文 / 露埼 紗羽 様






遠くかすかに君が口ずさむ歌が聴こえて来る

・・・ねえ、もう朝なの?・・・

でも、もう少し・・・このままでいていいかな?
大好きな・・・君の声を聴きながら・・・・








休日の朝はゆっくりと始まりを告げる。



「ランディ様、朝食の準備がもうすぐ出来るわ。
もう少ししたら起きて来てね?」

「ん、んん・・・」






ゆうべから一緒に過ごしていたランディとアンジェリークが、
ようやく眠りについたのは外も白み始めた時間だったのだが、
アンジェリークはすでに起きて、朝食の準備を整えたらしい。
焼きたてのパンの香ばしい香りがただよっている。
先ほど声をかけたのに、なかなか起きて来ないランディを、
アンジェリークは再び起こそうとしていた。


「ランディ様、起きて。」

「ん・・・・・」


毛布の中からランディの手が伸びて、アンジェリークの手首を掴み、
自分の方に引き寄せる。


「・・・・アンジェ・・・・」

「ランディ様、朝よ?」


引き寄せられたアンジェリークは、
上半身裸のままで眠っていたランディの腕の中に取り込まれた。


「もうちょっと眠らせて。このまま。
アンジェがあったかくて気持ちいいよ。」

「ダメよ、ランディ様。」

「どうして?」

「食事が冷めちゃうわ。さ、起きましょう?」


アンジェリークはランディの腕からすり抜けて、
毛布を引きはがすという強硬手段に出た。


「ひどいなぁ。」

「だって今日はランディ様とゆっくり過ごせるお休みなんだもの。
1分でも、1秒でも時間がもったいなくって。」

「そうだったね。おはよう、アンジェ。」


ランディは今度はちゃんと起きて、アンジェリークを抱き締めキスをした。
おはようの挨拶にしては、少々濃厚すぎる恋人同士のキスだったが、
アンジェリークは素直にそれを受ける。
ランディの裸の胸に、服を着た自分が抱かれているのは不思議な気分だった。
動悸が高鳴るのを気づかれないようにして、アンジェリークはランディから離れた。


「お寝坊のランディ様、おはようございます。
ちゃんと目が覚めた?」

「今のキスで目が覚めた。」

「もう!ランディ様、髪の毛が爆発してる。」

「ええっ?そんなにひどい?」

「うふふ・・・。はい、顔を洗って、着替えて来てね。」





ミルクたっぷりのカフェオレに、ベーコンエッグ、サラダにカッテージチーズ、
焼きたてパンといったシンプルなメニューではあったが、
アンジェリークの愛情がたっぷりこもった朝食を終えて、
後片付けはいつものように2人で済ませていた。
洗い終えた最後の食器をアンジェリークはランディに手渡す。


「ランディ様、今日はどこへ行きましょうか?」

「ねぇ、アンジェ。」

「なあに?」

「俺、デザートが食べたい。」

「デザート?何がいいかしら?
フルーツ?それともアイスクリーム?」

「違うよ、アンジェ・・・君の事だよ。」

「ええっ?」


拭き終えた最後の皿を食器棚に戻した後で、
ランディは背中からアンジェリークを抱きすくめた。


「今日は出かけなくてもいいじゃないか。」

「ランディ様ったら、からかわないで。」

「からかってないよ。俺、本気だよ?」


そう言ってランディはアンジェリークの首筋にくちづける。


「やだ・・・くすぐったい・・・」


身を竦めたアンジェリークのエプロンをほどいたランディの手は、
ブラウスのボタンをはずしにかかり、その隙間からするりと柔らかな胸に滑り込んだ。


「や・・・・」

「アンジェを食べたい。今、ここで・・・」

「ランディ様、やめて・・・」

「どうして?」

「だって・・・ゆうべだって・・・」

「したばかりなのに・・・ってそう思ってる?
それでも・・・俺はアンジェが欲しい・・・・」


後ろから耳元で囁かれる。
ランディの熱い息がアンジェリークの耳をくすぐる。


「アンジェは嫌?」

「朝からこんなこと・・・」

「そんなの関係ないよ。
本当に嫌なの?嫌ならやめるけど・・・」


そう言いながらも、ランディの手は動きを止めてはいない。
ランディの手のひらに包み込まれた事で、
アンジェリークの胸もすでに息づき始めていた。
体がみるみる火照ってくるのを感じる。


「うそ・・・やめる気なんかないくせに・・・」

「アンジェ・・・君はいけない子だね。俺をこんな気持ちにさせて。」


ランディの片方の手が、アンジェリークのスカートの裾に吸い込まれる。
下着の上からランディにしか触れさせた事のないその部分をなぞられて、
アンジェリークはそのままランディの胸に背中を預けた。
息苦しいはずの呼吸が、何故か甘い吐息混じりの言葉となって吐き出される。


「ひどいのは・・・ランディ・・・さま・・・だわ・・・」


間接的に触れられているだけでも、気が遠くなりそうなのに、
やがてランディの指は直接その部分に触れて来た。
ゆうべ愛された記憶がアンジェリークの脳裏にフラッシュバックする。


「このまま・・・いい?」

「立ったまま? それは・・・イヤ・・・・」

「そう?・・・ちょっと残念だけど・・・それじゃ・・・」


ランディは笑いながらそう言って、そのままダイニングテープルの上に
アンジェリークを抱き運び、そのふちに座らせた。


「ここ・・・で?」

「だって、アンジェはデザートだからさ・・・」


ランディは、途中まではずしていたボタンを、今度はゆっくりと全部はずして、
アンジェリークのすべらかな肌を取り出した。
ほんのりと色づき始めたその肌にランディが唇をあてると、
アンジェリークの口からかすかなため息が漏れた。

胸のふくらみに辿り着いたランディの唇は、その先端を捉え、
さくらんぼをしゃぶるように舌の上で弄ぶ。


「ねぇ・・・ランディ・・・さま・・・・おいしい?」

「おいしいよ・・・アンジェ・・・・」

「そう・・・よか・・・った・・・」

「でも、もっといろんな所を食べさせて・・・」


ランディはそんな事を言った後、座らせたアンジェリークの前に跪いて、
膝頭にキスをする。アンジェリークの体がピクンと反応した。
そのままアンジェリークの膝を開くと、ランディはその間に自分の顔を埋めた。


「そんな・・・・いや・・・・ランディさ・・・ま・・・・
恥ずかしい・・・から・・・・お願い・・・」


ランディの束縛からどうにかして逃げようとするアンジェリークを
ランディは離さない。アンジェリークがもがけばもがくほど、
男の強い力で彼女を抑え込み、激しく愛し始める。

今、アンジェリークの視界に映るのは、
この状況に最も似つかわしくないキッチンの風景。差し込む朝の光。
広いダイニングテーブル。そのふちに腰をおろした自分。
はだけられた胸。開かれた膝。その間にはランディがいる。
そして今、自分がされている事・・・・
アンジェリークは思わず目を閉じる。


・・・本当はいやじゃない・・・でも・・・・


アンジェリークの体は小刻みに震え始めた。
恥ずかしいと思えば思うほど、熱く溢れ出してくるものがわかる。
ランディの唇がそれを掬い取るようにしている事も・・・


「や・・・ランディさま・・・・も・・・う・・・・」

「我慢・・・出来ない? いいよ・・・そのまま・・・」

「だめ・・・や・・・」


ランディはアンジェリークの制止などまるで無視するように、
再び顔を埋めて、そのまま続けた。


「いや・・・・い・・・ああ・・・」


アンジェリークの体に明らかな変化が現れた事に満足して、
ようやく顔を離したランディは、アンジェリークを優しく抱きしめて見つめた。


「気持ちよかった?」

「知らない!」


息を弾ませながら、ランディにすねてみせるアンジェリークは、
女の顔の中に、いつものあどけない表情を垣間見せた。
ランディにとっては、どちらのアンジェリークも愛しくてしょうがない。


「愛してるんだ・・・アンジェ・・・・」


しばらくそのままで腕の中の彼女が落ち着くのを待つ。
そして再びくちづけを交わしながら、2人はお互いの邪魔な衣類を取り払った。
ランディはアンジェリークを抱きかかえるようにして、そのままテーブルに横たえる。
冷たい感触に一瞬身震いが起こり、アンジェリークはランディの背中に縋りついた。


「大丈夫?」

「ん・・・」


頷くアンジェリークをいたわるように抱きしめながら、
ランディはアンジェリークの中に、熱の塊となった自分を満たしていく。
与えられたものの侵入を、余韻のさめやらない体は悦んで迎え入れてしまう。
すぐさま2度目の悦びに手が届きそうな危うさをアンジェリークは感じている。


自分が止まらない。止められない。
ランディに愛して欲しい。


アンジェリークの表情が再び女に変わり、求めるような瞳がランディを見つめ返す。


「どうして欲しいの?」

「ランディ様が・・・したいと思ってる事よ?」

「君はホントにいけない子だね。」

「誰が・・・そうさせてる・・・の・・・?」


ランディの腕はアンジェリークの細い手首を、テーブルの上で磔のように拘束する。
繋ぎ合った体をより深い場所で感じ合う為に、
ランディはアンジェリークの中でゆっくりと動き出した。









自分の胸に張り付くようにして甘えているアンジェリークの髪にくちづけし、
その金色を指で梳きながらランディは囁いた。


「アンジェ、すごくおいしかったよ。」

「イヤなランディ様!」

「ごちそうさま。」

「・・・ダメ、まだダメよ。」

「え?」

「今度は私・・・デザート、まだ食べていないもの。」


濡れたままの瞳が、妖しさを秘めながら悪戯っぽく輝いた。
アンジェリークのやろうとしている事を意図したランディは慌てた。


「ア、アンジェ! ちょっ、ちょっと待って!」

「イヤ。待たないわ。」

「ホラ!今日はどこかに出かけるんだろう?」

「ううん、もういいの。」

「アンジェっ!」

「私、いけない子なの。そんなふうにしたのはランディ様よ?」




焦るランディを尻目に、胸の中から身を起こしたアンジェリークは、
お返しとばかりに、そのままランディの腰のあたりに顔を伏せて行った。





                             fin.




露埼さんの6000HITを踏んで書いていただいた、ちょっと進んだ?キッチンネタですv 
仲良く朝食をとった後は、更に美味しい(笑)デザートの時間vvv
朝からアンジェに萌え萌えのランディ様と、最後に自分もデザートをおねだりするアンジェ、
2人とも 心からお互いを求め合っていて、可愛い〜vvv
元々は『まな板の上の鯉→恋』の変換間違いからの発想を押し通してリクしてしまいましたが、流石!
こんなに激萌えな甘い甘〜〜いシーンを書いて貰って私が大喜びなのは言うまでもありませんね?(笑)
きっと皆様も・・・ふふふ(^m^) 露埼さん、素敵なお話をありがとうございました!
実はこのお話に挿絵を描く約束をしているのですが、こんな萌えなシーンが私に描けるんだろうか〜(^^;)ゞ

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03/03/02up