揺らぎの風 2










「ここでいいの?
広いベッドじゃなくても?」

「うん。ここがいいの。
向こうはあまりにも広すぎて何だか落ち着かない。
ここだって2人なら十分すぎるくらい広いもの。
それにこっちの方がランディさまとぴったりくっつけるでしょう?」

「アンジェは本当に甘えたがりだよね。」

「いけない?

「いけなくないよ。」

「うふ・・・よかった。」

「さっきまで泣いてたのが嘘みたいだな。」

「だって・・・・・。
ランディさま・・・私・・・わがままで・・・ごめんなさい・・・」


ランディは優しい眼差しで首を振ると、
ゆっくりと顔を近づけて瞳を覗き込んだ。


「いいんだよ。
ただし、後悔しても知らないぞ。」

「しないもん・・・・・」


ゆっくりと唇が重なる。ドレスを脱がせながら、
体のあちこちにランディが落とす熱に、
アンジェリークは何も考えられなくなって行く。
体中が融け出して、どうにかなってしまいそうになる。


「いや・・・やめて・・・ね・・・ぇ・・・」


無意識に零れる言葉が、気持ちと裏腹なものなんて、
ランディは知り尽くしている。


「アンジェのウソつき・・・・
もっとして欲しい事・・・あるよね・・・?」

「や・・・ああっ・・・!」


ランディの手で体中が桜色に染まった頃、
一番の熱さを探り当てられて、中を掻き回される。
我慢が出来ない所まで追い上げられた
アンジェリークは望むままにランディに深く貫かれた。
繋がった体が熱く燃えている。
ランディの腕がアンジェリークの背中に回り、
アンジェリークもまたランディの背中にしがみつく。
2人は繋がったままで固く抱き合った。


「私だけの・・・ランディ・・・さま・・・そうよね?」

「決まってるだろう?」

「他の女の人に優しくしないで・・・」

「やきもち妬きのアンジェも大好きだよ・・・。
君こそ俺だけのものなんだからね・・・。
忘れちゃダメだぞ。」

「忘れないように・・・いっぱいランディさまを刻み付けて・・・」


ランディはアンジェリークを力強く抱き寄せてくちづける。
今、アンジェリークのすべては自分だけのものだと実感する。
でも、もっともっと深く手の中に堕としたい。感じたい。
天使の羽をもぎ取って、2度と飛び立てないように、
腕の中に閉じ込めてしまいたい。
そんな思いに支配されたら最後、もう後戻りは出来ない。
突き上げる動きが激しくなるのを止める事は出来ない。
腕の中で乱れる花をランディは貪るように摘み取って行く。


「愛してる・・・俺の・・・アンジェ・・・」

「ランディさま・・・もっと・・・もっと・・・・」


お互いを愛しく想う優しい気持ちと誰にも渡したくない激しい想い。
その2つがぶつかり合って大きな奔流となり溢れ出す。
与えられるものと与えるものが相乗効果を生み出して、
高く高く昇りつめて行く。理性などとうに吹き飛んでしまっていた。
見たこともない閃光が頭の中に迸った瞬間、
眩暈を起こしそうなほどの快感の波が2人を攫った。






気だるさの中でアンジェリークがゆっくりと瞳を開けると、
目の前に微笑むランディの顔があった。
はにかむアンジェリークの瞼にランディはそっと唇を落とす。


「どうして・・・・」

「え?」

「どうしてこんなにアンジェは可愛いんだろうなって。」

「イヤ・・・急に・・・何・・・?」

「俺、アンジェを抱くと見境がつかなくなって自分が怖いんだ。
今だって・・・自分だけのものにしたくて・・・。
どんどんアンジェに溺れて行く。怖いくらいに。」

「そんな・・・私、ランディさまだけのものなのに・・・。
それに私、ランディさまにとってマイナスな存在にはなりたくない・・・」

「違うよ。その逆だよ。俺はもうアンジェなしではいられない。」

「私だって! ランディさまがいなくちゃ生きていけない!
ねぇ、ランディさま・・・本当に本当に後悔してない?」

「するわけないだろう? でも・・・」

「でも?」


不安そうな顔で自分を見つめるアンジェリークを
胸に抱き寄せて、優しく髪を梳いた。


「こんな事をしたのがジュリアスさまに知れたら大変かも。」

「言わなきゃわからないもの・・・大丈夫よ・・・。
ううん、もしかしたら最初からわかってるかも・・・」

「そうだね・・・そうかもしれないね・・・。」


2人は顔を見合わせて微笑む。
ランディの汗の匂いが心地よい。
息も体も次第に落ち着いて、
とくとくと規則正しく刻まれる心臓の音を耳にしながら、
アンジェリークはうっとりと瞳を伏せた。
心までが温かく満たされていくのを感じる。


「・・・帰りたくないな・・・・」

「アンジェ・・・」

「うふふ。嘘よ。
こうしてランディさまと一緒にいられるならどこでもいいの。
でもね、本当は聖地にいる時が、
一番安心していられるのかもしれない。」

「うん・・・俺も・・・そうだよ。」


何と言っても他の人々の目にさらされる機会が、
一番少ないのだから。



愛しているからこそ想いは揺らめく。
それはランディもアンジェリークも同じ事。
2人は気づいているのだろうか。
揺らめいた分だけ、想いはさらに深まる事を。

体を摺り寄せて甘えて来るアンジェリークを、
ランディはしっかりと抱き取る。
聖地を離れた2人の夜が、お互いのぬくもりの中で、
今再び甘く静かに融け始めた。


                          fin.


このお話は 露埼さんが’04,3月に発行した新刊【君の翼】の中のお話の
サイドストーリーPART3・・・続編です。

2人で出張という 又とないような特別な時間の中で、
気持ちを抑えて公務に全うしようと頑張る真面目なランディ様と、
自分の気持ちに素直な 甘えたがりの可愛いアンジェv(*^^*) 
でもでも、どうしたってこんな状況では萌え上がらずにはいられないでしょう〜!?vvv
甘い時間はもちろんだけど、私的には 執務中の女王様と騎士(ナイト)な姿の
お似合いの2人を想像するだけでも ウットリしちゃいました♪

露埼さんからいただいた、ご褒美創作はこれでひとまず完結ですv
たくさんの素敵なお話を どうもありがとう〜vvv(なのにアップが遅れてごめんね〜;;)
露埼さんのサイトはこちらv→







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04/06/27up