目を閉じてみる。 耳をすましてみる。 度重なる武装解除。 強制労動の日々。 牙はついに歯槽膿漏で抜けた。 爪は無惨に踏み折られた。 絶対絶命? そんな事はないさ。 野性という切札がここにある。 噛みつく為の牙はいらない。 未来を切り開く爪はいらない。 目を閉じて 耳をすませば 俺の体にある 素晴らしい野性の牙が 俺の生きている証だ。 全ていらない 形骸化されている。 全てをすててみる。 洗練された野性だけが爪を持つ。 カーンという甲高い音が聴こえる。 頭のすみずみまで冴えわたる。 大地の感触が体温を上げる。 俺はここにいる。 両の眼にあふれる野性の輝き。 生きるものの証だ。 まだ俺は生きている! ようし、今夜は一丁 月に向かって吠えるとするか!!