01.12.13
おう、払っとくぞ


小説「あ・うん」の登場人物、おじさん二人。
二人は戦友で、何をするのも二人一組だった。
兵役後も、とても仲良し。
狛犬さん、あ。狛犬さん、うん。
そんな感じの二人だから、題名は「あ・うん」。

二人の仲を、こんな風に例えている。
「相手の尻から財布を抜いて、払っとくぞと言える仲」


そんな友達がいたら素敵だなあ、と思った。
が、よくよく考えてみれば、いた。
中学時代の友達が、そんな仲だった。

けれど、今は、プライバシー全盛のご時世も手伝って、
そういう気楽な付き合いがなくなった。
なにより、自分がプライバシー全開で生きているのだから世話はない。

プライバシー、ねえ。
友人をポロポロ取りこぼしてまで大事にするほどの「自分」が、
いったいどこにあるのやら。

いかん、虚しくなってきたぞ。



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