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往年こゝを訪れたとき、一体どれくらいゐ深さがあるだらうかと云ふ事が、一行の問題となつた。甲乙皆自説を固執して譲らなかつたとき、雲取の富田治三郎君が、二丈三尺あると確信に充ちた面持をして言ひ放ち、一行の失笑を買つた。ところがやゝ色をなした同君は、論より証拠、今実測してきたのだ、と云ふ。今度は同じく一行中の山麓の某氏が色を失ひ、その祟の恐るべきことを説く。一同不安のうちに、何と不思議にも今まで快晴であつた空が急に曇つて、頗る険悪になつてきた。さらに驚いたのは、富田君が早速釜の傍らに行つて手を突いて謝罪の辞を述べると、ふたたび上空が明るくなつてきた。一同たヾ神秘の感にうたれた。
原 全教著「奥秩父 続編」より
赤平川水系尾の内沢 油滝(埼玉県小鹿野町)
Canon EOS-1N
Canon EF28-80mm F2.8-4.0L USM
F11, 4sec.(-0.3EV補正)
Ektachrome DYNA HighColor100
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