01.10.21
アラン・チューリング
NHK人間講座「天才の栄光と挫折」が興味深い(再放送だけど)。
天才数学者達の偉業と、その人生を描いた番組だ。
三世紀半ものあいだ証明が不可能とされていたフェルマーの定理を
見事に解いたイギリスのワイルズ、その軌跡を描いた回は圧巻だった。
昨日の夜は、イギリスのアラン・チューリングという人の物語を放送していた。
私は初耳のこの数学者、とんでもない天才だったことを知った。
まず、二次対戦中のイギリスを救ったという功績。
簡単に説明すると、こうなる。
ドイツのUボートに、イギリスの運搬船はことごとく撃沈されている。
とうとう、イギリスの食糧備蓄は一週間を切ってしまう。
Uボートの所在を突き止めるには、暗号文の解読が不可欠。
しかし、ドイツは「エニグマ」という名の暗号タイピング機を用いており、
これを解読するのは不可能とされていた。
その「エニグマ」を解読したその人物こそ、チューリングなのである。
さらにチューリングは、エニグマ解読にあたり、
世界初のコンピュータを完成させている。
こんな大天才のその後。
解読を成功させたヒーローであるにも関わらず、それは軍事機密につき極秘扱い。
国民はおろか、親さえもその偉業を知らされることは無い。
さらに、不運にもチューリングの同性愛が発覚。
当時のイギリスでは、「同性愛者は他国のスパイに情報を漏らしやすい」とされていた。
チューリングは逮捕され、女性ホルモンを投与され続ける。
結果、性能力を失い、精神もおかされる。
その後すぐに、青酸カリの塗られたリンゴをかじって死亡。
自殺、と記録されているが、その真相は謎。
享年、41歳。
チューリングの偉業は、彼の死後、数年ののちに発表されたそうだ。
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