Suzanne Vega


The Best Of Suzanne Vega
ザ・ベスト・オブ・スザンヌ・ヴェガ



原点のピュアさをずっと

 ’99年に英国のグラストンベリーで行われた音楽フェスにスザンヌも「出演」してた。映像は室内だったので、実際にステージに出たのかは不明だけれど、歌われた「マネーネの肖像」はとても良かった。彼女のアコギによるリズムとエレキベースの伴奏のシンプル極まりないものだったが、オリジナルよりもベースのリズムが強調されて、ボーカルのアンサンブルという形に聞き入ってしまった。隣で見ていた友人(バンドのベース担当)も感心していた。
 以前にはMTVで「ルカ」のプロモビデオを観た。今は落ち着いた大人の知性を感じさせる彼女も、87年の作品では横ストライプのシャツを着てたりして結構可愛らしいのに驚ろかされた。彼女の曲としては「トムズダイナー」と並ぶヒット曲だ。「トムズ」は一時コーヒーだか紅茶のCFソングに使われていたので、あの独唱(?)は結構耳にしたもの。アルバムには両曲はもちろん、「フェン・ヒーローズ・ゴー・ダウン」のような、めくるめくメロディポップロックとでも呼べそうな曲もあって、バンドでカヴァーする事も考えたこともあったな。 
 僕はスザンヌのオリジナルアルバムは「微熱」しかもってないけど、シングルは結構持ってたりする。ライヴにも行った事はある。その時も結構シンプルな演奏で聴かせてくれた。彼女はN・Yのグリニッジ・ビレッジのカフェで歌っていたのが原点。デヴューは’85年だからずいぶん時は経過しても原点のピュアさをずっと保っている稀有なアーティストとして貴重だ。それを今回のグランベリーの映像でも再確認できた。
 このベスト盤はこれまでの彼女の作品でもってない曲の隙間を埋めるのに僕には丁度よい。実は違和感を抱いていた最近作も初期のと並べて聴いてみると、意外と初期の曲との違和感も感じない。良かった! 
(19981201、20000129)