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【行動経済学に学ぶビジネス戦略】

 

U.人のマネジメント

1.フレーミング効果を活用する

 フレーミング効果とは、まったく同じ事でも、表現方法伝え方が違えば、受け取り方が変わることを言います。

 組織の中で、に動いてもらうためには、依頼事項を伝える必要があります。しかし、同じ依頼内容であっても、伝え方により、相手が期待どおりに動く場合もあれば、期待に反した動きをする場合もあります。

 「コップに半分も水が入っている」と「コップに半分しか水が入っていない」は、同じ内容を言い表しています。しかし、表現方法が違うだけで伝わり方は全く変わってきます。

 不満を減らしたり、励ましたりするためには、「コップに半分も水が入っている」と表現する方が効果的ですが、危機感を促すためには、「コップに半分しか水が入っていない」と表現する方が効果的です。

 例えば、上司が部下に1ヶ月で期限がくる仕事を与えたとします。成果を上げられないまま半月が経過しているときに、部下が必要な努力を積み上げている場合は、「まだ半月ある」と伝えることで、気持ちよく励ますことができますが、部下が努力せずに手つかずになっているのなら、「あと半月しかない」と伝えることで、危機感を促すことができます。

 また、ドラッカーの言葉に「「半分入っている」から「半分空である」に認識を変えるとき、イノベーションの機会が生まれる」とありますが、同じ状況でも、空の半分を満たすことに着目すれば、創意工夫の必要性が認識できるのでしょう。

 上司が部下に協力を求めたいときに「君が協力してくれないから上手くいかない」と伝える換わりに「君が協力してくれればきっと上手くいく」と伝えれば、部下の協力も得やすくなるでしょう。否定されるよりお願いされる方が、モチベーションが上がるのは言うまでもないでしょう。

 経営者は、社員指導するときに、つい、批判的な表現、否定的な表現、皮肉交じりな表現を使って相手をコントロールしようとしてしまいがちですが、ほとんどの場合は、逆効果になるでしょう。同じことを伝えるにも、フレーミング効果を活用して、相手の心を傷つけず、自尊心の保たれる肯定的言葉変換して伝えることによって、社員が主体的に期待どおりに動くことを促せるようになるのでしょう。

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