02.01.24
もしもあの時
お話を考える一つの方法として、
「もしもあの時、自分が違う選択肢を選んでいたら」というのがある。
この方法を採ると、私は非常に書きやすい。
なにせ、妄想がすごい勢いで働いてくれるのだ。
「高校二年のあの時、全校集会で皆が大絶賛してくれるような発言をしていたら。
もしくは、発言自体をしていなかったら。
つまり、皆が低く冷笑するような、あの私の発言を取り消せたら、
私の人生はかなり変わっていただろう」
とか。
「あの時、あの体育教師から逃げおおせていたら、また違っただろうなあ」
とか。
「目の前で、通りすがりのお姉ちゃんに、先に拾われたあの分厚い財布。私が拾ってたらなあ」
とか。
ともあれ、こういった文章ばかり書いていたら、一時期こんなあだ名をつけられた。
「カミングアウト作家」。
そういう言われ方だと、なんか心外。
表紙に戻る