプラトニックな感じの部分、なにか
そういうものがふっきれないで、からだのどこかにこびりついているところがある
ような気がする」と。本体、箱ともビニールカバー付き。程度良好。
価格
\500
B−b036−021
日本の文学1 坪内逍遙/二葉亭四迷/幸田露伴集
中央公論社 昭和45年 初・箱 B上 450円
★老舗中央公論社の「挿画入豪華版日本の文学全80巻」の端本。今日の日本文
学、書き言葉の礎を築いた逍遙と二葉亭、それに幸田一族の祖、文豪露伴の代
表作を収録。
●坪内逍遙 当世書生気質 ●二葉亭四迷 浮き雲 小説総論 余が言文一致
の由来 ●幸田露伴 風流仏 五重塔 運命 連環記 ★三者三容だが、それま
での江戸の候文から今日我々が用いる言文一致の文体を生みだした先人、二葉
亭の偉業が光る一冊。
価格
\400
B−b036−022
日本の文学23 谷崎潤一郎(一) 中央公論社 昭和39年
初・箱 B 390円 ※付録冊子入り
老舗中央公論社の「挿画入豪華版日本の文学全80巻」の端本。文豪大谷崎の
初期・中期の主だった代表作を収録。●刺青 少年 小さな王国 母を恋うる記 蓼喰う虫
春琴抄 猫と庄造と二人のおんな 少将滋幹の母 雪後庵夜話 《解説》円地文子
※付録冊子上で、「谷崎文学の周辺」と題して、谷崎と円地文子の対談収録。
★挿絵画家の顔ぶれがスゴイ。鏑木清方、小出楢重、安井曾太郎、小倉遊亀ら
超ビッグネーム。
価格
\500
B−b036−023
日本の文学72 中村真一郎/福永武彦/遠藤周作
中央公論社 昭和44年 初・箱 B 390円
老舗中央公論社の「挿画入豪華版日本の文学全80巻」の端本。
●中村真一郎 女たち 遠隔感応 ●福永武彦 草の花 飛ぶ男
●遠藤周作 海と毒薬 影法師 母なるもの 小さな町にて
《解説》篠田一士 ★戦後派文学の旗手として、華々しく登場した“新人”であった
三人の人気作家たちの初期の代表作を収録。共に西欧文学の影響を多く受けた
当時新進ニューウェーブの作家たちを今再び。※箱一部破損
価格
\500
B−b036−024
国民の文学14 姿三四郎(全) 富田常雄 河出書房
昭和43年 B 590円 ※月報付属
★昭和40年代前後は、何度目かの文学全集ブームが起きて各出版社は競って
数々の全集を売り出していた。河出から出たカラー版国民の文学シリーズは、
全26巻、監修に大佛次郎、海音寺潮五郎松本清張らが名を連ね、中里介山の
大菩薩峠から、野村胡堂の銭形平次、林不忘の丹下左膳など、大衆、時代小説
中心のラインナップが特色。本書はその一冊で、黒澤明の映画であまりにも有名
な作品のそもそもの原作。著者の富田常雄は今ではほとんど忘れ去られた作家
だが、彼の父自身嘉納治五郎門下、講道館四天王の一人富田常次郎という人だ
った。そうした柔道に幼少より親しみ知り抜いた男の書いた小説だから面白いに
決まっている。大衆小説といえども侮れない。《解説》尾崎秀樹 月報付属。
※箱ややヘタレども本文未読か。本体ビニールカバー箱にはカラー挿絵。
●壮絶「山嵐」に飛ぶ巨体――天才児三四郎の飽くなき闘魂と青春の苦悩を
描く傑作」――箱惹句。
価格
\1,100
B−b036−025
国民の文学20 風林火山 戦国無頼他 井上靖
河出書房 昭和42年 B 490円 ※月報付属
★昭和40年代前後は、何度目かの文学全集ブームが起きて各出版社は競って
数々の全集を売り出していた。河出から出たカラー版国民の文学シリーズは、
全26巻、監修に大佛次郎、海音寺潮五郎松本清張らが名を連ね、中里介山の
大菩薩峠から、野村胡堂の銭形平次、林不忘の丹下左膳など、大衆、時代小
説中心のラインナップが特色。
本書はその一冊で、井上靖の時代小説を表題作を含め11編収録。
《解説》尾崎秀樹 カラー挿絵12枚入り。付録の月報では、吉田健一が寄稿。
※箱ややヘタレども本文未読か。箱・本体ビニールカバー箱にはカラー挿絵。
●信玄と由布姫に無償の愛を捧げた山本勘助の生涯―――箱惹句。
価格
\1,000
B−b036−026
国民の文学26 燃えよ剣 新撰組血風録(抄)
司馬遼太郎 河出書房
昭和42年 B 490円 ※月報なし
★昭和40年代前後は、何度目かの文学全集ブームが起きて各出版社は競って
数々の全集を売り出していた。河出から出たカラー版国民の文学シリーズは、
全26巻、監修に大佛次郎、海音寺潮五郎松本清張らが名を連ね、中里介山の
大菩薩峠から、野村胡堂の銭形平次、林不忘の丹下左膳など、大衆、時代小
説中心のラインナップが特色。
本書はその一冊で、「新撰組に生命をかけた幕末動乱の反逆児土方歳三の波
乱にとんだ剣の一生を描く」――箱惹句。
《解説》尾崎秀樹
※箱ややヘタレども本文程度良。箱・本体ビニールカバー箱にはカラー挿絵
価格
\1,300
B−b036−027
国民の文学5 赤穂浪士(全) 大佛次郎 河出書房
昭和42年 B 590円 ※月報付き
★昭和40年代前後は、何度目かの文学全集ブームが起きて各出版社は競って
数々の全集を売り出していた。河出から出たカラー版国民の文学シリーズは、
全26巻、監修に大佛次郎、海音寺潮五郎松本清張らが名を連ね、中里介山の
大菩薩峠から、野村胡堂の銭形平次、林不忘の丹下左膳など、大衆、時代小
説中心のラインナップが特色。本書はその一冊で、「爛熟の元禄時代を背景に
展開される大石内蔵助と千坂兵部の凄絶な知謀の闘い!」―――箱惹句。
テレビや映画で年々再々暮れになると忠臣蔵をやっている。日本人は実にこの
物語が好きだ。しかしそもそもの小説は読んだ人は少ないのでは。本書がその
原作である。《解説》尾崎秀樹。月報に中山義秀が寄稿。
※箱ややヘタレども本文程度良。箱・本体ビニールカバー箱にはカラー挿絵
価格
\1,000
B−b036−028
国民の文学23 剣は知っていた 眠狂四郎無頼控(抄)
柴田錬三郎 河出書房
昭和43年 初 B 590円 ※月報付き
★昭和40年代前後は、何度目かの文学全集ブームが起きて各出版社は競って
数々の全集を売り出していた。河出から出たカラー版国民の文学シリーズは、
全26巻、監修に大佛次郎、海音寺潮五郎松本清張らが名を連ね、中里介山の
大菩薩峠から、野村胡堂の銭形平次、林不忘の丹下左膳など、大衆、時代小
説中心のラインナップが特色。本書はその一冊で、秀吉の北条攻めのただ中
に父母の怨みを胸に抱き戦場を駆ける喬之介の剣と恋!―――箱惹句。
《解説》尾崎秀樹。月報に水上勉が寄稿。※『剣は――』が約450ページ、『狂四
郎』は約50ページの収録です。
価格
\1,000
B−b036−029
なんとなく、クリスタル 田中康夫 河出書房新社
1981年 帯 B下 880円
最先端の風俗を生きる女子大生の自由な日々を、卓抜な構成でとらえ、豊か
な時代の青春像をクリティカルに描く話題作!!――新しい学生作家の誕生
――55年度文芸賞受賞作―――帯惹句。※江藤淳の選後評として、「この作
品は斬新さで右に出るものがない。まことに才気煥発、往年の石原慎太郎と
庄司薫を足して2で割った趣がある。後生畏るべしというほかはあるまい」と、
その抜粋が裏帯に紹介。
★あまりにも有名なこの一冊で、小説家として文学史に名を残すことになった
田中康夫の超ベストセラー。当時、大学の友人知人の部屋へ行くと、誰の本棚
にも必ずこの「なんクリ」は置いてあった。それだけ当時の若者達は、この一橋
出身の学生作家に関心を持ったのだろう。今回、改めてざっと読み返してみ
て、その内容のなさ、小説として質の低さに再び驚かされた。わざわざ巻末に
40ページを超す文中の語句の自注を設けるほどあの時代の風俗や流行が登
場してくるが、価値があるとしたらこの辛口の“トレンド辞典”の部分だけで、風
俗小説にも全然なっていない。しいて言えば、それまでの小説にない江藤の言
う、斬新さ、目新しさがそこにあったから評価されたのだと思う。
田中は、以後週刊誌のエッセイやコラム、軽読み物などを数多く著したもの
の小説=物語として記憶に残るような仕事はひとつも残していない。ゆえに彼
は、本質的に作家ではなく、この「なんクリ」のまま、現状分析家、辛口批評家、
そしてトレンド・ウォッチャーなのだと気がつく。知事としての資質はともかく、物
語作家として見た場合、慎太郎の持つ豊穣さ、ダイナミックさの足下にも及ば
ない。その彼が県民から圧倒的に支持される現長野県知事。作家としては才
能のなかったが長野県政という物語をこれからもどう紡いでいくのか、はなはだ
興味がある。畏るべし、となるか大いに注目したい。
価格
\200
B−b036−030
だいじょうぶマイ・フレンド 村上龍 1983年 集英社
帯 B上 880円
★村上龍は、高校生の時に出会った。彼のデビュー作であり芥川賞を受賞した
話題作、『限りなく透明に近いブルー』だった。以後、約30年、ずっと第一線にあ
り、それなりに文壇における位置を占め話題作を上梓し続けているのだから大
したものだと思う。では、彼の文学をどう評価するか、となると難しい。非常に生
臭いあざとい作家であり、個人的には、ずっと気になる人ではあるものの好きだ
とは言い難い。彼は小説家である前に、あくまでも“村上龍”というブランドであ
り、映画監督業も含め、その多彩な全活動をひっくるめて評価すべきだと考え
るが、未だ総括の時期にはない。中上健次とは別の意味でずっと走り続けてき
て、その先の地平線に何があるのか、実は単に時代の先っぽを捉えるのがう
まいだけのいいとこ取りの山師なのか僕にはまだ答えは出せないでいる。
本書は、今から思うと村上にとって時代との関係がもっともうまくいっていた頃
の作品で、自らのメガホンで映画化され、主演にピーター・フォンダの器用、多
様なメディア戦略も成功し、映画、主題歌、そして小説とどれもそれなりのヒット
となった。映画は、アラも目立つものの、彼の監督した作品の中では最も好意
的評価を与える人も多い。小説としても心温まるファンタジーで、彼には意外な
一面とも今からは思えるが、実は本来、彼の資質はこうした“純粋さ”にあるの
ではないかとも思った。※経年のわりには程度はキレイ。カバー・本文イラスト
/円池茂。愛蔵版として。
価格
\400
B−b036−031
現代日本の文学――14 室生犀星集 学研
昭和45年 初 箱 B 680円 付録月報付き
●室生犀星集 抒情小曲集 幼年時代 性に眼覚める頃 美しき氷河 海の僧院
あにいもうと 女の図 蝶 かげろうの日記遺文 ※文学紀行=奥野健男 評伝的
解説=小松伸六
★学研版のこの全集は、巻頭にカラーグラビアで、作家に関した、小説の舞台に
なった地の写真が幾葉も載っているし、モノクロでの紀行文もあり大変読み応えが
ある。犀星というと故郷金沢と切り離しては考えられない。犀星の名のゆわれとな
った犀川もこの本の写真で知り得た。付録の月報では、犀星と「驢馬」の人たち
と題して中野重治と佐多稲子が対談しているし、その他、犀星先生の思い出と題
し、辻井喬が寄稿。さらに金沢旅行ガイドまで載っている。※本体ビニールカバー
価格
\500
B−b036−032
現代日本の文学――13 佐藤春夫集 学研
昭和45年 初 箱 B 680円 付録月報付き
●佐藤春夫集 わんぱく時代 田園の憂鬱 女誡扇綺譚 のんしゃらん記録 熊
野路 殉情詩集 車塵集 ※文学紀行=中谷孝雄 評伝的解説=尾崎秀樹
★大正の文壇に、谷崎、芥川と並び華々しく登場した佐藤春夫。詩人であり、夢の
ような作品を数多く描いたロマンチストな小説家であり、門下三千人と評せられた
文人春夫の多元宇宙への入門書として最適。月報では、 誠を貫いた文士 と題
して壇一雄と島田謹二の対談収録。彼のことは知らずとも下の詩は君知るや。
――男ありて 今日の夕餉に ひとり さんまを食らいて 涙をながす と。
さんま、さんま、さんま苦いか塩っぱいか。 「秋刀魚の歌」より。
価格
\600
B−b036−033
現代日本の文学――24 高見順集 学研
昭和45年 初 箱 B 680円 付録月報付き
●高見 順集 わが胸の底のここには 故旧忘れ得べき 狂気への誘い 呟く幽
鬼 軽い骨 詩集(抄) ※文学紀行=中島健蔵 評伝的解説=小田切進 付録
月報で「高見順の思い出」と題し、新田潤と巌谷大四の対談収録。
★文学の鬼と呼ばれた作家がいたが、さしずめ高見順は伊藤整と並び文学の恩
人であろう。名著「昭和文学盛衰史」を強度のノイローゼを克服し完成させたこと
も大きいが、近代文学館設立に向けての努力も含めてそう呼びたい。本書は第一
回芥川賞の候補となった名作「故旧忘れ得べき」を含め、主な作品を収めている
が、高見にはこの他にも「いやな感じ」など戦後の代表作がいくつもある。ちなみ
に、マスダは彼の娘と大学である時一緒で密かに憧れていた。と言っても小田急
線の中で見かけては胸をときめかせる程度だったけれど。その人とは高見恭子
で、当時学生の傍らモデルとして知られていた。父譲りの背が高く眼が大きくキレ
イだった。現在は自民党のプロレスラー議員馳浩の妻になっちゃったけれど。
価格
\500
B−b036−034
現代日本の文学――24 堀田善衛 深沢七郎集 学研
昭和46年 初 箱 B 680円 付録月報付
●堀田善衛集 記念碑 河
●深沢七郎集 笛吹川 東京のプリンスたち 月のアペニン山 ※文学紀行=
尾崎秀樹 評伝的解説=奥野健男 秋山駿 月報誌上で、「戦争と仏文科大学
生」と題し堀田善衛と芥川比呂志の対談。さらに「ギターを愛した」と題し深沢七
郎と小尾十三の対談収録。★ハッキリ言って謎のカップリングである。海外通の
インテリ、行動する知識人である堀田と、クラシックギタリスト出身、ラブミー牧場
で自ら自給自足の生活を送る土着の奇人深沢七郎が何故か一冊に。接点は、
深沢のリサイタルに堀田が友情出演して一緒にギター演奏をしたことくらいだろ
うか。考えすぎて行きづまる日本型典型知識人と、ほとんど何も考えない山下清
型天才との組み合わせの妙かも。
価格
\600
B−b036−035
現代日本の文学――42 島尾敏雄 井上光晴集 学研
昭和46年 初 箱 B 680円 付録月報付
●島尾敏雄集 島の果て 孤島夢 摩天楼 徳之島航海記 月下の渦潮 格子の
眼 砂嘴の丘にて いなかぶり 断崖館 春の日のかげり 出発は遂に訪れず
●井上光晴集 ガダルカナル戦詩集 虚構のクレーン ※文学紀行=奥野健男
評伝的解説=倉橋由美子 高野斗志美 月報誌上で島尾敏雄と井上光晴、奥野
健男司会の対談収録。
★わかりやすいカップリングの一冊。戦中派世代として戦争に青春を蹂躙され、戦
後文学活動を通してずっと戦争体験と平和と人間について考え続けてきた二人の
主な作品を収録。今も一部で人気の高い島尾だが、昨今の若い人にとっては、写
真家島尾伸三の父として、いや、カルト的人気のクリエーターしまおまほの祖父とし
ての方が有名か。井上も娘が作家井上荒野として活躍しているし、つくづく知、い
や血は争えないと思う。今日、日本の中の辺境、九州奄美の島々が脚光を浴びて
いるが、島尾の島々と向き合いつつ屈託していく内的世界と井上の佐世保炭坑と
いう辺境で少年炭坑夫として生を受けた実存は文学世界で異彩を放ち続けている。
価格
\700
B−b036−036
現代日本の文学――45 安岡章太郎 遠藤周作集
学研 昭和46年 初 箱 B 680円 付録月報付
●安岡章太郎集 悪い仲間 青葉しげれる 相も変わらず ガラスの靴 質屋の
女房 陰気な愉しみ 海辺の光景
●遠藤周作集 白い人 海と毒薬 その前日 童話 札の辻 四十歳の男 雲仙
留学生 ※文学紀行=三浦朱門 評伝的解説=村松剛 付録月報誌上で安岡と
遠藤の「落第生同士」と題した対談収録。
★わかりやすい妥当な組み合わせの一冊。安岡の主な代表作と、遠藤の後期の
大作のルーツと呼ぶべき初期の出世作を網羅。戦後やや遅れて登場した“第三の
新人”とは屈託を抱えた青春像であったことがよくわかる。といっても彼らは三浦朱
門も含め生涯仲良しだった。今も健在なのは、安岡と阿川ぐらいだろうか。
価格
\500
B−b036−037
佐藤春夫集 日本文学全集25 新潮社 昭和36年
B※箱無し 260円
●西班牙犬の家 田園の憂鬱 お絹とその兄弟 美しい町 星 侘しすぎる
女誡扇綺譚 F・O・U のん・しやらん記録 陳述 戦國佐久 女人焚死
※解説:中村真一郎
★新潮社版日本文学全集の端本だが、この全集、11,5×18センチのコンパクト
サイズながらも実質本意でよくまとめられている。この佐藤春夫集も他の全集に
比べ作品数も多くほぼ彼の代表作を網羅している。多彩な春夫ワールドを味わう
のには最適な一冊。それにしても西班牙犬ってどんな犬?スペインにそんな犬が
いるのか、そもそもそれからが謎の小説だ。
価格
\300
B−b036−038
瀧井孝作 尾崎一雄 上林暁 集 日本文学全集33
新潮社 昭和38年 B※箱無し 290円 付録入り
●瀧井孝作集 無限抱擁 ●尾崎一雄集 猫 暢気眼鏡 父祖の地 玄関風呂
焼ヶ岳 こほろぎ 蟲のいろいろ 美しい墓地からの眺め 痩せた雄鶏 小鳥の
声 華燭の日 石 ●上林暁集 天草土産 安住の家 明月記 小便小僧 聖ヨ
ハネ病院にて 父母の膝下 春の坂 諷詠詩人 解説:河盛好蔵
★全72巻の新潮社版日本文学全集の端本だが、この全集、11,5×18センチの
コンパクトサイズながらも実質本意でよくまとめられている。この号は、文学史の
中でもややアウトサイドに位置したマイナーポエットの作家たちをうまく集めてい
る。名作の誉れ高いが入手がやや難しくなった無限抱擁、今も人気ある尾崎一
雄の明るい貧乏私小説、それに近年再評価が高い上林とどれも得難い上質な
小説の数々。フルコースの食事に飽いたら時にはこんな軽い点心で飲茶という
感じかな。※付録誌上で、浅見淵、伊藤聖、山本健吉がそれぞれの作家について
短文を寄せている。
価格
\400
B−b036−039
高見順集 日本文学全集49 新潮社 昭和38年
B※箱無し 290円 付録入り
●高見順集 起承転々 嗚呼いやなことだ 虚実 人間 如何なる星の下に
胸より胸に 軽い骨 湿原植物群落 トリマカシイ 女たらし
解説:平野謙 ※付録に円地文子らが寄稿。
価格
\300
B−b036−040
田宮虎彦集 日本文学全集65 新潮社 昭和37年
B※蔵書印あり 箱入り 290円
●田宮虎彦集 かるたの記憶 霧の中 落城 異母兄弟 土佐日記 末期の水
足摺岬 絵本 菊坂 鷺 幼女の声 梅花抄 顔の印象 朝鮮ダリヤ 異端の子
銀心中 父という観念 比叡おろし 黄山瀬 小さな赤い花 解説:河盛好蔵
★名作「足摺岬」を含むベストオブベストといった感のある一冊。この作家は今日
やや忘れ去られそうになっているが、まだ未読の人、ぜひとも手にとってもらいた
いと思う。古い作家だが、今読んでも色褪せない青春の光が文章の行間に永遠
に輝いている。
価格
\300
B−b036−041
定本 種田山頭火句集 新装版 彌生書房
平成6年 初・帯 A 2575円
世俗を捨てて行乞流転の生涯を終えた漂泊の俳人種田山頭火。生前唯一の
自選集「草木塔」と、拾遺作品及び初期の句を収めた決定版―――帯惹句。
★山頭火である。説明はいらないだろう。富士見堂及び当書店にふさわしい
伝説のダメ人間。何がいったい原因でこのような人生を歩むこととなったのか
は、残された句集からは片鱗しか伺うことはできない。しかしこれは俳句と呼べ
るものなのか。どん底まで落ちた淋しい人間の、真実の叫びとしか言いようが
ない。 気に入った句をいくつかあげてみる。
何となく考えてゐる犬も私も草の上
みんな嘘にして春は逃げてしまつた
死ぬるよりほかない山がかすんでゐる
生きられるだけは生きよう草萌える
凩のふけてゆく澄んでくる心
価格
\1,600
B−b036−042
現代日本小説全集・第二巻・吉川英治集
アトリエ館 昭和11年 C※箱入り布貼り 1圓50銭
★檜山兄弟収録。アトリエ館なる出版社とは何だろうか。この全集は、巻末の告知
によると、第一巻は菊池寛、二巻目は本書、三巻目は久米正雄と以下、大佛次
郎、横光利一、吉屋信子、広津和郎、室生犀星らが並び、巻末は山本有三で〆て
いる。面白いのは、第六巻の吉田弦二郎、第七巻の白井喬二、第14巻の中村武
羅夫、第15巻佐々木邦、16巻加藤武雄、20巻村松梢風、22巻の江戸川乱歩、23
巻邦枝完二、24巻岸田国士ら、意外な顔ぶれと今日完全に忘れ去られた作家も
並んでいることだ。さらに、各巻ごと巻末についている「全巻購読証」を全巻分集め
てアトリエ社に送った方は、「文芸会館準会員」に推し、「準会員証」トシテ燻銀製メ
ダルを贈リマス、とあって、準会員ハ文芸会館御利用ノ特典ガアリマス、などと書
いてあるが、何かヒジョーに怪しい感じがする。本としては恩地考四郎の装丁も
含めしっかりしているし、約70年近く経過した本としては程度も良好だが。果たして
この全集、全巻出たのだろうか、そして購読証を集めてメダルをもらい準会員とな
って文芸会館(どこにあるのだか)を御利用した人がいたのだろうか。何故か気に
なる本である。「檜山兄弟」は、幕末の長崎を舞台に外国人も登場する異色作。
価格
\800
B−b036−043
現代大衆文学全集 第九巻 吉川英治集 鳴門秘帖
昭和3年 平凡社 C 箱入り 非売品※予約販売?
★昭和のはじめ、改造社が火をつけた文学全集、いわゆる円本ブームは、他の出
版社も追随、巻き込んで大ヒット企画となりそれまで喰えなかった文士たちは突然
の印税で中には家を建てる者も出たと聞く。本書は平凡社の出した現代大衆文学
全集なるものの端本だが、巻末に広告ページもなく、その全容は窺えない。鳴門秘
帖全1216ページを堪能してもらえれば幸甚だ。岩田専太郎の挿画だけでも価格に
見合う価値があるはず。※本文ところどころに黄ばみ・シミがあります。何しろ70年
以上経年しているので。そのわりには箱も含め程度はまあしっかりしています。
価格
\600
B−b036−044
尾崎一雄集 筑摩現代文学大系47 筑摩書房
1977年 初 B※未読か・月報付き 1600円
二月の蜜蜂・懶い春・暢気眼鏡・こほろぎ・虫のいろいろ・すみつこ・まぼろしの記
坂口安吾追想・伊藤整といふ人・出世作の頃・上野桜木町―宇野浩二のこと―
負け惜しみといふこと―大岡昇平と碁― 他 ●人と文学:紅野敏郎
★こうした文学全集ではまず単独では編まれることのない尾崎一雄だが、後発
のこの全集では文壇に特異な位置を築いた私小説の大家として評価が定まった
とみえて初の?ワンマンショー。短編作家であるからほぼ彼の代表作をすべて
網羅、ベストオブ・尾崎といった観がある。付録の月報誌上では、「やまいぬけ」と
題し中野重治が、また「兄弟子尾崎さん」と題し阿川弘之が寄稿していることも見
逃せない。彼の小説は市井の貧しい人々の哀感を読みやすくユーモアでくるんだ
もの。大作ばかりが文学ではないという好見本。こうしたテイストの作家のいなく
なって久しい。簡単そうで底が深い。今の小説はみな深そうで浅いのである。
価格
\700
B−b036−045
網野菊 壺井栄 幸田文集 筑摩現代文学大系40 筑摩書房
1978年 初 B※未読か・月報付き 1600円
●網野菊 妻たち・憑きもの・金の棺・業・さくらの花・
●壺井 二十四の瞳・屋根裏の記憶・日めくり
●幸田 流れる・勲章・黒い裾 ●人と文学:小松伸六
★それぞれ日本文学に確固たる位置を占める三人の女性作家。志賀直哉門下
で生と日常を厳しく見つめ続けた網野、名作二十四の瞳で知られる慈愛に満ち
人間味溢れる壺井、そして父露伴翁の厳しい教えを受け、露伴の死後作家とし
て43歳で出発した幸田文。それぞれ作風は違うもののどれも珠玉のような作品
を本書では収録。月報誌上では、佐多稲子らが寄稿している。
価格
\600
B−b036−046
現代詩歌集 啄木 晶子 光太郎 白秋 朔太郎 茂吉 虚子 他
日本文学全集29 河出書房 昭和41年 B 480円
★河出書房新社が出した全29巻の豪華版日本文学全集の最終巻。この全集は、
第1,2巻は与謝野晶子訳の源氏物語で、以下平家物語、西鶴集など古典が続
き7巻目にして森鴎外集、以下、藤村、秋声、漱石、荷風と続くがそもそも日本文
学全体をたったの29巻でまとめるのは無理ではないのか。古典まで網羅するの
ならば100巻あったとしても不可能なのでは。それはともかくこの一冊で日本文学
の小説以外のもの、詩、短歌などすべて纏めてしまったというものすごくゴーインな
一冊。だから表題の作家は多少ページをとったものの、他の作家はほんの一つか
二つの代表作だけの収録となり、ある意味では詩句見本帳、サンプル集であると
も言えよう。とりあえず好きな作家がまだみつからないが文学を学ぼうとする者、
詩歌に新たにふれようとする者には最適の一冊かもしれない。
価格
\500
B−b036−047
現代文学大系15 北原白秋 高村光太郎 宮澤賢治 集
筑摩書房 昭和40年 C 430円
●白秋 邪宗門・思ひ出抄・海豹と雲抄 他2編
●光太郎 道程・「道程」以後・典型
●賢治 春と修羅第一集・銀河鉄道の夜 他5編 ●人と文学:村野四郎
※やや背割れ気味。最終ページ裁断ミスの部分あり。でも魅力的なカップリング!
価格
\400
B−b036−048
日本小國民文庫 世界名作選(一) 山本有三編
新潮社 1998年 帯 B上 1600円
★日本小國民文庫とは、真実一路の人・山本有三が昭和10年代に少年少
女のために責任編集した児童向け全集。本書はその復刻本。内容は、一部
紹介しただけでもトルストイの「人は何で生きるか」、アインシュタインの「日本
の小学児童たちへ」、アナトール・フランスの「母の話」、ブレイクの「笑いの
歌」〈詩〉、ブッセの「山のあなた」〈詩〉、ケストナーの「点子ちゃんとアントン」
そして武井武雄の漫画と実に豪華盛りだくさん。子ども向け総合雑誌の感が
ある。皇后美智子さんも子ども時代に愛読していたと講演でも話されたそうで
す。お子さまのクリスマスプレゼントに最適だと思うが、今の子どもはこんな
本など読まないか。「コナン」や「ワンピース」のセットの方がどれほど喜ぶこ
とかと思う。出版社は美智子サンに献呈されたのだろうか。でもホントいい
本です。山本有三のセレクションもサイコー。
価格
\900
B−b036−049
塩狩峠 三浦綾子 新潮社 昭和43年
B下※カバー一部破れアリ 470円
★明治42年、北海道の草深い峠にかかる鉄道で脱線事故が起こり、多くの
人命が危機に襲われたが、一人の鉄道職員が自らの命を投げ出しその事
故を回避させた。今日でも北の地で多くの人々に語り継がれる一キリスト者
の、その死に至る生涯を元に、三浦綾子が「小説」に仕上げた名作。
と書くと、人は堅苦しい信仰小説のように思い、臆するかもしれない。だが、
これは、ごく普通の、どこにでもいるような悩み多き青年の話であり、特別に
教訓めいた偉人の説話でもない。信仰を持った普通の人が、あるとき突然
の悲劇に遭遇する、そして彼はそのとき何をしたのか。その時に至る彼の
人生を三浦は淡々と追い小説としても実に面白く読ませる。大した才能だと
感心した。よく遠藤周作と並び語られることが多い三浦だが、遠藤がモlリ
アック的なあざとい設定を用い特異な状況に置かれた人間の心の深淵と
そこから導かれる信仰を描いたのに対し、彼女は、ごく普通の、弱い悩み
多き人間を主人公に、襲いかかる悲劇と信仰を描く。答えも悟りもそこには
ない。だが、どうして読者は彼女の作品に感動して泣いてしまうのか。ハッ
キリ言って今話題の「セカチュー」の数倍泣けます。そして人は読み終えた
とき、それまでの自分とは何かが違うことに気がつくはずだ。クリスチャンで
ない人、信仰を持たず必要ないと考える人にこそ読んでもらいたい。当店
一押しのお勧めの本。もし未読の人がいるのならば何冊でも売りたいです。
店主もこの本を読んで、人のために生きたいとつくづく思いました。
価格
\700
B−b036−050
夜の三部作 福永武彦 講談社 昭和44年 箱・帯・B 680円
●著者自装・箱入り・帯・箱にビニールかけ。
★「冥府」「深淵」「夜の時間」の三作品収録。
「人間の奥深い内部で不気味にうごめき、それが人間を内側からゆさぶり崩
そうとする見えざる悪意のようなもの、こうした暗黒意識を主題にして描いた
「夜の三部作」の決定版」――――帯惹句。
価格
\900
B−b049−001
砂の女 安部公房 新潮社 昭和47年 B上 箱入り 570円
●箱入り・本体ビニールカバー・程度上
★「鳥のように、飛び立ちたいと願う自由もあれば、巣ごもって、誰からも邪
魔されまいと願う自由もある。飛砂におそわれ、埋もれていく、ある貧しい
海辺の村にとらえられた一人の男が、村の女と、砂掻きの仕事から、いかに
して脱出をなしえたか……色も、匂いもない、砂との闘いを通じて、その二つ
の自由の関係を追求してみたのが、この作品である。砂を舐めてみなけれ
ば、おそらく希望の味も分かるまい」――――著者独白(箱表紙印刷)。
「詩情とサスペンスに充ちた見事な導入部、再々の脱出のスリル、そして砂
のように簡潔で無味乾燥な突然のオチ、……すべてが劇作家の才能と小説
家の才能との、阿部氏における幸福な結合を示している。《略》一旦読み出
したら止められないこと請合の小説」―――三島由紀夫・箱裏掲載評。
※他に武田泰淳の評掲載。
価格
\1,100
B−b049−002
箱男 安部公房 新潮社 1973年 B 700円
●箱入り・本体ビニールカバー程度上・著者自身の付録小冊子付き。
★「都市には異端の臭いがたちこめている。人は自由な参加の機会を求
め、永遠の不在証明を夢見るのだ。そこで、ダンボールの箱にもぐり込む
者が現れたりする。かぶったとたんに、誰でもない存在になってしまえるの
だ。だが、誰でもないということは、同時に誰でもありえることだろう。不在
証明は手に入れても、かわりに存在証明を手離してしまったことになるわ
けだ。匿名の夢である。そんな夢に、はたして人はどこまで耐えうるのだろ
うか」―――著者(箱に印刷独白)
「『箱男』を読了して、私は輝くような場面の連続で頭が一杯になり、分析
するよりも、もう一度読んでみたいという気持ちが強い。いかにも常識的な
出だしから全く不思議な世界に発展するのだが、読者が一度その世界に
足を踏み入れたら、どんな幻想でもまことしやかに思われるばかりではなく、
しまいにはその幻想的な世界は、われわれの日常生活に他ならないことに
気がつく。一行の無駄もないこの傑作を書くのに、安倍さんが六年
かかったということは、けだし当然である」―――ドナルド・キーン(箱裏掲載
評)※他に石川淳の「評」掲載。
価格
\900
B−b049−003
燃えつきた地図 安部公房 新潮社 昭和42年 B 680円
●箱入り・本体ビニールカバー程度上・
★「砂の女」では、逃げた男が主人公だった。今度の作品では、逆に追う男
を主人公にした。都市……他人だけの砂漠……その迷路の中で、探偵は
しだいに自分を見失っていく。あえて希望を語りはしなかったが、しかし絶望
を語ったわけでもない。おのれの地図を焼き捨てて、他人の砂漠に歩き出
す以外には、もはやどんな出発も成り立ち得ない、都市の時代なのだから
……」―――著者独白(箱印刷)
「これは動いている小説である。動いて、動いて時々おどろくほど鮮明な影
像があらわれながら、却って現実の謎は深まってゆく。《略》阿部氏がその
小説の中に、会話の天才をみごとに活かし、「砂の女」よりも「他人の顔」よ
りも、はるかに迅速に疾走してみせた小説である」―――三島由紀夫
(箱裏掲載評)※他に大江健三郎、ドナルド・キーンの「評」掲載。
価格
\800
B−b049−004
夏の闇 開高健 新潮社 昭和47年 初・箱 B上 550円
●箱入り・本体にビニールカバー・付録小冊子付き。(佐々木基一と開高健
の対談掲載)
★「作家が、もっとも深い内部から湧きあがる声にかり立てられるようにして
語ることは、一生のうちでそう何度もあるものではない。『夏の闇』における
開高健氏は、まぎれもなくそういう深い声で語っている。それは、喪われた
“やさしさ”に対する悔恨の歌であり、“愛”を奪った時代への告発の書でも
ある」《略》――江藤淳評。※他に柴田翔、堀田善衛の「評」を箱裏に掲載。
価格
\1,000
B−b049−005
裏声で歌へ君が代 丸谷才一 新潮社 昭和57年
B上 1900円
●箱入り・付録小冊子付き(井上ひさしと山崎正和の対談掲載)。
★政治的人間といふ言葉がある。政治が人生のいちばん大事な主題である
人間、といふ意味だらう。わたしは政治的人間ではない。
しかし、そんな人間にこそ政治は襲ひかかるし、あるいは、そんな人間ほ
ど、政治に襲ひかかられたと感じるものらしい。すくなくともわたしは幼いころ
からずつと、そんなふうに感じて鬱陶しい思ひをしながら、現代史とつきあつ
てきた。案外、たいていの人がさうなのではなからうか。
そのへんの消息をわたしは何とか書いてみたいと思つた。そこからはいつ
てゆけば、現代人を悩ましてゐる、そして私を子供のころから悩ましてゐる、
国家とは何かといふ問への答も、おぼろげに浮かびあがるかもしれないと
いふ気がした。
つまりこれは非政治的人間の書いた政治小説である。蝶の嫌ひな男は
蝶類図鑑は編まないけれど、小説家にはそんな態度は許されないのだから
仕方がない―――著者独白(箱裏に掲載)。
価格
\850
B−b049−006
曾野綾子・倉橋由美子集 筑摩現代文学大系82 筑摩書房
1977年 初 B上※未読か・月報付き 1600円
●曾野綾子 傷ついた葦・地を潤すもの
●倉橋由美子 夢の浮橋・パルタイ・宇宙人・長い夢路・白い髪の童女
●人と文学:曾野=福田宏年 倉橋=森川達也
★共に戦後派として独自の文学世界を確立した才女二人のカップリング。
写真を見る限り倉橋の方が年上だと思っていたけれど、曾野の方が4歳も
年上で、活動時期も戦後すぐからとかなり早い。美人は得だというのは、
文学の世界でもあてはまるのか。
価格
\600
_B−b049−007
現代日本文学館15 有島武郎・里見淳 文藝春秋
昭和43年 箱・帯・初 B 480円 ※小林秀雄編集
●有島武郎 星座 宣言 カインの末裔
●里見淳 善心悪心 父親 潮風 椿 極楽とんぼ
●有島武郎伝=野島秀勝 ●里見淳伝=奥野健男
★「思想と生活の矛盾に悩んだ大正ヒューマニズムの文学」――有島、
「人間観察の妙味と技巧の冴えを見せる名人芸の文学」――里見、と帯
にあるが、ご存知のようにこの二人は実の兄弟で、リアリズム小説を多く
描き人生に悩み愛人と自ら命を絶った兄有島と江戸戯作文の流れをくむ
軽妙洒脱な作家として知られ、天寿を全うした弟里見の対象の妙をとくと
味わいください。
価格
\600
_B−b049−008
現代日本文学館22 宇野浩二 久保田万太郎 文藝春秋
昭和44年 箱・帯・初 B 480円
※小林秀雄編集 付録小冊子付き
●宇野浩二 思い川 蔵の中 枯木のある風景 子の来歴
●久保田万太郎 朝顔 末枯 春泥 花冷え うしろかげ 三の酉
●宇野浩二伝=水上勉 久保田万太郎伝=池田弥三郎
★「貧苦と女の苦の世界に生きる人間の真実を美しく描く」――宇野、
「滅びゆく市井の義理と人情の世界を情緒ゆたかに描く」――万太郎
(帯惹句)。通称「文学の鬼」と呼ばれた宇野と「浅草の詩人」万太郎の、
古き良き時代を丁寧に描いた情緒溢れる文学世界を堪能ください
価格
\650
B−b049−009
現代日本文学館23 横光利一 文藝春秋 昭和43年
箱・帯・初 B 480円
※小林秀雄編集 付録小冊子付き
●収録作品 寝園 紋章 御身 蠅 静かなる羅列 春は馬車に乗って
機械 睡蓮 天城 微笑 ●横光利一伝=中村真一郎
★「文学の実験に身を賭した新感覚派の鬼才の華麗な作品」――帯惹句。
大正から戦前を駆け抜けた新感覚派の旗手・横光利一は今読んでも断然
新しく輝きを放っている。
価格
\650
_B−b049−010
心の歳月 網野菊 新潮社 昭和46年 初・箱・帯付き
1000円
★志賀直哉門下で、近年幸田文と並び再評価の動きもある女流作家網野
菊の代表作とも呼べる随筆集。師譲りの名筆で有名無名の人々との出会
いと別れ、そして四季風物の移ろいをしみじみと描くまさしく名人芸。才能
ある人の手にかかると不幸せや哀しみさえも美しく得がたいもののように
思われてきます。
「大空襲の時の未発表日記から、二十数年住みなれた小さな小さな家を
隣家の家事で立ち退く著者七十一歳の春まで、書き継がれた127編の珠
玉随筆」――帯抜粋。
価格
\1,300
_B−b049−011
吉行エイスケ作品集 吉行エイスケ 文園社
平成9年 初 1400円
★戦前のダダイスト・吉行エイスケである。当然吉行淳之介、吉行和子、
吉行理恵の父親である。その名は文壇史には残るが、早く筆を折り、本
人も34歳で急逝しているのでこれまでその作品は読むことが難しかった。
だが、妻・吉行あぐりの著書『梅桃が実るとき』がNHKの朝の連続小説で
「あぐり」として放映され、一躍再びその名が知られることとなり、著作も
復刻された。本書はその時出されたもの。小説と詩を編纂してある。子
息淳之介の「父エイスケについて」も収録されているが、父の小説を全然
かっていないのが面白い。果たしてエイスケは今でも読むに耐える作家
か。その答えはまず手に取ってみて欲しい。個人的にはヘンで意欲的、
当時としては非常に新しかっただろうとそれだけは言える。
価格
\900
__B−b049−012
化石の森 上・下2冊セット 石原慎太郎 新潮社 1970年
箱・B 各770円 ※セット販売
★ご存知ファシスト都知事慎太郎だが、小説家としても多大な仕事を残し
ている。本書は、篠田正浩監督で東宝で映画化され、小説も映画ヒットし
た。「太陽の季節」と並ぶ都知事の代表作。個人的には、政治家としての
才能よりも小説家としての才を店主は買っている。彼の最大の問題点は、
文士としてなら許される反社会的放言を、責任ある公人の立場であえて
おこなうということだ。
「現代の人間の内部に暗く鬱積した怒りを白日に曝した怖るべき衝撃と
迫力!一青年の戦慄の行動を描き、《人間の存在とは何か》を痛切に
問う」――宣伝コピー。●箱入り・本体にビニールカバー・付録小冊子付
き(慎太郎と江藤淳の対談掲載)。
価格
\1,300
上記の中でも講談社版・長編小説全集は、発行から40年近く経過していて、あとで
考えるとどれも程度はCランクにつけてもいいほどだと考え直しました。ですから、
Bと表示されていても限りなくCに近い古本だとご理解の上、ご注文お願いします。
★コーナートップへ
★目録一覧へ
トップへ