北方領土に行く方法
最終更新 2019.10
北方領土に行く方法(通常の方法)
ロシア政府の許可を得たうえでの正式な渡航です。
北方領土はロシアの実効支配にあるので、基本的には、ロシアの他の地域の旅行と同様に、ロシア政府からビザの発給を受けて、パスポートを持って、北方領土に入域することになります。しかし、日本政府は北方領土の領有権を主張しているため、このような方法で、北方領土に入域することは、日本政府の主張と相容れないものです。このため、日本政府は、日本国民に対し、このような北方領土への入域を行わないよう要請しています。ただし、これは要請であるため、要請を無視して入域したとしても、犯罪になるわけでは有りません。
電子ビザ制度
2017年8月から、ロシアでは極東各地区に対して、特定国の国民に対しての短期観光旅行の電子ビザ制度が実施されている。対象国は以下18か国で、日本も含まれている。
日本、朝鮮民主主義人民共和国、中華人民共和国、アルジェリア、バーレーン、ブルネイ、インド、イラン、カタール、クウェート、モロッコ、メキシコ、アラブ首長国連邦、オマーン、 サウジアラビア、シンガポール、チュニジア、トルコ電子ビザは入国予定日の4日間前までに、ロシア外務省ウエブサイトで電子形式で記入し、申請書のもとに無料で発行される。電子ビザは発効日から30日間以内に有効で、ロシア連邦での許可される滞在日数は入国日から8日間以内(入出国日を含む)となっている。
<参考となるニュース記事> 2008/09/13 【共同通信】
ロシア政府の出入国手続きに従って北方領土の国後島や択捉島に立ち寄る“秘境巡り”ツアーが遅くとも2003年以降、北海道・釧路港を経由する外国客船でほぼ毎年行われていることが13日、分かった。
「手付かずの大自然」や「冒険」をうたい文句に、米国を中心とした外国旅行社がツアー参加者を募集。日本人の参加は確認されていないが、外務省は「ロシアの出入国手続きを経た訪問は日本の立場と相いれない」として旅行社に旅程変更を申し入れている。ただ効果は上がっていない実情も浮かび上がった。 船舶代理店や釧路市によると、国後島か択捉島を釧路港入港前後の滞在先として届けた外国客船の入港は03年と07年が4回、06年が3回、04年が1回。今年は既に1回で、いずれも約30人から約150人が参加した。今月下旬にも入港が予定されている。
釧路港の代わりにサハリン・コルサコフ港を利用するクルーズもある。実績や今後の計画として両島訪問のツアーをウェブ上で公表している旅行社は、サハリン分も含めると米英両国やニュージーランドなど20社以上。うち5社は問い合わせにツアー実施を認めた。
ピースボート
かつて、ピースボートが北方領土旅行を行ったことがありますが、現在は行われていません。
2002年8月、非政府組織(NGO)の「ピースボート」が募集した旅行者530人が、クナシリ島にビザなしで旅行したことがある。これは、ロシアの許可を得た上で、日本の正式な出国手続きに従ったもので、日本・ロシアの法律や国際的な規則に反することのない旅行だった。しかし、この旅行は北方領土がロシアの領土であることを前提としたものであり、日本政府の主張と相容れないものであるため、日本政府は再三にわたって中止を要請していた。
北方領土に行く方法(一部の人のみ利用できる特別な方法)
ロシア政府と日本政府の合意に基づいた正式な渡航です。
日本政府の費用で旅行することになります。北方領土旧居住者・返還運動関係者限定の特別旅行です。多くの日本人には、この方法で旅行することは認められていません。通常、根室港から各島の港へ、専用の船を使って渡航します。
日本政府・ロシア政府の領土主張に影響しないことを両国で合意のうえで行われています。
もし、日本人旅行者が、北方領土で犯罪を犯すと、ロシア政府の警察当局に逮捕され、ロシアの裁判を受けることになるため、ロシアの実効支配を認めることにつながります。このため、ビザなし訪問等で北方領土旅行する者には、絶対に犯罪を犯さないことが求められます。
日本政府主催観光ツアー
「2019年10月、日ロ両政府の北方四島での共同経済活動の一環として、試験的に日本人向け観光ツアーを実施する」 計画があった。
北方領土に行く方法(不法入国)
ロシア政府の許可を得ない不法な渡航です。
日ロ両政府を無視して、不法に北方領土に入域すると、ロシアの警備当局に逮捕され、強制送還になります。犯罪なので、決して勧められません。
現在、ロシア施政の下にある北方領土に、ロシアの許可を得ずに不法入国すると、ロシア国境警備隊に逮捕され、日本へ強制送還処分になり、身柄は日本政府へ引き渡されます。日本政府はロシアの逮捕・実効支配を正当なものと認めることにつながるため、日本の領土要求にとって、大きなマイナスになります。
昭和29年7月中旬、漁船恵美丸に乗船して国後島に渡航した者に対して、最高裁判所は、「千島列島に属する国後島は、出入国管理令の適用上においては、同令第二条第一号にいう本邦には属しない」との理由で、出入国管理令違反の決定をした。
最高裁判所の確定裁判では、国後島が千島列島に属するものとされたので、日本政府の説明と矛盾する恐れが生じた。このため、これ以降、北方領土への日本人密出国に対して、日本政府は出入国管理法違反で立件しない傾向にある。
その後、国後島に漁船で渡った人が、上陸と同時にソ連当局によって逮捕・強制送還になり、帰国後、船舶法違反で日本で再び逮捕・有罪となったことがある。
昭和52年7月、根室から北方領土へ泳いで渡ろうとした男がいる。日本の警備当局の警告を振り切って、泳いで渡ろうとしたけれど、途中で力尽きて、ソ連の警備当局に保護・逮捕され、ソ連で数ヶ月の懲役の後、日本へ強制送還された。日本では、不起訴処分だったとか。
新田次郎の小説に、全面結氷したときに、歩いて渡った話があるが、実際には、そのようなことをした人は知られている限り存在しない。
逆に、ビザを取って正式手続きで、北方領土に行った日本人が、泳ぐなり、歩くなりして、日本に戻った場合はどうなるのだろうか。この場合は、日本政府はどのような対応をするのか、興味が持てるところであるが、試した人はいない。
北方領土に行く方法(スパイ犯罪)
米軍の日本における謀略犯罪ですが、現在は、このような手段で渡航することはないと思います。
サンフランシスコ条約が発効し日本が独立したあとも、在日米軍の謀略活動は終わらなかった。
1953年10月、秋本明・高木譲の両名は、米国CICの命令で、ブロウニング型拳銃を携行して、スパイ船「昭和丸」で国後島に密入国し、国後島の飛行場の様子を偵察した。しかし、ソ連兵に遭遇し、銃撃戦の末、高木が射殺、秋本は逮捕された。秋本は懲役25年の判決を受けるが、1956年に、日ソ共同宣言が発効すると帰国した。
秋本の行為は、日本の国法を侵しての不法出国であり、さらに拳銃所持も明白な犯罪であったが、帰国に際して、日本政府が罪を問うことはなかった。
参考文献:「謀略の海 冷戦のはざまに生きた日本人」矢野牧夫/著(道新選書)北海道新聞社(1998.1.29)
サハリン旅行
モスクワなどと同じく、通常のロシア旅行になります。招聘状が無い場合は、旅行社に申し込んで、旅行することになります。サハリンツアーを募集している旅行者は多いので、希望される場合は、旅行会社にお問い合わせください。ただし、距離が近い割には、旅行代金は一般に高額です。
招聘状とは:
「インビテーションレター」のことで、ロシア側の受け入れ先が内務省を通して発行する書類で、招待することを証明するものです。ロシアに旅行する場合は、通常、ビザを取得する必要があり、ビザ申請には招聘状が必要です。招聘状は留学の場合は留学先の学校が、商用の場合は相手会社が、就職の場合は就職先がロシア内務省に申請して、招聘状が発給されます。ロシアの知人・親戚を訪ねる場合は、知人や親戚が申請して発給されます。日本からロシアへ観光旅行する場合は、日本の旅行会社がロシアの提携先に依頼して、発給されることになります。