love affir
文 / 晶 様






「アンジェ、いる?」
ノックと同時に、ドアをあける。
「ランディさま!どうしたんですか?」
びっくりしたように、アンジェリークは少し腰を浮かせた。
つかつかとアンジェリークの座る執務机の横までやってきたランディは、そのまま強引にアンジェリークのあごに手を置いて唇を重ねた。
「む……!?」
大きな目をさらに見開いて、アンジェリーク。
いきなりの出来事に身体は反応しなかった。
ロザリアが女王になって、はや3ヶ月。
補佐官となったアンジェリークは、いまだ慌しい毎日を強いられていた。
朝は早く、夜は遅く。女王とは違う、この目の回るような忙しさ。女王と守護聖を結び、民と守護聖を結び、そして宇宙すべてのものと女王を結ぶアンジェリークの補佐官としての仕事は、片付けても片付けてもその小さな手のひらに積もっていく。
そういえば、この頃はまともにランディさまとデートもできていなかったっけ…。
「む…ン……!」
もぐりこむ舌を懸命に牽制して、アンジェリークは抱きしめる腕から逃れようと身をよじった。
「…ラ…んでぃ…さ…」
甘い、というより、力強いキス。
息も苦しく、呼吸すらままならないキスに、アンジェはなんとかランディの下唇をかんで空気を得ようとする。
しかし、ランディの右手はそれすら許さない。
髪を絡ませて、しっかりとアンジェの頭を固定する。椅子から立ち上がらないように、ランディは覆い被さるように左手を肘掛に置いた。
何分、ランディはそのままアンジェリークの唇をふさいでいたのだろう?
何が起こったのか分からぬまま、彼女から抵抗する力が次第に弱くなっていったのを確認してから、ランディはティア紡ぎの彼女のドレスの胸をいとも簡単に引き裂いた。
「!!」
びくっと身体を震わせるアンジェ。
それでもランディは顔を離そうとしない。
腰を引き寄せ、下着を捲り上げて胸に指を走らせる。
すでに自己を主張し始めている彼女のその胸の先端を、容赦もせずに摘み上げる。
「…ン!」
甘えるかのように彼に絡んだ、舌が硬直したのが分かった。
離されない指
痛みと甘い、身体の疼き
「ふ…ンン…!」
アンジェリークは、突然の出来事、いきなりこんなことをされたにも関わらず、彼が欲しいと思い始めていた。
欲望の、疼き
重なり続けていた唇が離される。
愛の糸を引きながら、押し付けた時とは反対に、ゆっくりと舌を抜いて彼女から離れる。
男性的なそのキスは、彼女の愛らしい口を存分に濡らしたのにも空き足らず、そうして耳に吸い付き、首筋、胸へと順にさがっていった。
道行きを残すように舌を這わせる。
「は、ふ…」
ため息のように、アンジェリークの声が漏れる。
ランディは構うことなく胸を口に含んだ。
しかしここは、二、三度舐めただけですぐに止める。
「ランディ…さま…」
一体どうしたというのか、アンジェは問おうと、自分の下腹の方に顔をうずめる彼の頭を見下ろした。
くせっ毛が、彼に合わせてゆらゆら揺れる。
「ランディ、さま?」
甘い吐息を吐きながら、アンジェは彼を呼ぶ。
「何?」
しかしその呼び声に答えた彼の声は、ごく平然としていた。
まるで、読書の最中に声をかけられた時のように…
最初から彼の行動には驚きっぱなしのアンジェリークだったが、これには相当驚いた。
「何…って…」
まさかそんな声が返ってくるとは思ってなかったアンジェが、少し正気に返ったように背筋を伸ばす。
そんなアンジェをよそに、すっかりしゃがみこんだランディは、アンジェリークのドレスを唐突に跳ね上げた。
「きゃ!」
一体何をするのか…ランディはそうして彼女のドレスの中にもぐりこんでしまった。
足を開かずにはいられない状況に追い込まれて、アンジェは顔を真っ赤にする。
ランディが、自分の太ももを吸っている…
感触がありありと伝わり、もぞもぞと足を動かすと、ランディはしっかりと彼女の両足を押さえ込んでしまった。
「ちょ…ランディさま…」
誡めるかのような彼女の声は聞こえないようだ。
ランディは、そのままその白い肌に自分の痕跡を残している。
ドレスの中の足は、一体今どういうことになっているのだろうか。
アンジェは椅子に座ったまま逃げられず、じっと肘掛を握りしめている。
彼の舌が、とうとう彼女の秘部まで届いてしまった。
両手は彼女の足を抑えるのでふさがってしまっている。ランディは器用に歯と舌を使って、アンジェの下着をめくった。
「だ、め…!や、ランディさま!」
慌てたアンジェリークが小さく叫ぶが、ランディはやめる気はないようだ。
「ンふ!」
いきなり噛まれて。
背筋がそり、瞳に涙が浮かぶ。
「や、ちょっ……く、ふ…んん…!い…つ、う……!」
歯を立てられ、舌で遊ばれ。
足に力が入らない。肘掛を掴む手に汗がにじむ。

何がなんだか分からない。

今、一体何が起こっているの?
ここはどこ?
この痛みはどこからくるの?
なぜ胸が涼しいの?
溢れる蜜はどうして湧くの?
緩んだ口は誰のせい?
身体の疼きはいつとまるの?
痺れる身体はどうして?
ドレスの中にいるのは誰?
私を遊ぶ人は、誰?

ああ……

「ランディさま…!」

アンジェリークの嬌声、執務室に小さく響いた。





「え…?酔ってた??」
「ごめん!!」
アンジェリークの素っ頓狂な声に、ランディは顔も上げずに両手をぱんっと頭の上で合わせた。
「ど、どういう…」
ことなんですか、という言葉は、アンジェには続けられなかった。
「ほんっとうにごめん!俺、マルセルからもらったワインをオスカー様とあけていて、それで最近アンジェに会えないって話をしていて…。」
その話の時点で相当酔っていただろうランディに、オスカーはあろうことかランディをたきつけたのだった。
『お前がそういう態度では、このままなし崩しに自然消滅してしまうぞ。』
『…そんな事言われても…』
『男なら、どかっと行ってみろ!』
その発言が、ランディの心に残ったのだろう。オスカーが去ってからも一人でワインを飲んでいたランディは、これから今すぐアンジェリークに会いに行こうかと悩んでいたのだという。そしてそのあとから記憶が定かではない。
謝っても、許してもらえないかな、とランディは思った。
いきなり仕事中の彼女の部屋に押し入って、キスをして服を破り、止める彼女の意思を無視して体を感じたのだ。
そろそろと視線をあげる。ランディにはもう、かんかんに怒るアンジェリークが見えていた。
しかし、彼女はみるかぎりでは怒ってはいないようだ。
「……あれ?アンジェ?」
一情事を終えた後のままの椅子の上で、彼女はそっぽを向いて窓から外を見ていた。
「……怒って…る、よね?やっぱり…」
アンジェリークが最後にあげた声で我にかえったランディは、すっかり酒気が抜けていた。
アンジェリークは、それに答えない。
(嫌われた!?)
最悪の事態を想像してしまったランディだが、それに反して次に見せたアンジェの顔は、以外にも笑顔だった。
「あの……アンジェ……?」
おずおずとランディ。

ばかね、私が、ランディさまを嫌いになるわけないじゃないですか!
びっくりしたし怖かったけど、ああいうランディさまも、ちょっといいかなって……

「ふふ、ランディさまなんて、だいっきらい!」

そう言って、アンジェはランディに抱きついた。







晶さんに「大人な部屋」開設のお祝いで頂きました。
ランディ様がとっても強引で積極的で
私的にかなりツボです。ランディ様、格好いい〜!!!
アンジェにはちょっと気の毒な感じもありますが
ちゃんと素敵なオチがついてるところがサスガですv

        (コメント:元PURE×PURE合同管理人 ちりさま)
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02/06/12up