同じ夢を見よう



文:露埼紗羽 様 / 絵:ちり様




ねえ、君は知ってるかい?

こうして手を繋いでいれば、見る夢もきっと一緒だよ。
眠っている時だって君と離れたくないんだ。

指先から伝わる君のぬくもりを感じながら、俺は幸せだよ。
このぬくもりを守りたい。必ず守ってみせるから。




ランディ様の大きな手のひらに包まれていると、
心まですっぽり包み込まれている気がするわ。
こうしていられる時間が一番幸せなのを、ランディ様は知ってる?

今夜はとてもいい夢が見れそう・・・。

・・・夢の中まで一緒にいたいの。



 







「あれ?俺、いつの間にか眠っちゃってたんだな。
アンジェリーク、アンジェリーク。」

「んん・・・・・ランディ様・・・・・・えっ?ラ、ランディ様!?
やだ、私ったら!ごめんなさいっ!」


飛空都市の昼下がり。公園の陽のあたるベンチ。
アンジェリークはランディの肩にもたれて眠っていた自分に気づき、
ひどく慌てた。思わず立ち上がって、膝の上のファイルを取り落とす。
試験の資料を盛大に足元にばら撒いてしまった。


「あぁっ、またやっちゃった!」


飛空都市の気候は穏やかだ。
心地よい陽射しの中、公園のベンチでお昼を食べた後、
アンジェリークは慣れない試験の疲れが出たのか、
いつの間にか眠ってしまったらしい。

「君がここにいるのを見かけたんだ。
声をかけようとしたら、気持ちよさそうに・・・その・・・うとうとしてて、
今にも倒れそうになってたから、思わず肩を貸して・・・
そしたら、あまりにも陽射しが気持ちよくて、俺も一緒に眠ってた。」


資料を拾い集めるのを手伝いながら、
ランディは照れたような笑顔を見せた。


「はい。大事な資料。」

「すみません、ランディ様。」

「そんなに気にしなくていいよ。
それよりアンジェリーク、毎晩遅くまで頑張っているって聞いたよ?
あまり無理しちゃダメだぞ?」

「は、はいっ!」

手渡した時に2人の指先が触れ合った。
その瞬間、2人はそれぞれに思い出す。



・・・・・・今、見た夢は・・・・・・



「アンジェリーク、どうしたの?顔が真っ赤だよ?」

「ランディ様こそ・・・」

「あ・・・いや・・・そ、そろそろ執務室に戻らなくちゃな。
アンジェリークも試験の続きをしなくちゃいけないだろう?
エリューシオンの民の望みは?風の力は求められていないかい?」

「あ、はい!ランディ様、育成をお願いできますか?」

「よし、じゃ、行こうか。」

「はい!」


胸のドキドキを隠したまま、アンジェリークはランディの背中に従った。
少し進んだ所で、先を歩くランディが立ち止まり振り向く。



「あの・・・さ、アンジェリーク・・・今、君と・・・・・」








                                 THE END




私の拙いイラストに露埼さんがとっても可愛いSSをつけてくださいましたv
初々しい2人の恋の予感を思わせるお話ですよね?
なんだかほんわか和んでしまいますねv
露埼さん、素敵なSSをありがとうございましたv

【gallery】に挿絵より大きい元絵が置いてあります。併せてご覧ください。
       (コメント:元PURE×PURE合同管理人 ちりさま)
露埼 紗羽 さんのサイトはこちらから >>> 





 


03/01/07 up