慶長9年徳川家康黒印状(松前慶広宛)

 徳川将軍は、松前氏に対して、和人(日本人)と夷人(アイヌ)との交易独占権を与えた。同時に、アイヌに対しては、行動の自由を与えている。蝦夷地が松前藩の領地になったわけではなく、アイヌが松前氏の領民になったわけでもない。


  定

一 自諸国松前へ出入之者共 志摩守
  不相断而 夷仁与直ニ商売仕候儀
  可為曲事事
一 志摩守ニ無断而令渡海 売買仕候者
  急度可致言上事
    付 夷之儀者 何方へ往行候共 可致夷次第事
一 対夷仁非分申懸者堅停止事
  右条々若於違背之輩者 可処
  厳科者也 依如件

   慶長九年正月廿七日 黒印

              松前志摩とのへ



口語訳

一、諸国より松前へ出入する者は、松前志摩守にことわらないで、 夷人(アイヌ)と直接商売をしてはならない。
一、松前志摩守に無断で渡海し商売したものは、至急、報告しなさい。
  付則、夷人はどこへ行っても、夷人の自由である。
一、夷人に対し非分を申しかけることは、厳禁する。右の条文に違反するものは厳罰に処する。


参考資料)
 北海道大学附属図書館 北方資料データベースレコードID: 0B037930000000 慶長9年徳川家康黒印状(松前慶広宛)

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