1.滅亡への道(3)
『緩心(かんしん)にして成るなく、柔茹(じゅうじょ)にして断寡(すく)なく、好悪に決なくして定立する所なき者は、亡ぶべきなり。饕貪(とうたん)にしてあくことなく、利に近づきて得るを好む者は、亡ぶべきなり。淫を喜びて法に周(あまね)からず、弁説を好みてその用を求めず、文麗(ぶんれい)に濫(らん)してその功を顧みざる者は、亡ぶべきなり。』
(訳) 君主がたるんだ心で仕事を成しとげず、優柔不断で、好悪に決まりがなく確固たる立場を持たないのなら、その国は滅びるであろう。君主が貪欲で満足を知らず、利益を追いかけて自分のものにしたがるのなら、その国は滅びるであろう。君主がでたらめなことを喜んで法律を守ることにつとめず、弁説を好んでその実用を追求せず、建前におぼれてその功を顧みないのなら、その国は滅びるであろう。
経営者が事業を達成する意欲を持たずに、優柔不断で、善悪の判断基準もなく、確固たる信念を持たないのなら、組織は滅びていくでしょう。
経営者が欲深く満足を知らず、利益を追いかけて我欲を満たそうとするのなら、組織は滅びていくでしょう。
経営者がルールを守らず身勝手に振る舞い、理屈っぽく実用性を求めず、理念を実現するために必要な行動の実効性を検証できないのなら、組織は滅びていくでしょう。
2.滅亡への道(4)
『浅薄(せんぱく)にして見やすく、漏泄(ろうせつ)して蔵するなく、周密なることあたわず、群臣の語を通ずる者は、亡ぶべきなり。很剛(こんごう)にして和せず、諫めにもとりて勝つを好み、社稷(しゃしょく)を顧みずして、軽々しくなして自ら信ずる者は、亡ぶべきなり。』
(訳) 君主が浅はかで見すかされやすく、秘密はすぐ漏らして隠しておけず、周到綿密にできないで、群臣の言葉を筒抜けにするのなら、その国は滅びるであろう。君主がねじけてかたくなで人と和合せず、諫言に逆らって人に勝つことを好み、国家のことを考えないで、軽率な行動で自信たっぷりであるのなら、その国は滅びるであろう。
経営者が浅はかで部下からすぐに見すかれ、口が軽く秘密を守ることができず、細心の注意を払って慎重な行動ができないのなら、組織は滅びていくでしょう。
経営者がひねくれて頑固で、人との調和を図れず、他人の忠告にも耳を貸さずに、人と争って勝つことを喜び、組織のことを顧みないで、自信過剰に軽率な行動をとるのなら、その組織は滅びていくでしょう。
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