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【ビジネスリーダーのための菜根譚講座 その十七】

 

1.三つの心がけ

『己の心を昧(くら)まさず、人の情を尽くさず、物の力を竭(つく)さず。三者、もって天地のために心を立て、生民のために命を立て、子孫のために福をなすべし。』(前集一八五)

 

(訳)己の本心を物欲で曇らせることもなく、人のをわがために出し切らせることもなく、いかなる物でも、そのを使い尽くすこともない。この三つの心がけがあれば、天地の心にかない、人民のためには、その生活を安定させ、子孫のためには、幸福をもたらすことができるであろう。

 

 目先の損得を優先するあまり理性を失わないこと、自己中心的な言動で周囲を疲弊させないこと、を酷使しないこと。ビジネスにおいても、リーダーが、この三つのことを心がければ、社会との調和を図ることができ、部下が安心して働くことができ、組織の未来も明るいものにすることができるでしょう。

 そのために、リーダーには、自己を見失わないように、常に自分を冷静に見つめてを整え、他人の立場に身をおき、思いやりをもって人や物を大切に扱うよう心がける必要があるのでしょう。

 

理屈の病

『縦欲(しょうよく)の病はいやすべくして、しかも執理の病はいやし難し。事物の障りは除くべくして、しかも義理の障りは除き難し。』(前集一九〇)

 

(訳)にこりかたまった病は治すことができるが、理屈にこりかたまった病は治すのが難しい。物事についての障害は取り除くことができるが、道理についての障害は取り除くのが難しい。

 

 物欲に囚われた心は、ある程度の物を手に入れたり、もっと大事なことに気づいたりすれば、直ることもあるが、自分の理屈執着するは、並大抵のことでは直すことはできないでしょう。また、物理的な欠陥は、修理することもできるが、誤った正義感を正すことは、至難の業でしょう。

 他人と意見が対立するときに、多くの人は、自分が正しく相手が間違っていると思い込んでしまいます。しかし、同じ物事を見ても、十人十色の捉え方考え方があります。にもかかわらず、自分の意見のみを正当化し、他人の意見を排除しようとすれば、周囲との軋轢を生み、良好な人間関係を築くのが困難になるでしょう。

 リーダーたる者は、組織をまとめて目標に向かって牽引していくために、自分の考えに固執せずに、多様な考え方を受けとめたうえで、周囲が納得できる正しい決断を重ねていく必要があるのでしょう。

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