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ベナルマデナ:コスタ・デル・ソルのまん中の小さな楽園

Benalmadena

 

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ベナルマデナ
海岸の国道


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ベナルナトゥーラ
入口の看板

マラガのバスステーションを出発したフエンヒローラ行きのバスは、南西に向かって国道340号線を、トレモリーノスやベナルマデナといったコスタ・デル・ソルの代表的なリゾートタウンを走り抜けていきます。これらの町々は2月だというのにかなりの人通り車通りで、暖かいアンダルシアの気候に魅かれてやって来た観光客達でにぎわっているのだとすぐわかります。というのは彼らの顔立ちはほとんどが北ヨーロッパ系ですし、衣服は現地の住民達と違って完ぺきに夏の装いだからです。一方地元の人たちは、われわれからすると初夏の気候だというのに、しっかりとコートやジャケットを着込んでカレンダー通りの冬のいでたちです。

 冬でもこれだけ道が混んでいるということは、ハイシーズンだとかなりの渋滞だろうなあ(鎌倉や神戸の海岸沿いの国道を思い浮かべて下さい)と考えているうちに、バスはベナルマデナの中心街をぬけて地中海沿いを走り、まもなく目的のトレケブラーダ・ウルバニサシオン停留所に到着しました。マラガを出てから約1時間がたっています。

 Eメールで確認してあったとおり、バス停から西に向かってすぐ国道の左手に「ヌーディストビーチ ベナルナトゥーラ」という看板がありました。ここから海側は少し小高くなっていてすぐそばにあるはずの海岸は全く視界からさえぎられているのですが、駐車場の脇の階段道を下っていくと波の音とともに砂浜がぽっかりと眼前に現れました。

両側を岩の崖にはさまれた長さ120m程の小ぢんまりとしたビーチは、多くの裸、裸、裸でにぎわっています。今日が日曜日だからこれだけの人出があるのでしょうが、冬に来たのは正解だったかも、と思いながら寝そべっている人達の間をぬって適当な場所をを見つけ、皆にならって服を脱ぎました。

 

 

 

 

 

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ベナルナトゥーラ
特別に許可を得た「貴重な」写真


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ベナルナトゥーラ
日ざしを浴びてうたた寝

cocktail1浜の奥まったところ、ビーチ全体が見渡せる場所に、浜茶屋というか、ちょうど日本の公園によくある売店のような店があり、飲み物とつまみを出しています。その裏手にはトイレとシャワーがあります。

 飲み物とオリーブの塩漬けを注文しマスターと話してみると、彼がここベナルナトゥーラのリーダーでした。「Naturally」誌や「todo naturismo」誌の記事を読んで、ここがホセ・ミゲル・ナバード氏を中心とした「ベナルナトゥーラ協会」の熱意と努力によってNaturistビーチとして公的に認められ、ビーチの環境維持がなされているということは知っていたのですが、数カ国語のパンフレットが置かれていて「利用者は衣服や水着を着用してはならない」「砂浜での喫煙は所定の灰皿を使うこと」等の注意事項が書かれていることなど、メジャーな観光地の一角でヌーディストビーチを健全に維持するための努力がうかがわれます。写真撮影も禁止されています。

 日本人の来訪者もたまにはいるそうです。「大阪在住のフランス人男性が今ちょうど近くに滞在していて、今日も現れるかもしれない」という話でしたが、残念ながら会えませんでした。

砂浜には老若男女、一人もいれば家族連れや男女のカップル、男同士のカップル、泳いでいる人、読書をする人、寝ている人、スカッシュをする人、歩き回っている人等さまざまなパターンがあふれています。おまけに周りの人たちとの間隔はせいぜい2mくらいですから、いやでも人のからだが自然と目に入り、目をそらすとかえって不自然で失礼な感じです。また私自身も東洋人だからかここの人たちの中ではかなり痩せているほうだからか、人一倍視線を集めているような気がするのですが、ここでは服を着ているときと同様お互いまっすぐに他人を見るのが自然で、不快な感じは全くありません。

 特に目についたのは女性だけの来訪者が多いことで、一人で来ている女性や母娘や姉妹らしき2人連れも見かけます。私が景色を楽しむのにちょうどいい岩場でたたずんでいると、すぐ隣に30歳くらいの女性が一人でやってきて淡々と服を脱ぎ、全身にオイルを塗りたくっていたかと思うとおもむろに携帯電話を取りだし、「私、今ビーチに来てるの」云々と延々電話でおしゃべりを続けていました。

 そうか、と気がつきました。近隣の女性達にとって、ここは水着着用の一般ビーチと違って、唯一男達のナンパや誘惑的な視線に気を散らされることなく過ごせるビーチなのです。逆にそういったことを求めている場合には、彼女らは他の、水着着用のビーチへ行けばいいわけです。何しろここコスタ・デル・ソルはナンパ目的にヨーロッパ中から若者たちが押し寄せて来るところでもあるのですから。

 Nudism経験者の男性なら、女性は全裸でいるより水着でセクシャルな部分を覆っている方がよっぽど刺激的に見えるのは周知のことですよね。

 

 

 

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ベナルマデナ
ベナルナトゥーラの隣のビーチ

結論としては、ここベナルナトゥーラはNaturism初心者や女性の方に特にお奨めだということです。観光ルートの真ん中にあり交通の便もよく手軽に行けますし、ビーチは地形的にも人為的にもかなりの程度ガードされています(国道に面した入口には駐車場係兼ガードマンが立っていて、不審者に対して目を光らせています)。もちろんこれらの条件はベテランNaturistの方にとっても好適な環境でしょう。

 また、これまでNaturismに縁のなかった方にとっても、アンダルシアを旅したときに立ち寄ってみれば、いい旅の思い出となる経験が得られると思います。ここでNaturismを体験し、もし「せっかくだからこの際どうしても記念写真を撮りたい」と思った方は、海に向かって左手の崖を波打ち際を伝って隣のビーチに行けば可能です(もちろん他人を写すときはマナーに気をつけて下さい)。こちらでも8割方の人は全裸です。公式にヌーディストビーチとして認められているのはベナルナトゥーラの区域だけですが、周辺には海岸線に沿って小規模なビーチがいくつも続いており、国道やホテルから見えるところでも構わず全裸の人がけっこう見受けられました。

(99年冬 訪)

おことわり
 03年1月にここベナルナトゥーラを訪れられた河合大輔さんの報告によると、ビーチの周囲を取り囲んで外部からの視界をさえぎっていた崖の上には新しいリゾートマンション群が建ち並んでいるそうです。
開発の波がここにも押し寄せてしまったかと残念です。ビーチもマンション群から丸見えなので上記本文で述べたような「初心者向き」とはいかなくなってしまいましたが、現地ではもうそんなことを気にする時代ではないので、以前とかわらずみんなNaturismを楽しんでいるようです。


 

 

 

 

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マラガ
ヒブラルファロ城からの眺め


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マラガ
正面奥がカテドラル

 

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マラゲーニャ(マラガっ娘)たち
今宵はカーニバル

 

ベナルナトゥーラへのアクセス

交通上のアクセスは、上記本文参照。
ネット上のアクセスは、
こちら(スペイン語のみ)

 

周辺の見どころ

マラガ

 アンダルシアの中心都市。ある日本のスペイン紀行の本に、「マラガでは第一に見るべきはヒブラルファロ城で、一方カテドラル(大聖堂)はつまらない」といったことが書かれていますが、私の印象はその逆です。カテドラルはルネサンス、バロック、ロココなどの諸様式が共存しているところが、教科書的な価値観からは外れているのかもしれませんが、かえって聖堂内の空気は素朴過ぎず荘厳過ぎず華美過ぎず、教会を訪れる人の心に平安を与えてくれるという本来の意義においては、ヨーロッパ屈指の聖堂ではないかと思います。
 一方ヒブラルファロ城はもちろん訪れる価値がじゅうぶんにある所ですが、眼下に見下ろす都市の景観はリスボンの方が、遠景はベレ・マラガの方が、城そのものはアルメリアのアルカサバの方が・・・、とどうしても思ってしまうのですが。
 余談ですが観光案内所の女性に、「日本のガイドブックに、城まで歩いて登る道は危険だと書いてあるのですが本当ですか?」と訊いてみたら、大笑いで「真夜中に女性一人で歩くのならそうだけどそれはどこでも一緒でしょ?」と言われてしまいました。

コスタ・ナトゥーラ

 ベナルマデナからさらに約70km西、エステポーナの町の南西郊にあるスペインで最も歴史の古いヌーディストリゾート。スペインのこの手の場所にしては珍しく、一泊から可能なアパートメントタイプの宿泊施設があります。夏場はかなり込むので、早めの予約が必要なようです。

 

cine映画に見るコスタ・デル・ソル

 世界的に知られたリゾート地帯のコスタ・デル・ソルのことですから映画の舞台となっている例は枚挙にいとまがないに違いありませんが、私にはほとんど印象に残っていません。たぶん、多くの場合ありきたりのリゾート地としてしか描かれていないので気づかないと、いくつかの場合は有名リゾート地を舞台にした映画にありがちな陳腐なおふざけコメディのように思えるので見ていないからでしょう。

「Torremolinos 73」(パブロ・ベルヘル監督、03年スペイン/デンマーク)
 この映画にはトレモリーノスでの場面は登場するもののコスタ・デル・ソルの風景や雰囲気がそれほど味わえるわけではありません。あえてここで取り上げたのは、コメディながらもペーソスにあふれた作品であることと、フランコ政権末期時代のスペインの一面がよくわかるという点で個人的にけっこう気に入っているからです。時は70年代初頭、百科事典のセールスマンのアルフレードと妻のカルメンは生活の困窮から脱するために「スカンジナビア諸国限定で発売する生殖活動百科事典の資料ムービーに出演してくれ」という社長の求めに応じてしまいますが、表現の自由が厳しく制限されていたスペインに住む本人達が知るよしもないうちにカルメンはかの地で「エロティック映画のスター」になっていたのでした。一方アルフレードは映画製作の過程で知ったベルイマン監督作品に触発され自分も大作映画を撮りたくなって・・・。

「Oh Marbella!」(ピアーズ・アシュワース監督、03年)
 スペイン映画ということになってはいますが監督も主な出演者もイギリス人で英語をしゃべっている実質的にはイギリス映画。コスタ・デル・ソルをめざしてやって来たイギリス人達。ロマンスを取り戻したいカップル、最後の仕事の遂行に来た殺し屋、過激な動物愛護運動家、等々。彼等の目的は様々ですがそれぞれが予期せぬアクシデントに見舞われてマルベーリャの町で大騒動! という典型的なドタバタコメディ。一組の夫婦が知らずに予約したホテルが実はNaturistホテルだったのでびっくり、というのはよくありがちなパターンですが、ここで評価すべきは、この手のコメディではヌーディスト達が結局は「ヘンな人々」として主人公達を驚かせる「笑いの種」、あえて言えば70年代頃までのコメディ映画によく登場する「土人」同様の差別的対象としてしか描かれていないことが多いのに対し、この作品ではNaturismがそれなりにしっかりとひとつのライフスタイルとして扱われていることです。それどころか二組のカップルがNaturismに巻き込まれ図らずも裸になることによって見栄やプライドを脱ぎ捨てて幸せになたとも捉えることができるストーリー。大笑いしながらNaturismに触れたいという人にはお奨め。なお映画に登場するマルベーリャにあるNaturistホテルや近郊の湖畔のNaturistビーチは架空のものだと思われます。

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Viaje por las Playas Naturistas

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