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![]() 文 / 夢天 さま |
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「明日はアンジェに会える日だ。 何だかわくわくするよ、1週間に一度しか会えないなんて 残酷だよな〜。」 夜はゆっくりと更けていった。 ぐっすり寝込んでしまったランディは、前日の夜 アンジェに会える事が嬉しくて中々寝付けなかったのだ。 ランディが目覚めたのは、約束の時間から 既に1時間過ぎた頃だった。 「俺とした事が、なんて事だ!」 ランディは、慌てて飛び起きると、身支度をし 急いで約束の場所へ向う。 約束の公園までは、バスで1駅だ。 運動神経抜群のランディにとって、バスの待ち時間が勿体無い 走る方が早いと判断したのか、それとも考えずに突っ走ったのかは定かではない。 その頃アンジェリークは、公園の中央にある大きな木下で 小鳥と戯れていた。 「ランディ遅いな・・何かあったのかな?」 真っ白なケープコートに白いブーツ ふわふわの白い手袋を身に纏ったその姿は 空から舞い降りた天使の様だった。 必死に走り、何とか公園に着いたランディ。 約束した場所、大きな木の下に向って最後の全力疾走だ。 「アンジェ!アンジェリークー!」 「あら?ランディの声みたい・・」 アンジェリークが声のする方へ振り向くと 真冬なのに半袖で走ってくるランディの姿が見えた。 「うそ!如何して半袖なの??」 息を切らして、アンジェリークの元に辿り着いたランディを アンジェリークはぽかんと見つめている。 「はあはあ、・・ごめん、こんなに遅刻しちゃって」 「如何したの?」 「あ、いや・・その〜」 「くすくす、寝坊したんでしょ?」 「あ、いや・・はい。」 ランディは申し訳無さそうに俯き、頭の上で両手を合わせた。 「ごめん!本当に申し訳ない。 この埋め合わせは、君の好きなパフェをおごるから! あ、ルーシェのケーキバイキングもいいよ。いっぱい食べて」 「やだ、私、そんなに食べられないわよ。くすくす。 それより、ランディは如何してそんな格好をしているの? 寒くないの?」 アンジェリークに言われて、ランディは自分の服装に目をやる。 一瞬で青ざめるランディ。 「あ、あれ?俺、なんでこんな格好・・ 確かトレーナーを着た筈なのに。」 「どうせ寝ぼけて間違えちゃったんでしょ?」 「あはは、そうかもしれない」 その時、ランディの目の前に、白い物が落ちてきた。 「あっ!」 空から、真っ白な雪がふわふわと舞い落ちては ランディの鼻先や肩に溶けていく。 「ハクシュン!」 「大変!そんな格好じゃ風邪を引いちゃうわ! 今日の予定は変更して、お家に帰った方がいいわ。」 「え、せっかく君に会えたのに、直ぐに別れるなんて そんなの、この1週間の俺の思いはどうなるんだよ。」 「でも、このままじゃランディが風邪を引いちゃうもの。」 「それじゃ・・そうか、これならいいぞ! 君が俺の部屋に来ればいいんだ!」 「ええぇ〜〜!ランディのお部屋へ?」 「あの、いやかい? ちゃんと掃除はしてあるんだけど・・」 一瞬戸惑いを見せたアンジェリークだったが 恥ずかしそうに頬を染め、でも、しっかりと頷いた。 「よしっ!」 ランディは両手に拳を握り、『やった!』と喜んだ。 「そうと決まったら、何だか寒くなっちゃったよ。 早く行こう!」 「うん。 あ、ちょっと待って」 「え?」 アンジェリークは、自分が巻いていたマフラーを外すと ランディの首に掛けてやる。 「これで、お家までは少しだけど、寒くないでしょ?」 目の前に、アンジェリークのキラキラと輝く エメラルド色の瞳が覗き、ランディはどぎまぎし 頬が赤くなるのがわかった。 『か、可愛い・・』 「それじゃ君が寒くなっちゃうよ。 そうだ、こうしよう」 ランディはマフラーを解き、半分ずつ二人に巻き付けた。 「ほら、こうしたら二人で温かいだろう?」 「ふふふ、そうね。 さ、行きましょう、ランディ」 二人は、小雪の降る中、仲良く手を繋ぎ 公園を走って行った。 |
06/01/31up