![]() 文 / 一条 敬 様 |
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朝の光が差し込んで、目覚ましが鳴ると即効で眼をさます。 飛空都市に呼ばれた女王候補。それがわたし、アンジェリーク・リモージュ 急いで着替えてクルクルの金髪を解かして、少しでも可愛く見えるように 誰に見られるって訳じゃなくて、もし、万一偶然出会えたなら 一番可愛いわたしを見て欲しいから 鏡に向かってチェックを入れる。 用意が出来たら窓に近付いて見下ろすの 今日も会えるかしら?一目でも見られるかしら? ああ、今日も元気な足音が聞こえてくる タッタッタッ 風のような爽やかなわたしの大好きなランディ様。 いつの間にか心を占めてた守護聖様 濃い茶の癖のある髪。青い瞳。悩みなんか吹き飛ばしてくれる あの、笑顔 今日も会えた 窓超しで見つめる朝の一時の大切な時間 いつも、いつも、気付かれないで通り過ぎて行くから 窓から見送るのが常だったけれど 今日は窓越しに手を振ってみるの そうしたら、ふっとランディ様がこちらを見上げてわたしに向かって手を振った 「きっ、気付かれた」 背中を冷たい物が流れたような気がした。 とっても恥ずかしいんですけど(真っ赤) ランディ様は気にした様子もなくわたしを手招きしている。 「階下(した)に降りてきてって言ってるのかな?」 わたしはランディ様の手招きに階下に降りて、扉を開けた。 「やぁ、おはようアンジェリーク」 「お、おはようございます。ランディ様」 ランディ様の声。ランディ様の笑顔。胸が踊る。 きっと熟したトマトより顔が赤いんだろうな。熱が顔に集中してるのが 自分で解るんだもの 「あ、あの、何かごようですか?」 顔を真っ赤にしたままそう問う 「いや、あのさ。今度の日の曜日。良かったら、その‥俺とどこか行かないか?」 心なし顔を染めたランディ様がわたしを誘う 「はい。」 わたしは即答していた。 「じゃあ、日の曜日に公園で」 ランディ様は笑ってそう言い残して、また風のように駆けて行った。 「ランディ様・・・」 気づかって下さってる。わたしが未来を担う女王候補だから… それでも、良いの たとえこの誘いが女王候補に対する慰めでも、1日中ランディ様を独り占め出来るから… 「ランディ様…」 *―――――――――――――――――――*―――――――――――――――* 約束の日の曜日は朝からそわそわしていた。鏡に向かって念入りにチェックを入れる。 どこもおかしくないかな?少しでもランディ様に可愛く見てもらえたら良いなって… 時計のベルがチリリンと鳴る。 「あ…」 速く行かないとランディ様を待たせてしまう。待ち合わせは公園。 たくさんの人のざわめきを抜け、辿り着く。 いつもと違うランディ様の私服姿にドキリと胸が高鳴った。 薄い朱のマントを身につけ相変わらず爽やかに笑ってランディ様が傍に駆け寄る。 「やあ、アンジェリーク。」 大好きな笑顔だぁ 心臓の音聞こえない…よね? そんな心配してたりする ランディ様はわたしを自分がとても気に入ってる小高い丘に案内してくれた。 高い段差を登れないわたしの手を取ってまで… 「どうだい?見てごらん、この丘の上はとても眺めが良いだろう?」 一面に広がる野原…高い空…白い雲…風が時折通り抜けて行く 辺りに見とれるわたしに 「ここに座ると良いよ」 ランディ様は自分のマントを敷いてくれた その言葉に促されるままわたしはそこに腰を降ろす。 トサッ ランディ様はわたしの隣で草の上に寝転がる。 こんな所が好きだなぁって思う。 誰かが見たら普通の恋人のように見れるかな? サワサワと風が吹く…ランディ様の前髪を揺らして… ふと気付けばその瞳が伏せられ規則正しい寝息が聞こえた… ランディ様の長い睫の影が見える 心臓が高鳴った… 今なら…言っても良いですか?言葉にしても良いですか?… 叶わない思いでも唇に乗せて良いですか?…… 煩いくらいにドキドキしてる… 一陣の強い風が辺りの草を舞い上げるのと同時にわたしはそれを囁いた… 「あなたが…好き」 *―――――――――――――――――――*―――――――――――――――* 「ごめんな。俺が誘ったのに寝ちゃってて」 帰り道、ランディ様は照れて頭を掻きながらわたしに謝った。 「そんな…良いんです。ランディ様の幸せそうな寝顔を見られましたから」 わたしがはにかむように答えると、 「隣にいるのがアンジェリークだから安心しちゃって」 顔を紅くして告げる 「……」言葉の出ないわたしに 「本当だよ…」とランディ様は呟く だから、わたしも言葉が零れた。 「わっ…わたしもです。わたしもランディ様と一緒にいられるだけで 安心で、幸せで、このまま時間が止まれば良いなって思うんです」 顔を伏せて告げてしまった。 「そんな風に言われたら自惚れちゃうよ。俺…」 ランディ様のその言葉に思わず顔を上げると、ランディ様の青い瞳と視線が合わさる。 心臓が煩い 「わ…たし…」 恥ずかしくて視線を逸らそうとするわたしを… 「アンジェリーク」 ランディ様の声が止める。 もう一度視線が合わさる 「アンジェリーク…俺は君を……」 一陣の強い風が辺りの草を舞い上げスカート裾が翻るのと同時にわたしはそれを聞いた… わたしが囁いた言葉と同じ言葉を…… FIN |
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敬さんの初のランリモフリー小説を頂いてしまいましたvvv 一番可愛い私を見てもらいたい・・・という アンジェの、ランディ様への恋する気持ちがとっても可愛らしくて、たまりませんね〜v そしてアンジェの前で、安心して眠っちゃうランディ様もやっぱり可愛いvvv 風の中で囁かれる告白のシチュエーションにめちゃくちゃドキドキしますっ(≧∇≦) 敬さん、ありがとうございました! |
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03/05/19up