03.07.02
屁のような男




本を読んでいて、いい言い回しを見つけたので、ここにメモ。
本は司馬遼太郎の「燃えよ剣」。新撰組副長、土方歳三のはなし。
文庫本244ページより。


(ひょっとすると)
 歳三は、近藤のへたな筆でかかれた長詩をゆっくり眼でひろってゆきながら、
(赤沢を斬ったのは、長州のやつらではなく芹沢一派ではないか。敵は、存外、本能寺にいそうだ)
 カンである。
 が、歳三は、自分のカンを、神仏よりも信じている。
 野口健司は、新見、平山、平間とともに水戸以来の芹沢の股肱<てあし>の子分で、腕もたつ。弁もたつ。学もある。小才もきく。
 が、薄っぺらで実がなく、屁のような男である。どうもああいう男は好かない。


ね、いいでしょ、「屁のような男」って形容が。






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