山縣・ロバノフ協定

1896(明治29)年6月9日



第一条 日露両国政府は朝鮮国の財政困難を救済するの目的を以て朝鮮国政府に向かって一切の冗費を省き且つ其の歳出入の平衡を保つことを勧告すべし若し万止を得ざるものと認めたる改革の結果として外債を仰くこと必要となるに到れば両国政府は其の合意を以て朝鮮国に対し其の援助を与うべし
第二条 日露両国政府は朝鮮国財政上及び経済上の状況の許す限りは外援に借らずして内国の秩序を保つに足るべき内国人を以て組織せる軍隊及警察を創設し且つ之を維持することを朝鮮国に一任することとすべし
第三条 朝鮮国との通信を容易ならしむる為め日本国政府は其の現に占有する所の電信線を引き続き管理すべし 露国は京城より其の国境に至る電信線を架設するの権利を留保す 右諸電信線は朝鮮国政府に於て之を買収すべき手段付き次第之を買収することを得るものとす
第四条 前記の原則にして尚一層正確且詳細の定義を要するか又は後日に至り商議を要すべき他の事項生じたるときは両国政府の代表者は友誼的に之を妥協することを委任せらるべし


第一条 原因の内外たるを問わず若し朝鮮国の安寧秩序乱れ若くは将に乱れんとするの危機ありて而して若し日露両国政府に於いて両国臣民の安寧を保護し及電信線を維持するの任務を有する軍隊の外其の合意を以て更に軍隊を派遣し内国官憲を援助するを必要と認めたるときは両帝国政府は其の軍隊間に総ての衝突を予防する為め両国政府の軍隊の間に全く占領せざる空地を存するよう各軍隊の用兵地域を確定すべし
第二条 朝鮮国に於て本議定書の公開条款第二条に掲ぐる内国人の軍隊を組織するに至る迄は
朝鮮国に於て日露両国同数の軍隊を置くことの権利に関し小村氏とル・コンセイユ・デタ・アクチュール・ド・ウェーバー氏の記名したる仮取決は其の効力を有すべし。朝鮮国大君主の護身上に関し現に存在する状態も亦特に此の任務を有する内国人を以て組織せる一隊創設せらるる迄は均しく之を継続すべし



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