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「ランディさま、似合います?」 長い袖をひらりと靡かせて、アンジェリークがくるりと身体を回してみせる。 彼女の着ている衣装は、辺境惑星の小さな島国の民族衣装。 以前ルヴァさまに写真を見せて頂いた時、その衣装のドレスとは違った華やかさに惹かれた彼女は、今日のニューイヤーパーティの為にオリヴィエさまにお願いして仕立てて頂いたらしい。 どうやら俺をびっくりさせようとして今まで黙っていたみたいなんだけど、その効果はてきめんだった。 桜色のぼかしの入った白い振り袖に金色の髪が映えてる。 背中に結んだ白銀の帯も、まるで小さな羽根が生えてるみたいだ。 そうしていつもより大人びた化粧で微笑んでいる姿があまりにも綺麗すぎて、さっきから俺は口をポカンと開けて彼女に見惚れたまま一歩も動けないでいた。 「ホラホラ、ランディ、ぼさっと突っ立ってないで何か言ってあげたら?」 俺の隣で同じように彼女に見惚れていたマルセルが、俺の背中を叩く。 「あ…えーっと、綺麗だよ。……すごく似合ってる」 あまりにも気恥ずかしくて何を言っていいのかわからずにしどろもどろにそう言うと、 「なんだか心がこもってなーい」 アンジェリークはそんな俺の様子を見透かしてからかうようにクスクス笑う。 彼女の振り袖を仕立てたオリヴィエさまにも俺の心の動揺はバレバレ……というか、たぶん俺がこんなになることは最初からわかってたんだろうな。 俺の反応に満足げに微笑むとスーツのポケットから小さなデジカメを取り出して、 「聖地じゃめったにこんな衣装着る機会ないんだし、せっかくだから記念写真でも撮るかい?」 そう言って艶やかにウインクした。 「わー、お願いします、オリヴィエさまっ!」 はしゃいで俺の隣に小走りに駆け寄ってきたアンジェリークに、俺は小さな声で改めて言った。 「ホントに、うまく言えないけど似合ってるよ。見違えて、驚いた」 それに彼女は俺の方をちらっと見上げると、 「ありがとうございます。……でも少し動きにくくて窮屈なの。早く脱ぎたいかも」 そう言って悪戯っぽく舌を出して笑ってみせる。 いつもの彼女の素顔が覗いて、思わず笑いが漏れた。 「俺が脱がせてあげようか?」 さっきの仕返しにちょっとだけからかうつもりでそう言ったら、 「っ……知らないっ」 アンジェリークは、顔を真っ赤に染めて俯き、俺の左腕に自分の腕を絡めてきた。 ───ねえアンジェ、その反応は肯定ととっていいのかな? 新しい一年の始まりは、ほんの少しの甘い予感と左腕のぬくもりで幕を開けた。 END |
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北条優女さんからお年賀で ランリモのイラストとお話を頂きましたv 振り袖姿のリモちゃんに見惚れちゃうランディ様が可愛いですv しかし「俺が脱がせてあげようか?」なんてランディ様も負けてはいませんねv(笑)うっとりv 優女さん、新年早々に素敵な作品を揃ってありがとうございましたv ※ 素敵なイラストと併せてご覧ください♪ ※ (コメント:元PURE×PURE合同管理人 ちりさま) |
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03/01/07up