●イレイジャー
昨今のアバ・リバイバルブームは,92年春にイレイジャーが「レイ・オール・ユア・ラブ・オン・ミー」をカバーし,大ヒットさせたのがきっかけでした。『アバ‐エスク』というミニアルバムには,このほか「ヴーレ・ヴー」「エス・オー・エス」「テイク・ア・チャンス」が収録されています(アルファ/ALCB-557)。また,イギリス盤には,この4曲をリミックスした“ABBA-Esque The Remixes”というミニアルバムもあります(Mute/LCD MUTE 144)。
わたし自身はテクノって生理的に受け付けないので,どうにも評価できないのですが,ビデオの方では本家の「テイク・ア・チャンス」のプロモションフィルムのまねをしていて,これはなかなか笑えます(BMGビクター/BVVP-71)。
イレイジャーには,このほか「ギミー・ギミー・ギミー」のライブを収録したアルバム『ザ・トゥー・リング・サーカス』というものもあります(アルファ/32XB-220)。
●アバカダブラ
イレイジャーのカバーヒットの後を追うように,92年秋,ハウス風のカバーでアルバムをヒットさせました。“アブラカダブラ(abracadabra )”にアバ(ABBA)を引っかけたグループ名のアバカダブラ(Abbacadabra )。アルバム名は『アバソリュート』です(エイベックス・ディー・ディー/AVCD-11096)。
このアルバム,「ダンシング・クイーン」「イーグル」など9曲入りですが,イギリスではアルバム未収録の「エス・オー・エス」がシングルで出ています(Almighty/ALMY CDT 030)。
●ナッシュビル・トレイン
スウェーデン(?)のカントリーグループです。76年にアバのプロデュースにより,『アバ・アワー・ウェイ』というアルバムを出しています(ディスコメイト/DSP-5104=LP)。
収録されている12曲のうち11曲がアバの曲。残る「プリーズ・チェンジ・ヨー・マインド」という曲もビョルンとベニーの作品です。なお,この曲は,映画『アバ・ザ・ムービー』のオープニングに使われました。牧場で戯れる何頭かの馬たちののどかな光景。そのバックに流れていた曲です。
●SASHA AND SALMA AGHA
詳細はわかりませんが,インドかその周辺の国の女性グループのようです。93年(?)の作品で“ShABBAsh”というアルバムが出ています。ダンス風だがヒンディー風のところもあるといった,不思議なアレンジですね。「スーパー・トゥルーパー」「マネー・マネー・マネー」など8曲が収録されています(Multitone/DMUT 1257)。
●その他
本国スウェーデンの Polarが92年に出したオムニバスのトリビュートアルバムがあります。その名も“ABBA-The Tribute”。Army of Lovers,Sanne Salomonsenといった人たちのカバーなのですが,どういうアーティストなのか詳細はわかりません。12曲入りで「ダム・ダム・ディドゥル」「キング・ゴングの歌」など,他のアーティストがあまりカバーしていない曲も収録されています(Polar/517 465-2)。
●デビー・ブーン
「落葉のメロディ」がデビューアルバム(77年)に収められ,シングル「恋するデビー」のB面にもなりました。また,78年にはA面で発売されています。まだ幼い(?)歌い方をしていたアバのアグネタに比べ,デビー・ブーンは堂々と歌っています(『恋するデビー』/アルファ/ALCB-522)。
●キャロル・ダグラス
「恋の診断書」のヒットで知られる彼女。サードアルバムで「ダンシング・クイーン」をディスコ風にカバーしています(77年)(『Go!Go!ソウル・トレインVol.4』/テイチク/TECX-28367)。
●ノーランズ
「ダンシング・シスター」をはじめ数々のキャンディーポップスで知られるノーラン姉妹ですが,デビューアルバム(79年)の中で「サンキュー・フォー・ザ・ミュージック」を歌っています。歌も演奏もアバをほとんど忠実にカバーしています(『セクシー・ミュージック〜グレーテスト・ヒッツ』/エピックソニー/ESCA-5099)。
●マイク・オールドフィールド
『Q.E.2』(80年)で,「アライバル」を取り上げています。解説によると,使用楽器はエレキギター,アフリカン・ドラム,セルティック・ハープ,ベースギター,マンドリン,スパニッシュ・ギターとなっていますが,興味を持たれたら,ぜひ聞いてみてくださいね(ヴァージン/VJD-23007)。
●スターズ・オン
「ショッキング・ビートルズ」をはじめ,著名アーティストのメドレーソングを次々にヒットさせたグループですね。81年の「ショッキング・アバ」は,「ヴーレ・ヴー」「エス・オー・エス」「バング・ア・ブーメラン」など,8曲のメドレーです(『グレイテスト・スターズ・オン』/ポニーキャニオン/D32Y0172)。
●ミレイユ・マチュー
『希望の星』(81年)というアルバムのトップに「ザ・ウィナー」が収録されています。フランス語の訳詞は,シャルル・ルベル。ベテランですから,アグネタよりはるかにうまく,堂々と歌っています(テイチク/SUX-203-V=LP)。
●ドクター・アンド・ザ・メディックス
ロイ・ウッドが参加したイギリスのグラムロックグループですが,「恋のウォータールー」を本国でヒットさせています(86年)。ほとんどアレンジなしでグラムロックになっているのに驚かれされます("KEEP THINKING IT'S TUESDAY"/IRS/IRSD-42026)。
●インフォメーション・ソサエティ
グループ同名アルバム(88年)の解説に“TKA路線のダンス・ミュージック路線に属する”と書いてある,そういうグループですが,「レイ・オール・ユア・ラヴ・オン・ミー」が収録されています(CBSソニー/25DP-5096)。
●エーデルワイス
“Wonderful World of Edelweiss”というアルバム(92年)に収録されている“Bring Me Edelweiss ”という曲(89年)が,「エス・オー・エス」をアレンジしたものです。ヨーデル風のボーカルがついたテクノサウンドになっています(WEA/4509-91411-2)。日本盤も出ました。
●ダニー・ウィルソン
ミニアルバムで「ノウイング・ミー、ノウイング・ユー」をカバーしているのですが,未入手のため詳細はわかりません。
●ボニージャックス
80年4月から5月にかけて,NHK『みんなのうた』という番組で「ピープル・ニード・ラブ」に日本語の歌詞(訳詞・山川啓介さん)をつけ,「希望の愛がホラ」という題でカバーしました。
注: 2003-10-19追記
私が94年にNIFTY−Serve(現@nifty)へ書き込んだ時点では,「77年6月から7月にかけて」の「そんな時があってもいいね」としていましたが,誤りでしたので訂正します。
●アラン・テュー・オーケストラ
77年に11曲入りのアルバムを発表しています。わたしは「リング・リング」「エス・オー・エス」といったところがお気に入りです("ABBA Songbook" /イギリスCBS/31550=LP)。
●アーサー・グリーンスレイド楽団
77年に Polarから12曲入りのアルバムを発表しています。「ダンシング・クイーン」「落葉のメロディ」「ウエン・アイ・キスト・ザ・ティーチャー」あたりがお薦めかな(『ダンシング・クイーン アバの世界』/RVC/RVP-6194=LP)。
●フランク・プゥルセル・グランド・オーケストラ
78年に11曲入りのアルバムを発表しています。「サマー・ナイト・シティー」「ホール・イン・ユア・ソウル」といった曲のカバーにも挑戦しています。ジャケットは,当時すでに珍しくなった見開きで,プールセルがアバに会ったときの写真がふんだんに使われています(『プールセル・ミーツ・アバ』/東芝EMI/EOS-81159=LP)。
●アンダース・ダール・アンド・ヒズ・マジック・ストリングス
79年に Polarから12曲入りのアルバムを発表しています。初期の「ヒー・イズ・ユア・ブラザー」や,『ヴーレ・ヴー』収録の「キッセズ・オブ・ファイア」「ラヴァーズ」「アズ・グッド・アズ・ニュー」のカバーは,珍しいんじゃないかな(『アバ・バイ・マジック・ストリングス』/ディスコメイト/DSP-3014=LP)。
●カラベリ・グランド・オーケストラ
80年に12曲入りのアルバムを発表しています。「悲しきフェルナンド」「アイヴ・ビーン・ウェイティング・フォー・ユー」といった曲から「タイガー」「サマー・ナイト・シティー」まで,いろいろな曲をカバーしています(『華麗なるアバの世界』/エピックソニー/25・3P-186=LP)。
●ミッシェル・ド・フランス・オーケストラ
80年に11曲入りのアルバムを発表しています。指揮者のミッシェル・ド・フランスは,“青い瞳にブロンドの髪”“身長185センチ”の“22歳”なんだそうで,レコードには彼のポスターが付いています(『アバの世界』/CBSソニー/25AP-1881=LP)。
●ロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラ
91年(?)に発表されたフルオーケストラのアルバム。指揮は Louis Clarkで11曲収められています。これまで紹介してきた軽音楽のストリングスと違い,本格的なオーケストラなので迫力が違います。ファンの方には,ぜひ聞いていただきたい1枚です("The Royal Philharmonic Orchestra Plays ABBA Classic"/オランダ DISKY/DCD-5246)。
●The Munich Philharmonic Orchstra
91年に発表されたアルバムです。ロイヤル・フィルハーモニックには,迫力の点で負けますが,このアルバムも結構クラシックしています。「ザ・ウィナー」「ワン・オブ・アス」といった後期の曲まで13曲が収められています("The Munich Philharmonic Orchstra Plays ABBA Classic"/Atlantic/7 82362-2)。
●Klaus Wunderlich
94年に発表されたアルバム。エレクトーンでアバの名曲14曲を演奏しています。「レイ・オール・ユア・ラブ・オン・ミー」では,エレクトーンならではのアレンジを聞くことができます("Klaus Wunderlich Plays ABBA"/Connoisseur/NSP CD 506)。
●森寿夫とブルー・コーツ
残念ながらまだ聞いたことがないのですが,“ABBA-The Big Band ”というカバーレコードが存在するようです。
●河村利夫とダイアモンズ
ダイアモンズといっても60年代に活躍したポップスグループではなく,琴のアンサンブルをしているグループです。ソプラノ琴から十七弦琴までを使ってビートルズのカバーアルバムも出しているのですが,アバのカバーは79年に12曲を収録して発表しています(『琴・世界をまわる アバの調べ』/ディスコメイト/DSK-3015)。
アバが来日したとき4人の前でダイアモンズが演奏した写真が,レコードの帯に載っています。4人は,琴の演奏をさぞ興味深く聞いたことでしょう。